京都YMCA News 2017年10月号 記事一覧
変革
京都YMCA 総主事・校長
加藤 俊明
古くからの都 京都には創業数百年の「老舗」と呼ばれる企業やお店がたくさんあります。
先日、京都YMCAにも縁がある京都で有名なパン製造企業の社長のお話を聴く機会がありました。その会社も、創業者の「京都で、本場のフランスパンに負けないおいしさのパンを市民に提供したい」という思いから始まり、様々な工夫や情熱を傾けた商品開発で独自の地位を築きあげてきました。しかし、時代の流れの中で、大きく事業を縮小せざるを得なかった時期もあり、そのような時を経て、現社長の下で今、復興の時を迎えているというお話でした。
また、先日新聞で京都の百年以上続くある老舗京菓子屋のことが取り上げられていました。まったく京菓子のことも知らずに嫁いだ若いおかみさんが、危機に瀕し莫大な借金を抱えていた店を立て直そうと、最初は相手にもしてもらえなかった職人さん達と喧々諤々の意見のやり取りをしながら、新しいアイディアを次々と取り入れて商品開発。売り上げを伸ばし、落ち込んでいた業績を回復させたという話でした。
長年続けていくことは大変なことです。
経年劣化が生じたり、時代の変化に対応できなくなり、やがて衰退していく危険性を孕んでいます。安定しているように見える老舗であっても、その長い歴史の中では決していつも順調だったわけではなく、おそらく何度も危機に瀕しながらその都度変えるべきものを変えてきたのだろうと思います。
さて、YMCAも今、長年持ち続けてきたものを変えようとしています。
オールジャパンYMCAで取り組んできたYMCAブランド再構築の作業もほぼ終わり、今後新しく整えられた表出形態により、全国共通のコンセプトを内外に周知していくことになります。それに伴い、これまで長年慣れ親しんできた赤い逆三角形のロゴマーク(略章)は姿を消し、鳥が飛び立とうとする瞬間の姿をモチーフにした新ロゴマーク「ポジティブY」に代わることとなります。
ただし、ロゴマークは表出方法の一部であり、ブランディングの本筋ではありません。長年YMCAが行ってきたこと、YMCAが目指すものを、誰にでも伝わるように言い換えた「ブランドコンセプト」を各YMCAがどのように体現してゆくのかが問われています。
例えるなら、これまでのYMCAという古い容器から一度中身を全部出し、新しく作り変えられたYMCAブランド容器に、その形を見ながら詰め直す作業がブランディングです。その過程では、もしかすると新しい容器の形に収まらないものを捨て去ることも必要になるかもしれません。
このたび、京都YMCAはもう一つ容器を作り変えようとしています。10月から始まる三条本館の改修工事は、新しく保育事業を始めるためでもありますが、その容器の変化に伴い、既存の事業や組織も必然的に変化が求められています。京都YMCAは、本館とYMCAブランドという二つの入れ物の作り替え作業を同時並行しながら取り組んでいるところです。
この作業の成功が、130年近く続いている京都YMCAがこれからも京都で生き残ってゆくための鍵となることは間違いありません。スタッフだけでなく理事役員一丸となって、会員の皆様とともにこのことに取り組んでいかなければならないと思っています。
◆ 日本のYMCAは、10月1日、新しいロゴとスローガンの発表に
活動報告
サマーキャンプ
京都YMCAでは毎年子ども達の体力や関心に合わせて、様々なサマーキャンプを実施しています。この夏も多くの子どもたちが参加し、日常とは違った生活や友だち、リーダーとの出会いを通して素敵な思い出を作り、大きな成長を見せてくれました。
今回は、その中でも今年新たに始まった『サバイバルキャンプ』をご紹介します。
サバイバルキャンプは、「もしサバエ教育キャンプ場が孤立したら!?」という想定で、子どもたちが自分たちで考え、工夫する力を育むプログラム。10人の子どもたちと3人のリーダーが協力しながら4日間を過ごしました。
◆◆サバイバルキャンプに参加して 松田 宙さん(小学6年)◆◆
僕は、サバイバルキャンプに4日間初めて参加しました。
参加する前の気持ちは、いろんな人と仲良くできるか不安でしたが、最終的に、みんなと仲良くできたのでよかったです。
参加してからの気持ちは、みんなと仲良くできてうれしかったのと、みんなで協力できてうれしかったです。
4日間で一番楽しかったのは、みんなで料理をしたことです。理由は、家でもあまりしない料理をみんなで作ったからです。他にはカヌーにも乗れて楽しかったです。
サバイバルキャンプで作ったピザ作りを家でもやってみました。分厚くはできませんでしたが、おいしかったです。
来年も参加できるかはまだわからないけれど、できたら、またサバイバルキャンプに参加したいです。
世界こども広場
日本で生活する外国籍の人が増えている今日、学校や会社など日常生活の中で、外国籍の人とつながりをもつ方も多いのではないでしょうか。
9月16日(土)京都YMCAは「世界こども広場」を開催しました。このプログラムは子ども達が留学生との交流を通して多様性を知り、世界とのつながりをより身近に感じてもらうために昨年度から京都YMCA国際ボランティア会が中心となって行っています。
当日は京都YMCA日本語科から中国、台湾、タイの留学生8名、そして京都在住の中国、スペインの留学生2名が協力してくれました。
プログラム前半は、それぞれの国の朝ごはんや学校生活クイズ、タイのジャンケン、いろいろな言語で「幸せなら手をたたこう」を歌うなど、世界のさまざまな文化にふれ、子ども達は大いに楽しんでいました。後半は、同志社大学院で絵本の研究をされている李 月(り ゆえ)さん(中国出身)を迎えました。1冊の絵本を中国語と日本語で交互に読む絵本の読み聞かせが大好評で、子ども達はすぐに真似をして中国語を口にしていました。またお絵かきのワークでは、手渡されたシンプルなイラスト(たとえば◎)が何に見えるかを考えながら、思い思いの色や線を足していくことで、実はその人の文化背景によって絵の捉え方が異なるということを子ども達が体験する機会となりました。
参加した子ども達からは「留学生のお兄さんお姉さんはすぐにお話ししてくれて友だちになれた」「中国語の絵本が楽しかった」と感想をいただきました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。
報告 国際担当スタッフ 關 つぐみ
▲このページのTopへ