京都青年 2005年10月・11月号


 <主な内容>


創ろうわかち合う世界を

あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわちわたしにしたのである。

マタイによる福音書 25章40節

 募金の季節がやってきました。国際協力募金は、YMCAの会員だけでなく広く市民の方々にも協力を呼びかけています。いま、世界は「100人の村にたとえると、村人のうち、1人が大学の教育を受け、2人がコンピューターを持っています。けれど、14人は文字が読めない」(『世界がもし100人のむらだったら』から引用)状態なのです。日本に住んでいる私たちには実感がわかないかもしれません。ごくあたりまえに大学へ行き、コンピューターなどはあって当然の生活なのですから。でも、地球というスケールで考えると経済的な格差が大きいのが現実です。 ミャンマーで学校を支援しているお医者さんに聞きました。そこでの子どもたちは、明日、学用品のボールペンが届くという前日、うれしくて眠れなかったそうです。4年前に「インド体験ツアー」で学生たちと一緒に京都YMCAとかかわりが深い、インドのランチという町へ行きました。そこで、予算を示して国際協力をしたいのだけどと尋ねると、2つの予算書をもらいました。わたしたちに選べというのです。1つは、スラム地区の衛生状態をよくするための下水の側溝つくり、もう1つはハンセン病の親をもつ子どもたちのための教育プログラムでした。この子らは差別や偏見のために学校へ通えないのです。学生たちは即座に学校がいいと言いました。私がかかわっているバングラデシュの小学校は30人1クラスで年間約9万2千円で先生の給料や教科書代などがまかなえます。1人の生徒が3本ずつ持つボールペンが1本6円なのですから。 Photo YMCAは、世界122カ国のネットワークを持ち、災害や飢え、戦争などで困っている人たちに救援の手をさしのべています。世界のYMCAに対する信頼は厚く、街頭で募金をよびかけていても「ああYMCAやね。わたしもプールいってたんよ」と言って協力してくれる人にも出会います。これは、困っている人たちに確実に募金が届くという信頼感のあらわれでしょう。 日本にいると気づかないこと、わずかの日本のお金でも海外の困っている人たちにはずいぶんと力になることがわかっていただいたでしょうか。では、わたしたちは与えっぱなしなのでしょうか。京都YMCAの募金は難民の子どもたちの教育にも使われています。まず、教育とは縁のなかった子どもたちが字を覚え、計算できることによって将来への見通しをもつことができます。その子の運命を大きく変える、そんなチャンスを提供しているのかもしれません。ただ、募金箱にお金を入れるだけでなく、この募金箱の先にいる人たちのことに思いがよせられるでしょうか。「人の為」にと思ってやっていることですが、漢字はうまくできていて「人」と「為」が重なると「偽」になります。日々の仕事に追われているわたしたちに、この世界のことを想像させてくれます。わたしたち自身に世の中の「公正」や「よい世の中」を考えさせてくれます。 最初にあげた本では「まずあなたが愛してください。あなた自身と、人がこの村に生きてあるということを。もしもたくさんのわたし・たちが、この村を愛することを知ったならまだ間に合います」と続いています。

高田敏尚  京都YMCA正会員 日本福音ルーテル修学院教会

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スマトラ沖地震津波 被災児支援キャンプに参加して

京都YMCA国際福祉専門学校一年  那波 範英

 「スリランカで現地の子ども達とキャンプ」…このキャンプの存在を知った私は、よくお世話になっているYMCAの主事の方の勧めを受け、キャンプに参加することを決意しました。言葉が通じないという不安はありましたが、子どもとは言葉ではなく体でぶつかっていくことで分かり合えると信じていました。実際に現地の子ども達と出会うと、ジェスチャーと簡単な単語での会話で何とかコミュニケーションをとることができたし、何より踊ったり、柔道をしたり、体を使って分かり合うことができたと思います。 また子どもたちと遊ぶ中でたくさん感動することもありました。その中でも特に嬉しかったのは、最終日のキャンプファイアーでの出来事でした。キャンプに来ているリーダーのうち、誰かのジェスチャーを子ども達が考えてみんなに当ててもらう、というゲームをしたのですが、30人を超えるリーダーの中から、なんと自分のジェスチャーをしてくれたのです。周りの子ども達もそのジェスチャーを見て、「ぽん!」と答えてくれ、子ども達が私のことをよく見てくれている事をひしひしと感じ、非常に嬉しかったです。 キャンプでは90人もの子ども達と一緒に過ごしていたのですが、特に私と多くの時間を過ごした二人の子どもとの別れは特別寂しいものでした。 一人目の子の名前はディラクシャン、14歳の彼は帰りのバスに乗り込む間際、私の顔を見ると、何ともいえない寂しそうな顔をして「Good Bye」と言いました。私はたまらなくなり、お互い抱きしめあいました。お互い何も言いませんでしたが、私は彼との四日間の出来事を思い返していました。長い時間抱きしめあった後、彼は寂しそうな、けれど何か吹っ切れたような明るい顔でもう一度「Good Bye ぽん!!」と言い、バスに乗り込み、とても素敵な笑顔を窓からのぞかせながらいつまでも手を振ってくれていました。 スマトラ沖地震津波 被災児支援キャンプ グループのお姉さん役だった女の子、マルサマニは公共のバスで帰るということだったので、私たちも見送るためバス停で彼女達が乗るバスを待つことになりました。私が最後にさようならを言おうと彼女に近づくと、彼女が笑顔でおもむろに抱きついてきてくれました。大人びている彼女が抱きついてくるとは思ってもいなかったので非常に驚きました。その間、彼女とも会話はありませんでしたが、精神的に大人な彼女が抱きついてきてくれるほど心が通い合えたのかと思うと何ともいえない嬉しさが込み上げてきました。そして、何台かの満員バスを見送った後、彼女は日本の通勤ラッシュのように人が乗っているバスに強引に乗り込み、地元へと帰っていきました。 このキャンプで、私はたくさんの笑顔に出会うことができました。子ども達の年齢・種族・性別は様々だったが、みんなの笑顔・目の輝きは日本の子どもにも決して負けない素敵な笑顔でした。自分が学んだこともたくさんありました。今までは「地震被害は大変なもので、現地は困っている。どうにかしないと。」と声を張り上げてはいても、心のどこかでは自分とは関係ない「他人事」だと思っていました。それが、被災地の姿や復興、被災者の現実、それらを目の当たりにすることで、スリランカの現状が俄かに身近なものとして実感することができました。自分の価値観でものを見てはいけない事も改めて思い知らされました。 このキャンプに参加しなければ、これらの経験はきっと一生できなかったと思います。同時に、この一週間の出来事はおそらく一生忘れないと思います。今回の経験を自分の中で終結するのではなく、YMCAの仲間や私の周りの多くの人に知ってもらう事で、国際協力の輪、人の和を広げていきたいと考えています。

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ムンバイの街角で 世界YMCA同盟結成150周年記念大会に参加して

京都YMCA理事・常議員 野崎 康明

  8月17日~21日まで、インドのムンバイ(ボンベイ)で開催された世界YMCA同盟結成150周年記念大会に参加して、多くのことを考えさせられました。 今回の大会では、当初私が参加するにあたって考えていた、世界のYMCAの仲間と、これからのYMCA活動について話し合い、友好を深めることができるかなと思っていた事は、あまり実現できませんでした。それは特に欧米のYMCAからは総主事や中心スタッフ、理事の参加がなかったことと、600名という参加者に対して会場が狭く、運営もスムーズになされないために、交流の場が持ちづらかったということがありました。 しかしボンベイYMCAの働きを見学したことやムンバイの街を歩くことで、それ以上の多くの収穫がありました。 ボンベイYMCAの働きの中心は貧しい人達への支援であるということです。若者達への職業訓練の場を提供している職業訓練センター、学校に行けない子ども達へのナイト・スタディーセンター、両親がいない子や片親の子ども達の施設であるボーイズホーム、ストリートチルドレン・センター、貧しい家庭の子ども達用のチャイルドケア・センターなどの施設がいくつもあり、YMCAの会員や協力者の寄付で賄われているのを目の当たりにし、日本のYMCAが忘れかけていたもの、欠けていたものを思い出させられました。 私自身の錆ついた日頃の働きの中で、この光り輝く働きの場は、とても眩しく、私のこれからのYMCAでの活動を考える良きしるべとなりました。 世界YMCA同盟結成150周年記念大会 ムンバイの街を歩いてみると、ほとんどの車が常にクラクションを鳴らして走っており、2車線の道路を3車が走っていたりします。横断歩道は少なく、道路横断は車の波の中を泳ぐようにして渡り、街中の買物は常に日本の年の瀬のように混み合った中で行わなければなりません。貧しい人達の地域では、どうしてこんな状態があるのだろうと考えさせられてしまうほどの貧しさがあり、一方高級マンションでは門衛が何人もおり、住人と従業員専用のエレベーターを持ち、快適な生活がある現状です。とにかく一日過ごすだけでどっと体力が消耗し、頭が混乱するような生活がそこにはあります。 しかし、そのような中で人々、特に子ども達の常に明るく生活している様子を見るにつけ、今の日本に欠けている何かがここにあると思いました。その何かは、未だはっきりしていませんが、これからゆっくりと考えていこうと思います。暑さと混雑と騒音の中でのムンバイでしたが、多くの学びの時でもあったと感謝しています。

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国際協力キャンペーン展開中!!

京都YMCAでは毎年10月より2ヶ月間、地球上のすべての人々が国境や人種を越えて人間らしい生活のできる平和な世界を作り出すため、国際協力キャンペーンを行っています。この期間に様々な形で国際協力募金活動を行い、その貴重な募金を世界のYMCAネットワークを生かして難民救済や災害復興等の活動に使わせていただきます。キャンペーンへの皆様のご理解とご協力をお願いいたします。 国際協力キャンペーン 11月6日、雨の中京都市内の各地で総勢354名のYMCA会員の奉仕のもと、街行く皆様から国際協力募金として348,191円のご寄付を頂戴いたしました。

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ありがとうございました 専門学校「学園祭・24時間チャリティーマラソン」

専門学校の年に1回のお祭りである「学園祭」が10月30日(日)行われました。また前日午後1時スタートした24時間チャリティマラソンも無事終了しました。 専門学校「学園祭・24時間チャリティーマラソン」 24時間チャリティマラソン初日は朝から雨でしたが、スタート時には雨もあがり、交代で無事24時間を走り抜きました。また昼夜問わず一緒に学生をサポートしてくださったウエストワイズメンズクラブを始め、学生以外にも多くの方に走っていただき、合計47,828円の募金が集まりました。また31日(日)の学園祭では、めいぷる・プリンスの各ワイズメンズクラブのやきそば・うどんのお店や、学生の模擬店、オークション、ライブ、クラフトコーナーなどを行いました。また久しぶりに寄贈品販売のコーナーも復活し、ご近所の方や、来春入学予定者、友達や先生、多くの関係者の方々に来ていただくことができました。寄贈品販売や模擬店などの収益124,831円は、チャリティマラソンの収益と合わせて、YMCA国際協力募金に寄付させていただきます。今年も多くの方々のご参加、ご協力をいただき感謝申し上げます。

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チャリティー映画会  「ガラスのうさぎ」 を開催しました

去る7月30日・31日の両日(全4回)、京都教育文化センターにて「ガラスのうさぎ」を上映いたしました。このアニメーション映画は、12歳の少女が東京大空襲の体験を通して、戦争の悲惨さや恐ろしさを知り、その後の混乱や厳しい生活を生き抜きながら、平和への願いを渇望するという作品で、戦後60年の節目に、YMCAでは多くの人たちに戦争の悲惨さや、平和の尊さ、命の大切さを忘れずに持ち続けてほしいとの思いから実施いたしました。映画会には400名を超える方々にご参加いただきました。特にお子様連れの方々に多くお越しいただきました。なお、この映画会の収益金110,500円は、YMCAを通して行われる国際協力活動に使わせていただきます。

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