京都青年 2017年5月号


京都青年2017年5月号 記事一覧

熊本地震1年の振り返りとこれから ~小さなことに大きな愛を込めて~

活動報告
第4回The Y cup 京都ミニバスケットボール大会
リトリートセンター 献橋式&夜桜フェスタ

特集
特集①:京都Yのわくわく事業紹介
特集②:「みつかる」「つながる」「よくなる」YMCA


熊本地震1年の振り返りとこれから

~小さなことに大きな愛を込めて~

公益財団法人熊本YMCA 本部事務局長 神保 勝己

突き上げられるような揺れを感じた2度目の大きな地震。4月14日21時26分の前震からわずか28時間後、4月16日1時25分のことです。揺れが収まるのを待ち、割れたガラスが散乱する自宅を出て車内に避難。そこから総主事、日本YMCA同盟へ連絡、そして組織内SNSで安否確認をしました。夜明けを待って出勤する途中に見えてきたのは、でこぼこした幹線道路、崩壊した家屋で塞がるなどして通行止めになった道、崩れて砂煙を上げている熊本城でした。「職員、会員は無事なのか?」「施設はどうか?」「避難所の体制は?」などの思いがめぐる中、「とにかくできることをしていくしかない」と心に決め本格的な復興支援活動がスタートしました。

職員、会員、プログラム参加者の他、YMCAの施設も多くが被災し、様々な痛みを覚える中、熊本YMCAは熊本県下最大規模の避難所となった益城町総合体育館や御船町スポーツセンター、災害ボランティアセンターの役割を担った阿蘇YMCAを主な拠点として支援活動を行いました。その中でステージごとに発生する問題、足りない物資…時には避難者の方々のやり場のない怒りの矛先になることもあり、各拠点で同時多発的に起こる課題は、大きな壁の連続でした。
「小さなことに大きな愛を込めて」というマザー・テレサが残した言葉と、「喜んで自分の弱さを誇りましょう」(第二コリント12:9)などのみ言葉、そして、全国のYMCA・関係団体からの励ましや人的・物的支援は、『被災者でありながら支援活動を行う』という状況において、大きな支えとなりました。京都YMCAにおいても、加藤現総主事に京都府災害ボランティアセンターを紹介していただいた他、ユース21京都、京都YMCAボランティアビューロー、京都のワイズメンズクラブ、ユースリーダー、学生などの多くの関係者の皆さんから支援をいただきました。心から感謝申しあげます。

1年という月日が経過した今も、被災地には大きな精神的な痛みを負っている方、農業などこれまでの生業では生計を立てられなくなった方、明日の希望を持てない方、自宅の再建の目途のつかない方、老老介護の方、身寄りのない高齢者の方など、困難な状態にある方々がいます。熊本YMCAは、現在、町の社会福祉協議会から受託し、益城町木山団地(220棟)、御船町木倉地区の仮設団地(151棟)において、住民の生活支援を行う「地域支え合いセンター」を運営しています。そこでは、独居の方の見守りや、健康状態の確認、サロン運営等を行っています。これから心配されるのは、被災者の孤立化です。「あなたが大切だ」という想いが伝わるように、コミュニティの中で一人ひとりに寄り添いながら関わっていくことが重要です。
阿蘇YMCAにおいては、今も全国からボランティアを受入れながら、阿蘇の仮設住宅の支援に加え、農業再興のための支援、子どもたちの心のケアキャンプを実施しています。新たに復興ツーリズムや、熊本地震の支援者のためのプログラムを展開していきたいと計画しています。

苦しい時期であっても、その闇の中で、人と人との関係性の中にいることが自覚できること、そして、神様に支えられている自分に気づくことで、光を見出して乗り越えていく力が得られます。弱さ、無力感、苦しみの中にあるからこそ、輝く力の存在を感じられるからです。

私たちは、困難な状況にある人の隣人となって、光となって、受容していきたいと思います。熊本の復興に向けて祈り、微力ながらも働きを行っていきます。

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活動報告

第4回The Y cup 京都ミニバスケットボール大会

3月18日(土)、19日(日)の2日間、横大路運動公園体育館にて「第4回The Y cup京都ミニバスケットボール大会」を開催しました。大会当日は、天候にも恵まれ、子どもたち、各チームの指導者、保護者、関係者合わせて約400人が集う大会となりました。また、大会を盛り上げるべく昼食を提供してくださったワイズメンズクラブの皆様のご協力に感謝申しあげます。

京都YMCAは事業の柱のひとつに「青少年の育成」を掲げており、この大会も子どもたちがバスケットボールを通してフェアプレーの精神を養い、バスケットボールを通して友情を深めることを目的としています。京都で日本のバスケットボールが発祥して100年を迎えた2014年から始まり、皆様のご支援、協力のもと、4年間継続して開催しております。

今大会では、地元・京都のバスケットボールBリーグチーム「ハンナリーズ」のご協力や京都市のスポーツ振興政策の後押しで、藤田裕之京都市副市長とハンナリーズの運営会社であるスポーツコミュニケーションズKYOTO株式会社の高田典彦社長が開会式に出席され、子どもたちに、参加賞としてハンナリーズホームゲームの割引チケットもご提供いただきました。

大会の2日間、参加した選手たちは一生懸命試合に取り組み、周りで応援している我々も、思わず力が入る見ごたえのある試合ばかりでした。今年は、男子「大枝ミニバスケットボールクラブ」、女子「長岡京ミニバスケットボールクラブ」がそれぞれ優勝し、亀井理事長からThe Y cupが授与されました。上位3チーム、敢闘賞、特別賞の表彰の後、YMCAがユーススポーツで掲げる5つの目標(FUN/FAIR PLAY/FITNESS/SKILL/VALUE)に当てはまる選手を称えるファイブゴール賞など、たくさんのチームや選手の皆様が表彰を受けました。

今後この大会が、フェアプレーの精神とともに、さらに地域に浸透していくことを願っています。今後も、楽しい大会として盛り上げていけるよう、よろしくお願い申しあげます。

報告 The Y cup実行委員会
委員長 前   登

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リトリートセンター 献橋式&夜桜フェスタ

リトリートセンター開設50周年を迎えて

リトリートセンターをより安全に、快適に利用していただくために昨年12月から行われていた進入橋の工事が3月末に完了し、4月16日(日)夜桜フェスタ開催に先駆け、「献橋式」が行われました。

この橋の建設のために「架橋タスクチーム」が組織され、石若委員長のもと、3年余りをかけて、様々な案の検討や行政との折衝を重ねてきました。リトセン開設50年の夜桜フェスタ開催に合わせて歴史を刻む新しい進入橋の献橋式を行うことができ、大変感謝です。

当日は初夏のような日になり、14時からの献橋式は、礼拝:兼松豊牧師(京都YMCA評議員)、司会:岡西博司氏(施設計画検討委員)により行われ、来賓の方々、開設当時に携わられた高谷元総主事、京都部各ワイズメンズクラブ会長をはじめ多くの方ににご参加いただきました。京都YMCA100年史の中で紹介されている開設当時のエピソードが紹介された後、亀井理事長、加藤総主事により、安全を祈願する聖書が橋の袂に白砂で埋められました。また、今回のタスクで尽力いただいた株式会社大都測研 香山社長、永機建設株式会社 幡南社長(ともに京都キャピタルワイズメンズクラブ)のお二人の橋完成までの苦労話のあと、亀井理事長、加藤総主事、廣井ワイズメンズクラブ京都部長、笠取地区の中谷区長、笠取第二小学校岩井校長、リトセンが長年お世話になっている田代良雄様の6名によるテープカットと親・子・孫3代にわたり京都YMCAで活動されている大山様ファミリーを先頭に初渡りをして、末永く橋が安全に保たれ繫栄するとことを祈って終了しました。

 

第18回夜桜フェスタ

場所を変え、第18回夜桜フェスタを16時から開催しました。
リトセンが長年お世話になっている瀬口様、田代様、岡本様、また、進入橋の工事に尽力いただいた香山様、幡南様に亀井理事長より感謝状が授与されました。開設当時のボランティアの方々のお話を伺い、50年の長きにわたり多くの方々に支えられ現在があることに感謝です。フェスタでは、ワイズメンズクラブの招待で三条校介護福祉学科・日本語科、舞鶴校介護福祉学科の各学生54名の皆さんをはじめ会員・会友、リトセン一般利用者、ワイズメンをあわせ350名を超える参加者が、ワイズメンズクラブが提供する美味しい屋台の食事をいただき、満開には少し早い八重桜のライトアップの下、盛会のうちに終了することができました。
熊本地震復興支援を目的としたチャリティバザーも行われ、38,800円を売り上げることができました。

50周年を記念し、冊子「リトリートセンターを利用したアウトドア活動ガイド」も製作する事が出来ました。今後利用者に完成した安全な橋を渡り自然豊かなリトセンを満喫していただき、内部施設の充実改修を進めより多くの利用者に使っていただけることを願っています。

報告 リトリートセンター専門委員会
委員長 佐々木 稔

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特集

特集①: 京都Yのわくわく事業紹介

 

生涯いきいき Active Older Adults!

YMCAは1998年よりActive Older Adults(活動的な高齢者)という概念を取り入れ、シニア世代の積極的な人生デザインを支援しています。
YMCAは、子どもから大人までさまざまな世代が集い、一人一人が「したい何か」を見つける場所。京都YMCAでいきいき輝くActive Older Adultsをご紹介します。

 

☻ 長年通ってくださっているご夫妻 インタビュー

山口 勝雄 さん(2004~:活動歴13年)&山口 都子 さん(1988~:活動歴29年)

Q.今、京都YMCAでどんな活動をされていますか?
プールやフィットネスジムで運動しています。用事が入らなければ、月~土毎日午前中に夫婦で一緒に来ています。

Q.京都YMCAに通い始めたきっかけは?
都子さん: もともとはリハビリのために通い始めました。「どこに通おうか。」と考えた時に、お友だちが紹介してくれて。私は小さいころに京都YMCAで習い事に通っていたから、抵抗なく通い始めることができました。
勝雄さん: 体重が増えてしまったこともあって、健康維持のために通い始めました。妻も通っていたので同じところに、と思って。

Q.続ける秘訣は?
家から近いし、夫婦一緒だからかな。

Q.通い始めて「ちょっと自分が変わったな。」と思うところはありますか?
勝雄さん: やっぱり健康になりました!通う前に比べると10kg以上も減りました。でも長い時間で徐々に減っていったから、とても健康的なダイエットですよね。

Q.「YMCAってやっぱりいいな!」と思う、YMCAの魅力は?
YMCAに来てる人も迎えてくれるスタッフもみんなフレンドリー。いろんな人が来ているけれど、ここに来たら肩書きも関係なく打ち解けられます。自分の距離感で自由に繋がりあえるのも良さかな。正直、施設はちょっと古いけれど、家族みたいな雰囲気が好きです。

お話を伺っている間もずっとにこにこ笑顔で、お2人とも「これからもずっと続けていきたい」とおっしゃってくださいました。

 

☻ いきいき筋トレ教室

「いきいき筋トレ教室」は、シニア世代のプログラムに力を入れている京都YMCAが、京都市介護予防普及啓発事業として、京都市からの委託を受けて行っているロコモ予防プログラムです。

参加者の声:片山 貞子 さん

Q.「いきいき筋トレ教室」のいいところは?
ここの筋トレ教室は先生の指導がポイントを押さえていてわかりやすいし、しんどくても楽しく運動できます。通い始めてから、「効果が全然違うな」と実感しています。
もちろん筋力もついたし、先生の指導のおかげで、普段の生活の中でも常に筋力を使うことを意識できるようになりました。

Q.今後の目標を教えてください。
やっぱり、自分が楽しく暮らすためにも「いつまでも元気」が目標。ここに来てる方みんなの目標ではないでしょうか。同じ気持ちで参加しているから、お友だちにもなりやすいと思います。仲間と一緒にごはんを食べに行ったりするのも楽しいです。

ご自身も、お子様も京都YMCAに通っていたことがあるとのことで、京都YMCAにはなじみがあり、「ここは変わらないわね」と笑顔でお話しくださいました。

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特集②:「みつかる」「つながる」「よくなる」YMCA

YMCAは、一人ひとりにとって「したい何かがみつかり、誰かとつながる。一人ひとりがよくなる」場所でありたいと願っています。YMCAに連なる方々の「みつかる」「つながる」「よくなる」エピソードをご紹介します。

 
夢は必ず叶う

ボランティアビューロー専門委員会 委員 佐藤 美穂

YMCAとの初めての関わりは、20代のころ始めたスイミング。その後、長い間それっきりになっていましたが、またご縁があり、今、ボランティアビューロー委員会(VB)の委員として活動しています。

VBを通して、様々なプログラムに参加してきました。例えば、視覚障がい者サポートのセミナーでは、何回受けても毎回違う新しい気づきがあります。参加者が少ないときも、1人でも参加してくださったら、「ボランティアに関わる方が1人増えた」と嬉しく感じます。活動を通じて、教えられることが多々あり自分自身の成長を感じられること、また、プログラムを通して人と出会い、そこから人と人とのつながりが生まれること。私の中ではとても大切なものとなっています。

『京都YMCAの使命』の中に「地球的な視点から、望ましい環境の実現につとめつつ、いのちあるすべてのものが共に生きる平和な世界を築く運動を展開します」とあります。ひとりの力は小さくても、みんなが力を合わせて一つのことに取り組み成し遂げる力がYMCAにはあるのではないでしょうか。

ウォルト・ディズニーの言葉に“If you can dream it, you can do it”という言葉があります。「夢を描くことができれば、それは実現する」という意味で、「夢は必ず叶う」とも訳されています。
平和な世界の実現を夢みて、私なりにYMCAの活動にこれからも関わっていきたいと思っています。

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