京都青年 2006年11月・12月号


人々の声を聴き、痛みを共有し、分かち合う心が育って欲しい
国際協力キャンペーンを通して

京都YMCA 主事 西岡 義郎

インドにて 市民活動を通じてYMCAの奉仕活動を広く知ってもらいたいとの願いも込め、1979年11月に国際児童年キャンペーンの一環として第1回国際協力・街頭募金キャンペーンが開催されました。「ぼくらでつくろう明日の世界」のテーマによる街頭募金キャンペーンは、京都駅前や四条河原町の繁華街、観光地の嵐山や祇園などをはじめ、市内一円で行われ、YMCA会員、生徒、講師、リーダー、ワイズメンなど656人が参加し、京都YMCAあげてのイベントとして実施されました。貧富の格差と子どもたちへの教育・医療・福祉などの必要性を述べ、YMCA間の協力による世界の子どもたちの生活環境の向上を訴えたものです。
YMCA間のネットワークを活かし、1975年4月京都YMCAの主事が3ヶ月間インド・ランチYMCAに派遣されました。その年9月に今度はインド・ランチYMCAから総主事が京都に3ヶ月間派遣されました。
ランチは貧しい生活を強いられている人が多い地域であり、YMCAは、職業訓練や識字教育、親のない子どもたちの教育、診療活動や衛生健康指導、スラムにおけるコミュニティセンター運営、農業指導や農村開発プロジェクトなどを通して、貧困の中に暮す人びとが自立して生きるため、自分の人生を主体的に生きるための支援活動を行っています。キリスト教、ヒンズー教、イスラム教、仏教、各部族宗教など様々な信仰を持つ人々が、目前にある貧困に伴って起こる問題に対し、YMCAを通して生き生きと暮らせる社会を創るために協働しています。
一時的な中断をみたものの、国際協力・街頭募金キャンペーンは、毎年11月に京都YMCAをあげてのイベントとして実施され、会員のみならず一般市民からも大きな共感を得ました。この街頭募金キャンペーンの経験を活かして、大地震などで被害を受けた地域の人達を励ます気持ちから、被災者救援募金が幅広い人達の協力で行われるようになりました。
先進国において、お金で何でも買える環境で暮らしている私たちの「謙虚さ」と自然の中で、恵みを待つ暮らしをしている途上国の人々の「謙虚さ」は、大きく異なるでしょう。
人々の声を聴き、痛みを共有し、分かち合う心を育てたい。今日、私たちは自然や他者の支配者、勝ち組ではなく、自然の一部として、謙虚に生きることが求められています。「知識は人を高ぶらせるが、愛は造り上げる。自分は何か知っていると思う人がいたら、その人は、知らねばならぬことをまだ知らないのです。」(コリントの信徒への手紙Ⅰ 8章1節~2節)
インドにて 「恐れるな、わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町であなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」(ルカによる福音書2章10節~12節)
クリスマスを前に、すべての人の救い主である神の前で、民族や宗教・宗派を超えて平和にいきいきと暮らせる世界をつくり、維持することを願い、紛争や災害、貧しさの中にある人びと、特に青年・女性・子どもたちの側に立つ視点を大切にした、YMCA運動を発展させたいものです。

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第37回全国YMCAリーダー研修会 “Let’s make OUR communication”
~愛・思いやり・希望 子ども達とともに未来を拓くリーダーを目指して~

2006年10月7日(土)~9日(月・祝) 京都市野外活動施設 花脊山の家

京都YMCAウエルネス事業部
主事 久保田 展史

全国YMCAリーダー研修会

10月7日、雨のそぼ降る秋の日に京都市の北の山あいにあります「花背山の家」にて『第37回全国YMCAリーダー研修会』が開かれました。全国のユースリーダー134名が、日頃のユースリーダーとしての働きを振り返り新たな学びの時を持とうと研修会に集まりました。大会は開会礼拝の後、同志社女子大学生活科学部教授の村瀬学教授の基調講演から始まりました。子どもの文化と笑いについて。子どもの変化するちからについて、宮崎駿監督のアニメ「となりのトトロ」や「ハウルの動く城」を取り上げて思春期の少年の揺れ動くさまについてお話をいただきました。
大会期間の3日を通して4つのセッションに別れて討議を行ないました。セッションはそれぞれ近江兄弟者学園小学校副校長の鳥井新平先生を講師とする「子どもをやる気にさせるコミュニケーション」、臨床心理士の佐々木一夫先生の「特別支援の必要な子どもとのコミュニケーション」、同志社大学大学院助教授、西村仁志先生の「環境や地域とのコミュニケーション」、同志社女子大学講師、荒木寿友先生の「メディア社会のコミュニケーション」というテーマで、講師の先生方のプレゼンテーションを受けてディスカッションを進めてゆきます。
2日目のお昼はワイズメンズクラブ国際協会西日本区京都部のうち16クラブ、130人のワイズメンが集って下さって、研修会のために手作りの世界の料理をごちそうしてくださいました。食事のテーブルにはワイズメンも混じり、食事をしながらワイズメンズクラブの活動のお話を聞いたり、京都YMCAでのワイズメンに支えられたリーダー活動の発表を聞いたりして笑顔あふれる交流を図りました。
3日間を通して日本聖公会京都教区の小林聡司祭にチャプレンとして礼拝を担当していただき、司祭の訪れたアフガニスタンやパレスチナの話を交えながら、私達が平和を作り出す人にならねばならない事を教えてくださいました。
2泊3日の短い間でしたが、参加された一人一人がこの研修会での多くの学びをそれぞれの活動に持ち帰り、この大会で作られた仲間との絆を大切にして、より一層すばらしい活躍をされる事を期待します。

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全国リーダー研修会を終えて

第37回リーダー研修会 運営委員会委員長 野崎 康明

 第1回の準備委員会で話し合ったことは、京都YMCAの持つマンパワーをフルに活用して、この研修会を実施して行こうということでした。
現役リーダー、リーダーOB、OG、会員、事業委員、常議員、理事、ワイズメンの皆さんの協力を得てこの大会を成功させたいと考え、これらのグループから準備委員、運営委員に入ってもらいました。
基調講演は同志社女子大学生活科学部人間生活学科の村瀬学先生に「現代の子どもと文化」と題して講演していただきました。その後から開始される3回のグループ討議には、現役リーダーと一緒にリーダーOB、OGもコーディネーターとして加わり、大きな働きをして下さいました。
全国YMCAリーダー研修会 2日目から開始された4つのセッションの3つまでは、京都YのOBで現在教育現場で活躍している、佐々木一夫氏、鳥井新平氏、西村仁志氏が担当して下さり、もう一つのセッションは同志社女子大学現代社会学部子ども学科の荒木寿友先生に担当していただきました。
これらの講師の先生方も各交流の場で積極的にリーダー達と交流して頂き、共に歌い、踊りの輪の中に入って下さり、まさに今回のテーマである「make our communication」を示して下さいました。
2日目の昼食は、京都の各ワイズメンズクラブの皆さんが総出演で、工夫を凝らした昼食を提供して下さいました。参加者はプレートを持って各コーナーを回り、山盛りにした食事を平らげていました。グループごとに参加してもらったワイズメンの皆さんとの交流も、全国から来たリーダーたちには初めての経験として意義のあるひとときでありました。朝からそのための準備をして下さったワイズメンズの皆さんに心から感謝します。
最後の全体セッションの発表を聞き、リーダーの皆さんが多くの感動とコミュニケーションの大切さを認識し、あらためて子どもたちとの活動に意欲を燃やそうとしている決意が感じられました。この体験を各YMCAにおいて、今後生かしていって下さることを願っています。
最後に、この研修会を支えて下さった準備委員、運営委員、現役リーダーの皆さん、そのリーダーとして働いて下さったスタッフの久保田氏、松本氏、植田氏に御苦労様でしたと心より感謝致します。

日本聖公会大津聖マリア教会 彦根聖愛教会牧師
小林 聡司祭

 礼拝では色々な要素を盛り込みました。戸惑いや違和感を持たれた方もおられたと思いますがそのような心の動きも自分を見つめるいい機会となると思うのです。
全国YMCAリーダー研修会 礼拝の意図は、平和を作り出す者となっていきたいとの思いを基本に置きながら、この世界の命の破れの現実に目を向け、その中でのコミュニケーションを目指して私達が新しくされることを祈りました。聖書は、神の創造の働きと打ちひしがれた者と共に生きる者への神の祝福の箇所を選びました。
私がお話を通して伝えたかったことは、人はたえず誰かと出会い、自分の枠を広げたり破ったりして成長し、異質な誰かと共に生きていく者へと成長していくのだということです。そしてリーダーとは異質なものの間に身を置き、それをつなげていく存在だと思うのです。私は、皆さんに出会えたことを心から感謝するとともに、これからも様々な人の間に入っていってつなげる存在になって頂きたいと思っています。

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全国YMCA リーダー研修会に参加して

第37回全国リーダー研修会運営委員
中西 利明(野外リーダーOB)

 小学生英語から始まった京都YMCAとの付き合いも、野外活動クラブのリーダーを最後に26年もの歳月が流れました。特にリーダーとしてお世話になった4年間は、数多くの友人にも恵まれ、現在でもその付き合いは続いています。その間、何か恩返しをしたいと思っていたところ、横浜から京都へ転勤の話があり、今回、全リー研のスタッフとして参加させていただくことができました。最初はリーダー活動とはずいぶんブランクがあるため、果たしてうまくいくのだろうかという心配をしておりました。大学生というといまどきの若者、茶髪にピアス、コンビニや路上での座り込みというみっともないイメージが先行していたのですが、実際、全国から集まった多くのリーダーをみると誰もが積極的で明るく、今回の研修で何かをつかんで帰りたいという意欲を感じることができました。講師の先生方の努力もあるとは思うのですが、参加者は多くのプログラムと課題をこなしながら最後までよく頑張ったと思います。今回、YMCAの社会に対する大きな役割のひとつは人材育成であると感じました。また京都YMCAがそのことを実践することによってOBやワイズなど多くのサポーターに支えられていることが理解できました。参加者には子供たちとのコミュニケーションアップだけでなく、社会に出てもYMCAで培ったフィロソフィを実践し、活躍していただくことを期待しております。

第37回全国リーダー研修会
運営チーフリーダー
長屋 圭介

 全国から集った仲間を乗せたバスが施設に到着した瞬間、私自身が参加した昨年の全国リーダー研修会を思い出しました。おそらく、そのとき私が感じたように、今年の参加者の仲間も不安と期待でいっぱいだったでしょう。その期待に答えることができるように、私たちスタッフはこの日まで準備を重ねてきました。
全国YMCAリーダー研修会 全国YMCAリーダー研修会は、「研修会」という言葉の通り、意義のある内容でなければなりません。また、楽しく、思い出に残るものでなければなりません。私たちはその大きな二つの課題に立ち向かってきました。その中での私たちのテーマは「京都らしさ」でした。
私たちは、今回の研修会に向けてテーマソングを作りました。京都YMCAのリーダー全員で歌の練習を行い、夜遅くまでレコーディングをしました。その結果、見事なCDが出来て大成功を収めました。
また、昼食交流会は、150人を超える数多くのワイズメンズクラブの方々、スタッフ、リーダーたちが一丸となって取り組んだことにより成功しました。
このように、第37回全国YMCAリーダー研修会での一つ一つのプログラムは、スタッフやリーダー、ワイズメンズクラブの全員が一丸となって取り組むという「京都らしさ」によって出来たものだと思います。
この経験は私たち京都YMCAのリーダーにとって大きなものとなりました。ミーティングやキャンプなど、これからの活動にも、今回のような「京都らしさ」を大切にしながら取り組んで行きたいと思います。

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参加者として

キャンプリーダー 菅原 好章

 私にとって全リー研の3日間はとても貴重で充実したものとなりました。この3日間様々なことがありましたが、その中でも心に残った時間は、夜にグループのメンバーで自分の課題や悩みについて語り合った時間です。私は「子どもへの叱る、褒める」ということを課題として持っていきましたが、グループのみんなが一緒になって深く考えてくれて、考えを深めることができました。又グループのみんなもそれぞれの課題、悩みを打ち明けてくれて、「理想のリーダー像」「後輩リーダーの育て方」「リーダーとしての自覚の薄さ」などについて語り合いました。その中で新しい発見があったり、みんな同じ悩みを抱えていることを知り、たとえ問題が解決しなくとも前向きに考えることができました。私は3日間を通して、普段からリーダーとしての自覚を持つことでリーダーとしての自信につながるという答えを見つけることができました。最後に全リー研の関係者の皆様に深く感謝いたします。

アウトドアクラブリーダー
酒井 綾乃

 全国リーダー研修会に参加して、私は自分に足りなかったことを改めて実感することができました。
セッショングループのワークショップでは、みんなの真剣さに驚きました。もちろん私も真剣に参加していましたが、普段の京都YMCAのミーティングでは味わえない雰囲気にものすごくワクワクしました。まず発言者は、思ったこと・感じたことがあればすぐに発言する。自分の気持ちをみんなに伝えようとみんな必死でしゃべりました。それから、聞く人は誰一人として無関心ではなく、自分の言葉で噛み砕いて聞き、たとえ考えがまとまっていない発言でもみんなが真意を聞き取ろうとしていました。そして何より驚いたのは、当たり前のことですが、人の話を最後まで聞くということです。どれだけ熱く白熱していても、人の話を横切ったり、止めてしまう人は誰もいないことに驚き、普段の活動でミーティングをしている時、きちんとみんなの意見を受け止めて、真意を理解してあげているのかどうか、不安になりました。とにかく、びっくりするぐらい真剣に白熱したワークショップが行われたのですが、一秒も嫌な雰囲気になりませんでした。それは、お互いによく知らない関係なので、その人の意見に対しての意見を言うことはあっても、その人の人格に対しての意見を言ったり、ということがなかったからだと思います。普段は一人一人よく知った仲間とミーティングをしているので、知らず知らず、その人の人格に対しても意見してしまっている場面があるんじゃないかなぁと思いました。
生活グループでは夜はみんなとゆっくり話ができました。2日目の夜、色んなことを話しました。私のグループは、2年目・1年目のリーダーが多かったので、たくさん話を聞きました。今回年下のリーダーたちの話を聞いて思ったことは、みんな同じということです。私が1年目のときに思っていたこと、2年目のときに悩んでいたこと、どの話を聞いても身に覚えのある話ばかりでとても親近感がわき、何となく今私の活動しているおひさまニコニコクラブにいる1年目のリーダー、年上のリーダーとの関わり方が分かってきたような気がしました。辛いのは自分だけじゃなく、私自身の辛さは同じかそれ以上に色んな辛さ・負担が後輩リーダー、周りのリーダーにもかかっているのだと思います。もっと一人一人とたくさん話し、先輩後輩にあるべき人間関係を作っていくことが必要だと思います。ミーティングのときに限らず、いつでもその人の真意を聞き取り、受け止めることのできるリーダーになりたいです。
全国YMCAリーダー研修会から一ヶ月以上たち、最近また壁にぶつかっています。人の話を聞き、受け止めるだけでいいのか、自分らしい仲間との関わり方とはどんな関わり方だろうと考えています。自分らしい関わり方を見つけて、良い人間関係、チームを作っていきたいと思います。

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YMCAと私

ウェルネス事業部主事
藤尾 実

 大学受験に失敗し、浪人時代を神戸YMCAの予備校で勉強し、見事に大学に合格することができました。その縁で、神戸YMCAでキャンプリーダーをすることとなりました。結果的にそのキャンプリーダーで体験したことが、自分の人生の方向を決定する大きなきっかけとなりました。
「人に関わる仕事がしたい。人の成長に関わる仕事がしたい。そんな環境に身をおいて、自分も成長したい」という思いがリーダー時代に育まれ、京都YMCAに入職しました。入職してからは、体育活動を中心に担当し、成人スイミング、マシントレーニング、子どものスイミング、サッカー、バスケットボール、体操教室、キャンプ、デイキャンプなどの活動に関わってきました。
リーダー時代から現在に至るまで、会員、保護者、レイマン、リーダー、スタッフ・・・・・・多くの人たちとの豊かな出会いがありました。また、その出会いの中で、多くのことを教わりました。
・どんなときでも、楽しさを大切にすること
・ほめることを大切にすること
・人のいいところを見ること、見つけること
・気づきを大切にすること
・自分のことだけでなく、他者も大切にすること
・すべてのものに優先して、安全を考えること
・神から与えられた生命を大切にすること  など
他にも、このスペースでは書ききれないほどのことをYMCAには、教わりました。すべてのことが、自分が生きていく上での指針となっていて、自分はYMCAに育ててもらったと言っても、過言ではないと、思っています。
これからも、自分自身がもっとYMCAのことを知って、もっともっとYMCAのことが好きになれたらと、思っています。そして、現在YMCAに関わっている人たちも、これからYMCAに関わる人たちにも、さまざまなYMCAでの体験の中で、YMCAのことが好きになっていただけるように、そして、YMCAが、京都の地になくてはならないものとなるように、精進していきたいと思っています。

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