京都青年 2015年6月号


京都青年2015年6月号 記事一覧

児童養護にみる子どもの貧困
京都YMCA子ども支援基金について

シリーズ 京都YMCAの委員会
施設計画検討委員会
YMCA事業委員会

活動報告
夜桜フェスタ
介護技術講習会
春のキャンプリーダートレーニング兼リーダー自主研修会
ネパール大地震緊急支援募金

シリーズ 舞鶴からこんにちは!
シリーズ 舞鶴からこんにちは!


児童養護にみる子どもの貧困

大阪成蹊短期大学幼児教育学科 准教授
学校法人 京都YMCA学園   評議員
阪野  学

子どもの貧困が言われるようになって久しいが、思い起こせば昭和50~60年代、サラ金返済苦と云う言葉がしきりに我々児童養護の児童の入所理由になっていた時代があった。よく施設にサラ金業者から子ども宛に取り立ての連絡が入ったりした。そしてその次にあったのは、カードローン地獄である。これも施設に請求書が送られてきたりすることがあり、その都度ローン会社に連絡を入れ、事情を話したものである。そんな状況なので、親が施設に面会に来て子どもの小遣い(公費で支給されている)を無心したり、古くは地域振興券なるものが子どもたちに支給されると、親がやってきて子どもを連れて買い物に行き、すべて化粧品に化けてしまったりしていた。また、子ども手当が支給されると知ると、親はお金欲しさに子どもを強引に引取ろうとしたりした。生活保護費や児童手当欲しさに住民票だけ移動させてほしいと願い出る親もいたし、極めつけは、子どもの就職先に給料の前借に現れたりすることはしょっちゅうで、昭和60年頃駆け出し指導員であった私は、先輩指導員から子どもの就職先は親に教えてはいけないと教わったものである。

現在の児童養護施設など社会的養護を必要とする子どもの施設は、いずれも子ども虐待を受けていた子どもが入所児童の半数(情緒障害児短期治療施設に至っては入所児童のほとんど)を超えている。その子どもたちが愛着の関係や対人関係のみならず、非行や心理的・精神的な課題を表出し、中には重篤なトラウマを抱え、PTSD同様の症状を示すものさえいる。施設に入所するということは、子どもは親からの見捨てられた感を強くするが、虐待を受けて入所する子どもの傷つきたるや想像を絶するものがある。そのような子どもたちに対して、施設では子どもたちのニーズにあわせて養育、傷つきからの回復の支援、トラウマへの治療的支援、家族再統合(家族関係の再構築支援)を行う。我々が分かっておかなければいけないのは、いくら口ではそう言ってはいなくても、どの子も、いつかまた親と一緒に暮らすことを夢見ている、ということである。親と生活できるのであれば、どんな貧乏も、多少の虐待も我慢する。

 施設で暮らす子どもたちの入所の背景には、貧困が大きな要因になっている。それは、どの時代を見ても明らかであり、社会的弱者である子どもは、時代に翻弄され、親の状況に生活が大きく左右される。社会的養護に携わる児童施設では、子どもが成長し、やがて社会生活を送るに至って、貧困の連鎖、虐待の連鎖を食い止め防止することが大きな課題である。貧困の連鎖を食い止めるために、子どもを高校以上の高等教育へ進学させ、より安定した仕事に就けるように支援し、虐待の連鎖としての世代間伝達現象を食い止めようと、家族再統合など様々な支援を行っているが、今の日本は制度的にもその体制は脆弱で、施設の独自の努力によるところが大きい。特に、子どもたちに高等教育を受けさせるための費用が公費で支給されないため、ほぼ進学を断念し、したとしても奨学金を借りて進学をしなければいけない。ただでさえ一人暮らしのための生活費も稼がなければならず、進学は並大抵のことではない。

タイガーマスクは、ランドセルではなく、是非施設に本当に必要なものを尋ね、ご支援いただくことを切にお願いしたい。これからの日本の社会を担う子どもたちの未来のために。

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京都YMCA子ども支援基金について

「子ども支援基金」は、家庭の経済的な事情により京都YMCAのプログラムに参加できない子どもたちにも参加してもらえるようにという目的で集められている資金です。
この制度は18歳以下の子どもを対象に、京都YMCAのプログラムに子どもを参加させたいと願う保護者からの申請があれば、書類審査及び面接を行い、経済的状況などの一定条件を満たせば参加費の一部がこの資金から補助されるものです。

この「子ども支援基金」の存在はあまり知られていませんが、この制度を使ってプログラムに参加したお子さんの保護者からは、「毎回楽しく活動することができたようです。〈中略〉家族で遠出をしないので、行ったことの無いところに行けたのもうれしかったようです。」という感想をいただいています。
京都YMCAで行われているスイミングやユーススポーツ、アウトドア活動などのプログラムに参加したくても家庭の経済的理由で参加できないという子どもが、少しで多く参加できるようになるようこの資金を広げてゆきたいと願っています。この制度も皆さまからの寄付で運用されます。「子ども支援基金」の拡大にご協力お願いいたします。

ご寄附いただくには:
受付窓口にてご納入、もしくは郵便振り込みにて下記口座にお振込みください。

郵便振込 口座番号01050-7-19132 口座名 京都YMCA 奉仕活動基金
※奉仕活動基金と口座が同じですので、「子ども支援基金」とお書きください。

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シリーズ 京都YMCAの委員会

施設計画検討委員会

施設計画検討委員会が発足したのは、今から4年前でした。これまで施設整備や修繕工事については、その都度担当者または主事が対応してきましたが、近年、省エネや、耐震について法律で規定されてきた経緯もあり、専門職の助言が必要になってきました。幸い、YMCAは多くの専門家のメンバーにも恵まれました。

委員会として最初に取り組んだのは、施設の「安全であること」でした。利用される施設の総合点検を目指し、それぞれの施設を利用しているスタッフやリーダーと話し合いを持ち、アンケートもお願いして、要望や安全に関する内容の調査を行い、また、実際に施設の現地調査も行いました。

京都YMCAの施設には、三条本館の建物、宇治のリトリートセンター、佐波江の教育キャンプ場と今年4月に開校された舞鶴YMCA国際福祉専門学校があります。

建物は経年により老朽化してきますので、計画的な修繕が必要です。しかし施設を維持、整備するには非常に大きな資金が必要になります。多くの会員のボランティアでご協力を頂いていますが、専門業者に委託しなければならない工事もあります。その時には、皆様のご寄付に頼ることと思います。どうかYMCAに集う子どもたちや会員の方々に安心して利用いただける施設維持に今後ともご協力をお願いします。

執筆者:石若 義雄

YMCA事業委員会

YMCA事業委員会は、野外、キャンプ、ユーススポーツ、成人ウエルネス、リトリートセンター等の事業の運営や、これら事業の担い手となるリーダーの育成事業を担当しています。

こうした事業の究極の目的は、参加者の健康維持や技術向上にとどまらず、参加者が京都YMCAの価値観を理解し、やがて京都YMCAの会員として活動の積極的な担い手となっていただくことです。そのために、ウエルネスという考え方を基本に、Caring(思いやり)、Honesty(誠実さ)、Responsibility(責任感)、Respect(尊敬心)の4つの価値が参加者の具体的な行動に反映され、意識改革につながることを、事業運営において重視しています。

少子化による参加者の減少、サバエ教育キャンプ場やプールなどの施設の老朽化、大学生ボランティアリーダーの確保など、事業推進に当たっての課題も少なくありませんが、今後とも、委員や担当スタッフ、そして会員の皆様の力を結集し、地域のニーズを受けた発達障がい児の成長支援や病気のこどもたちのための事業など、公益認定団体ならではの事業にも先駆的に取り組むとともに、リーダーの育成にも努め、多くの子どもたちや青年の成長につながるよう努力していきたいと考えています。

執筆者 森田 芳文

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活動報告

夜桜フェスタ

4月19日(日)、京都YMCAリトリートセンターにおいて、 16回目の夜桜フェスタが開催されました。前日の汗ばむ陽気から一転、当日の天気予報は雨。急遽、テントを立てることになりました。夜桜フェスタ実行委員、リトリートセンター専門委員の皆様には当初の集合時間より1時間早く集まっていただき、テントの設営にご協力いただきました。

会場では、いろいろな屋台や福祉団体「こもれび」「野の花」の物品販売、チャリティバザーが行われ、ステージでは、オールドファッションフッカーズによるギターとバンジョー、ちきんびいるブルースバンドによるブルース、尾辻優衣子さんの二胡演奏、京都ウイングワイズメンズクラブ岸本会長のフォークソングなど、大変盛り上がりました。
心配していた雨も降ることなく、ご来場いただきました皆様に、ライトアップされた満開の夜桜を眺めながら約3時間の楽しい時間を過ごしていただきました。

各ワイズメンズクラブの皆様、各団体の皆様、出演していただきました皆様、会場へ足を運んでくださいました皆様、皆様のご協力により今年も無事に開催することができました。心より感謝申し上げます。

最後に、テントの撤収にたくさんの皆様のご協力をいただきました。ありがとうございました。

報告 夜桜フェスタ実行委員長 青倉 国士

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介護技術講習会

京都YMCA国際福祉専門学校では、2005年からの11年間、介護福祉士国家資格取得のための現任者研修として「介護技術講習会」を開催しています。主に現場で介護職に従事されている社会人を対象としています。講習会場は『京都会場』『舞鶴会場』の2か所です。京都会場では年間5回、舞鶴会場では年間2回、それぞれの専門学校校舎で実施しています。厚生労働省指定養成校として基準をクリアした本校の設備で、4日間、ベテランの講師陣が講義と実技演習を指導し、受講後のアンケートでも「清潔で設備が整っていて受講しやすかった」など受講生から高い評価をいただいてきました。

11年間で1800名を超える修了生を輩出してきた「介護技術講習会」ですが、この度2015年度開催を最後に終了します。

現在、京都会場は6月27日(土)からの講習会が、舞鶴会場は8月1日(土)からの講習会が受講生募集中です。福祉人材確保の観点からも大きな役割を果たしてきました講習会ですが、現業でお勤めの方対象の実技免除の講習会は今回で最後の募集となります。

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春のキャンプリーダートレーニング兼リーダー自主研修会

5月2日~4日(2泊3日)サバエ教育キャンプ場にて、今夏のサマーキャンプに向けて『春のキャンプリーダートレーニング兼リーダー自主研修会』を行いました。

毎年7月に行うトレーニングでは、ウォーターフロントプログラムを中心に実施していますが、今回はキャンプに必要なそれ以外のスキルを身に付けることを目的にトレーニングを行いました。今年度新たにリーダーとなった仲間も迎え、18名のリーダーが参加しました。火付けやテンティング、ロープワークはもちろん、キャンプソングを歌う時間やキャンプファイヤーなど、参加者側に立つことで知る・感じるトレーニングも行いました。

今年度は、トレーニング以外の時間も有意義なものにしようとリーダー自身が主体となりプログラムを企画してきたこともあり、実際のキャンプを想定しリーダーとしての役割をイメージしながらも、キャンプに参加する子どものような気持ちで過ごす場面もありました。キャンプへ向けてのスキルアップはもちろん、3日間寝食をともにすることで、リーダー同士の絆も深まり、充実した時間を過ごすことができました。

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ネパール大地震緊急支援募金

4月25日ネパール中部でマグニチュード7.8の巨大地震が起きました。
この地震やその後の余震による死者数は5月20日時点で8000人にも上ります。これを受け、京都YMCAでは5月10日(日)に京都市内3か所でネパール大地震緊急支援街頭募金を実施しました。当日は天候にも恵まれ、多くの方のご支持を得て、総額13,172円の募金が寄せられました。今回、大勢の市民の方々から寄せられた募金は、日本YMCA同盟、アジア・太平洋同盟を通じて被災者・被災コミュニティへの緊急支援や、全国のYMCA日本語学校及び専門学校に通うネパール人学生(約120名)のうち被災した方への支援、またネパールYMCAを通じた被災者支援のために使わせていただきます。

京都YMCAは以前より、ネパールYMCAの運営する児童養護施設や、貧しい子どもたちへの学習支援を行うなどして、友好関係を築いてきました。依然として食料や物資不足が続いている状況の中、ネパールYMCAは食料、医薬品、テントなどの物資支援や地震後の清掃活動など現地で様々な支援活動を行っています。京都YMCAは今後もこうしたネパールYMCAの活動を支えていきます。

最後に、ネパール大地震緊急支援街頭募金に参加・協力してくださった皆様、ありがとうございました。なお、ネパール大震災緊急支援募金は6月30日まで実施しております。今後とも皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

●ネパール大地震緊急支援募金についての詳細は、こちらをご覧ください。

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シリーズ 舞鶴からこんにちは!

京都府北部地域で不足している介護と国際観光人材養成の期待を受け、2015年4月、舞鶴YMCA国際福祉専門学校が開校しました。
新しくできた専門学校はどんな学校?学生の様子は?舞鶴ってどんなところ?このシリーズでご紹介していきます。第1回目は、ぴかぴかの(!)校舎の様子をご紹介します。

1F: 校舎を入ると広々とした明るいロビーが迎えてくれます。開校に際し贈られた、観葉植物や胡蝶蘭が彩りを添えています。

 

 

 

4F: 4階のロビーは学生たちの憩いの場です。お弁当を食べたり、おしゃべりをしたり、いつも楽しそうです。Wi-Fiスポットもあり、スマホに夢中になっている学生も…。

 

 

 

5F: 最上階の5階にあるホールは、舞鶴港が見渡せ、校舎一番の眺望スポットです。図書室では、放課後や休み時間を利用し、読書のほか、パソコンで課題に取り組む姿も見られます。

 

 

授業風景: 学生たちは学習環境の整った、広く新しい校舎で現在鋭意勉強中です!

 

 

 

 

 

2年後には、地域社会で活躍する職業人として、全員がこの校舎から巣立っていくことを、舞鶴YMCA国際福祉専門学校のスタッフ一同、心から願っています。

 

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