京都青年 2015年5月号


京都青年2015年5月号 記事一覧

発達障がい児への支援 -叱咤激励の功罪-
2014年度障がい児支援資金 使途報告

シリーズ 京都YMCAの委員会
はじめに
総務委員会

活動報告
第2回The Y cup 京都ミニバスケットボール大会
日本語科入学式
介護福祉学科入学式
舞鶴YMCA 国際福祉専門学校開校式&入学式
アウトドアクラブ発会式
春休みキャンプ&プログラム


発達障がい児への支援 -叱咤激励の功罪-

花園大学 社会福祉学部 教授 小谷  裕実

私たち大人は、「努力すればできないことはない」と信じることが大好きです。苦しい中から立ち上がり、偉業を成し遂げる人々を称えます。知らず知らずのうちに、「がんばれ」と子どもを叱咤激励し、できなければ「やる気がない」と努力不足のレッテルを貼り、大人の役割を果たした気分になります。宿題を投げだす子どもに、かけることばは「勉強しなさい」です。そうして、筋金入りの学習ぎらいの子どもに育てあげます。人づきあいの苦手な子どもには、「はやく友だち作りなさい」とアドバイスします。そうして、友だちのできないあなたはダメだと追い詰めていきます。家庭や学校で、このような「努力信奉」の大人の呪縛から逃れられないのが、発達障がいの子どもたちです。

年齢相当の学習や友人関係につまずきを抱える発達障がい児は、通常の学級に6.5%在籍していることが文部科学省から報告されています。つまり、30名学級のクラスに2~3名は、がんばっても叱られ、もっとがんばれと励まされ、途方に暮れる生徒がいるということです。およそ20年前、この事に気づいた学校現場では警鐘をならし、通常学級に在籍する生徒への特別支援教育を推進すべく、様々な対策を講じてきました。小学校での対策からスタートし、現在では幼稚園、高校、大学へも広がりを見せています。一部地域では、いわゆる「5歳児健診」を始めました。これは、学校にあがる前に「ひとり遊びが多い」「気持ちのコントロールが苦手」「不器用」「ことばで気持ちや状況を伝えるのが苦手」など、気がかりな子どもたちへの好ましい関わりを、親や先生に伝授するのが目的です。苦手を叱責と努力で克服させるのではなく、大人も子どもも工夫やヒント次第でうまくいくことを実感すれば、どちらも自信がつきます。

この工夫やヒントは、子どもの生涯にわたる支えとなります。そこで、行政も発達障害者支援体制整備の一環として、支援ファイルや移行支援シートとして形あるものにすべく対策を始めました。まだ始まったばかりで、浸透するにはしばらく時間を要するでしょうが、この支援バトンを確かに次の支援者に渡し、最後には発達障がい児が自らこのバトンを持ち、人生を闊歩してくれるようにと願っています。

京都YMCAでは、発達障がい児へのサポートプログラムを開始して、早10年が過ぎました。最初は手探りで、試行錯誤のくり返し。約20名の子どもたちと凧を作り、電車に乗って公園に行き、炎天下で汗をかきかき凧揚げをした第1回目のイベントは、懐かしく忘れられない思い出です。現在は、野外の集団活動に留まらず、中学生へのSST※と学習支援、女子力アップの教室など、発達障がい児の細かなニーズに合わせた多彩で楽しい、専門性の高い活動を展開しています。仲間の存在、確かな工夫に支えられた自信の形成をコンセプトに、京都YMCAの活動が益々発展し、社会のリーダーとして躍進されますことを、心から信じ応援しています。

※SST…「ソーシャルスキルトレーニング」の略。

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2014年度障がい児支援資金 使途報告

2014年度皆様のご協力で実施しました『かもがわチャリティラン』で集まった益金は、日本YMCA同盟を通して全国のYMCAで行われている障がいのある子どもたちのプログラムと、京都YMCA障がい児支援資金として京都YMCAで実施されている障がいのある子どもたちのプログラムに使われています。昨年度障がい児支援資金がどのように使用されたかをご報告します。

障がい児支援資金2014年度支給総額      563,046円

発達障がい児サポートプログラム リーダー研修費補助 29,019円
発達障がい児プログラムに携わるリーダーが専門的知識、技能を身につけるためのリーダートレーニングを実施。
(日程:5月31日~6月1日/会場:リトリートセンター/参加リーダ―:9名)

『マイ・マイ20回記念リユニオン夏キャンプ』プログラム費補助 150,000円
『マイ・マイ』が聞こえに障がいのある子どもたちと健聴児との統合キャンプを9月13日~14日に京都YMCAサバエ教育キャンプ場で実施。
(参加者:子ども26名、保護者3名、指導者24名)

『青い空と白い雲のキャンプ』病気の子どもとそのきょうだいたちのキャンプ補助 168,227円
病気のために行動にさまざまな制限を受ける子どもとそのきょうだいのために、医療関係者及びボランティアと連携し実施したキャンププログラム。
(日程:8月23日~24日/会場:サバエ教育キャンプ場/参加者:子ども17名)

発達障がい児サポートプログラム 知能検査道具の購入費用助成 145,800円
発達障がい児サポートプログラムで参加している子どもの特性を把握し個別の指導計画を策定するための検査キットの購入補助。

『障がいのある子どもたちの創作広場パレット』年間活動費補助 70,000円
『障がいのある子どもたちの創作広場パレット』が行う障がいのある子どもたちが余暇活動を豊かにするために、創作活動を通じて、一人ひとりの豊かな自己表現を引き出すプログラム。月1回のペースで実施。昨年度は実施回数10回。
(参加者総数:76名(内障がいのある子ども61名))

●寄付についてのご案内は、こちらをご覧ください。

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シリーズ 京都YMCAの委員会

はじめに

京都YMCAは、法人運営を担う理事会の他に理事会をささえる組織としてさまざまな委員会があります。京都YMCAの運営は、それらの委員会で会員の中から選ばれた委員が、日常のプログラム運営や計画評価などを職員スタッフと共に担っています。

まず、公益財団法人京都YMCAには理事会の下に理事会を補佐する委員会として4つの常置委員会があります。

スイミングやユーススポーツそしてキャンプなどの最も広く社会に認知されている部分を担当する「YMCA事業委員会」、ボランティア活動や会員活動を支える「YMCA活動委員会」、YMCAの各施設に関してメインテナンスやリプレイスそして新しい施設の建設などハード部分の計画を進める「施設計画検討委員会」、そして財務や人事など組織管理全般のことを取り扱う「総務委員会」です。

さらに「事業委員会」や「活動委員会」のもとにそれぞれ専門分野ごとに専門委員会やプログラムごとの実行委員会が組織されてプログラムの企画運営にあたっています。

京都青年では、今月号から普段あまり目にすることの無いそれらの委員会について紹介してゆきます。初回として「総務委員会」について総務委員の山田英樹さんから報告していただきます。

総務委員会

総務委員としてかれこれ3年目の配属となるのですが、自分自身が未だその全容を充分に理解できていない様にも思えます。ただひとつだけ言えることは京都YMCAの常置委員会のなかでまちがいなく最もわかりにくい部署である事だけは間違いありません。
総務委員会の役割はかなり広い範囲に及びます。一般企業の総務部と同じく法務や財務はては労務や人事までをも担当します。最終決定は理事会での決議となりますが、その理事会に上程する議案に関して事前に検討を加え提言を行う事も大事な役務となっています。
良く言えば京都YMCAの司令塔。悪く言えばなんでも屋さんといった趣でしょうか。

今、総務委員会では京都YMCAの人事制度改革に取り組んでいます。YMCAはいつの時代も熱意ある若者たちが支えてきました。主事や職員の皆さん、そして理事の皆さんもかつてはそんな若者達だったのです。次世代を担う若者たちが安心して働くことの出来る環境づくりを職員の皆さんと共に進めています。
決して目立つことは無い部署なのですが、そんな大切な役割にこれからも矜持を持って臨みたいと思います。

執筆者 山田 英樹

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活動報告

第2回The Y cup 京都ミニバスケットボール大会

3月14日(土)、15日(日)に京都市伏見区の横大路体育館で第2回The Y Cup京都ミニバスケットボール大会が開催されました。京都府内の小学校やクラブチームの男女各8チームが参加し、初日は予選トーナメントを行い、2日目は決勝トーナメントと交歓トーナメントに分かれ、白熱した試合に小学生や保護者の声援が飛び交っていました。男子は与謝野ミニバスケットボールクラブ、女子は 城陽ミニバスケットボールクラブが優勝し来年の出場権を獲得しました。表彰式では、優勝・準優勝等の他、各チームから選出された選手1名に「ファイブゴール賞」のメダルが贈られました。試合の運営等は、京都ミニバスケットボール連盟、京都バスケットボール協会に協力していただきました。両日のお昼の食事は、昨年同様にワイズメンズクラブが担当し「豚汁」「ハヤシライス」「チヂミ」「焼きそば」「豚まん」「サンドイッチ」「おにぎり」等が提供されました。ご協力ありがとうございました。第3回大会は2016年3月19日(土)・20日(日)に開催されます。

報告 The Y cup 京都ミニバスケットボール大会実行委員 森田 茂実

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日本語科入学式

4月3日、日本語科の入学式が行われ、47名の新入生が入学しました。それぞれの夢や希望、新しい生活への不安を胸に抱いてのスタートです。以下は台湾からの新入生、張家豪君の来日記録です。

***新入生の声***
会社勤めの生活から離れたく新しい価値観を築きたくて、留学の決心をしたものの、不安な気持ちがありました。そんな中、入学式、授業が始まる過程で悩みや緊張も消えていきました。それは学校が、寮入居や区役所、銀行口座開設から携帯電話手続き等を手伝ってくれて通学路を一緒に歩いてくれるまでの配慮によるものです。学生が勉強に集中できる環境を整えてくれた、細かく暖かい対応に感動をおぼえました。
また、私は神﨑校長が入学式にお話しされた、YMCAの趣旨である三大要素Spirit、Mind、Bodyのように、YMCAから高まるエネルギーを与えられた気がします。
芸術文化が息吹く京都での勉強、日本文化の精華を吸収できることがとても嬉しいです。私はこの留学経験を通じて、更にすばらしい未来が待っていると信じています。

日本語科1年 張  家豪 さん
小原 絵美(台湾華語から日本語に翻訳)

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介護福祉学科入学式

4月7日(火)、京都YMCA国際福祉専門学校 介護福祉学科の入学式が行われ、13名の新入生を迎えました。新入生の一人 南出蒼生さんに抱負を伺いました。

***新入生の声***
私が介護福祉士を目指した理由は、高校での介護の勉強を通して、ありがとうと言われることの嬉しさや利用者さんとふれあった時の楽しさ、利用者さんの笑顔を見ることにやりがいを見出したことです。また、数回京都YMCAのオープンキャンパスに参加して、先輩の話を聞いて強い志望になりました。これから勉強していく中で自分をより高め立派な介護福祉士となれるよう努力していきたいです。

介護福祉学科1年 南出 蒼生 さん

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舞鶴YMCA 国際福祉専門学校開校式&入学式

福祉と観光分野の人材養成を担うための舞鶴YMCA国際福祉専門学校の開校式が4月11日(土)に新専門学校内講堂で行われました。深刻な福祉人材の不足を鑑み、京都府の北部福祉人材確保の施策として、また、舞鶴市のグローバルな観光ビジネス人材の育成等地域活性化の要請を受け、京都YMCA学園が新専門学校を開校しました。開校式に先立ち、舞鶴市専門学校校舎改修完成式が行われ、舞鶴市長より改修された校舎を貸与いただく契約書を交わしました。開校式では入学が決まった各学科の学生が今後の抱負を力強く語ってくれました。
午後からは第1回の入学式が行われました。学生の皆さんは緊張した面持ちで、5階ホールに集まりました。2年間の職業訓練を受け、地元で活躍する人材になることを目標に誓い、いよいよ学校生活がスタートしました。

***新入生の声***
私は、高校生の時、社会福祉体験学習で、舞鶴市内の施設で介護のボランティアをしました。ごく短い期間でしたが、入所者の方にとても感謝され、将来は人に喜ばれる仕事をしたいと思うようになりました。また、私自身も高校のクラブ活動中にケガをして車椅子で何日も過ごした経験がありますが、車椅子を押してくれた看護師さんや両親の介助がとてもありがたく、人の役に立つ仕事をしたいという思いを強くしました。
日本は今、高齢社会に入り介護福祉士の不足が叫ばれています。私が介護福祉士になることで、少しでも役に立てるのではないかと考えています。その目標のため、この新しい学校で新しい仲間とともに、2年間がんばっていこうと思います。
そして、将来は、介護支援専門員や社会福祉士も目指し、自分の活躍の場を広げ、地元舞鶴の福祉に貢献したいと思います。

介護福祉学科1年 山田  真 さん

舞鶴っていいところだね。どこが?なんにもないやん。
私自身が何度か経験したことのあるこのやり取り。入試の日、面接官の方が私にこう言われました。「観光はここにあるこのただの椅子をどうアピールするか。それを考え、ここにあるただの椅子を特別なものにする。それが観光という仕事です。」そのことが視点というものを改めて意識するきっかけとなりました。
国際情勢、外国の方との交流、観光、地域の活性。これらを考えるときすべてにおいてたくさんの視点を自分が持っていれば、それは大きな強みになるのではないか。それが、ここにあるただの椅子を特別に変えることに繋がるのではと私は考えます。
今日からのYMCAでの2年間を、ここで学ぶチャンスをいただけたことに感謝して、自分にとってのたしかな力となるように過ごしていきたいです。

国際観光ビジネス学科1年 藤原  麗 さん

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アウトドアクラブ発会式

4月5日、2015年度アウトドアクラブ(日常の野外活動クラブ)に参加する子どもたち(8チーム240名)とその保護者を対象に、発会式を開催しました。発会式では、子どもたちは次週から始まる活動を楽しみにできるよう、リーダーや仲間との顔合わせやゲームなどをし、保護者の皆さんへは、アウトドアクラブ参加についての説明会を行いました。チームによってオリジナルソングや掛け声があるので、声を合わせて練習したり、これから1年間どんな活動をするのかを紹介されてますます楽しみになったり、今年度の活動を参加者全員でアイデアを出し合って検討する中高生チームがあったりと、チームそれぞれに、2015年度の活動のスタートを切ることができました。

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春休みキャンプ&プログラム

デイキャンプたんぽぽ

春休み幼児デイキャンプたんぽぽが、3月25日から28日の連続4日間日帰りで年少から年長児を対象に行われました。デイキャンプは、長期休みの期間、生活習慣が緩みがちになる子どもたちが毎朝決まった時間にYMCAに集まり、夕方まで活動を行うことによって良い生活習慣を身につけること、また仕事などで忙しくて、お子様を連れてお出掛けできないご家族の思いも解決することを願って行われています。
今回は、京都府立植物園(京都市)、春日山公園(大津市)、海遊館(大阪市)、京都YMCAリトリートセンター(宇治市)にお出掛けして、さまざまな体験をしました。
5名から6名の子どもたちに1人のリーダーがついて活動を行う中で、自然に、また、リーダーの働きかけで、初日は知らなかった子どもたち同士が名前を呼び合ったり、協力し合ったり、欠席の子どものことを気にかけたり、日に日に交流を深めることができるようになってきました。また、いろんなことに挑戦をしました。水筒のふたを開けること、身の周りの整理、苦手なものを食べること、長い距離を歩くこと、おうちのひとと離れて同じ保育園・幼稚園でない子どもたちと長い時間過ごすことなど、一人ひとりが違った挑戦をして、4日間で成長した姿を見ることができました。
デイキャンプで体験したことが自信となり、今後、さまざまなことに挑戦していく前向きな気持ちを持っていただければと願っています。

***デイキャンプご参加保護者様より***
昨年も参加しましたが、今年はより楽しかったようです。年長として、小さい子どもの世話をする経験ができたようで、大変良い経験になり、本人の自信にも繋がっているようです。

春休み水泳キャンプ

4月2日(木)から4月4日(土)まで、滋賀県高島市にあるB&G海洋センターのプールをお借りし、春休み水泳キャンプを行いました。京都YMCAのお友だち15名と奈良YMCAのお友だち10名で、元気いっぱい練習に励みました。初日は緊張した面持ちで過ごしていた子どもたちでしたが、寝食やハードな練習を共にし、休憩の合間に楽しく遊ぶことで、最終日を迎える頃にはすっかり打ち解け、良い笑顔をたくさん見ることができました。
この水泳キャンプを経験した子どもたちは、他のお友だちより一歩リードした状態で新学期の練習を迎えることができています。その調子で練習に励み、チャレンジカップや全国大会に出場し、良い結果を残してもらいたいです。

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