京都青年 2008年9・10月号


YMCA国際福祉専門学校の使命
~日本社会の国際化と福祉系人材育成機関として~

京都YMCAの専門学校は、今年の春よりこれまでの烏丸今出川から三条本館内に校舎を移転し、三条本館の2階3階を新校舎として新たなスタートを始めました。また、校舎移転にあわせてそれまで語学教育部で行っていた日本語を教える日本語科を専門学校の文化教養専門課程に入れ、京都府下で 初めての専門学校の専門課程の日本語科として設置することになりました。この結果、昼間の介護福祉学科と日本語科、夜間の社会福祉学科を備えた名実ともに国際福祉専門学校として新しい歩みを始めています。

専門学校の学生 京都YMCA国際福祉専門学校は、1997年春に介護福祉学科を開設して福祉系の人材養成を始めてから10年が経ち、その間介護福祉士を初め、訪問介護員(ホームヘルパー)の養成、社会福祉士の養成と21世紀の福祉社会を構築する福祉人材の養成を目的にこれまでに1000人以上の人材を福祉の現場に送り出してきました。しかし、近年新聞報道やマスコミ等で報じられているように福祉の人材養成においては、大きな試練を迎えています。福祉現場特に介護の現場での人材不足が深刻化し、一方介護福祉士養成を行う養成校でも志願者が急激に減り、定員割れが続出し本校も例にもれず定員を大きく割っている状況です。しかし、これから団塊の世代の高齢化が進み介護が必要となってくることが確実な日本社会にとって、介護を担う人材が不足することは、介護保険制度を高齢者福祉の基幹に据えた現在の日本の社会保障制度の根幹を揺るがす大きな問題となり、このままにしておくわけにはいきません。したがって介護福祉士をはじめ福祉人材の養成は様々な変遷を経ながらもYMCAにとってこれからも必要性の高い事業と考えます。

一方、京都YMCAの日本語科は、1985年に京都YMCAで開設されて以来、国の留学生受け入れ方針が何度も変わる中で入国管理事務所のビザの許可率に振り回されながら、20年の間に1000人以上の留学生を受け入れてきました。今回、日本語科が専門学校の専門課程になったことで、入国ビザが就学生ビザから留学生ビザに変わり、更新期間が長くなり、また通学定期が使えるようになるなど学生にとっても京都YMCAで学びやすくなりました。

専門学校の学生 日本の社会もグローバル化が進み、物や情報だけでなく海外から多くの人が訪れています。それらの外国人はこれまでのように観光だけですぐ日本を離れるのでなく日本で暮らし、日本で仕事をする人も増えてきています。

福田政権の時にだされた「留学生30万人計画」も今年7月にその骨子が発表され実現に向けて具体的な動きの中で現実味を帯びてきました。

しかし、留学生を増加させることの意味するものは、単に学生が増えることだけではありません。留学生の中には留学後母国に帰る者も当然いますが、中には日本の大学等を卒業後日本で学んだことを活かし日本で就職し生活していく者も増えることを意味しています。その事は、単に受け入れる学校が彼らをどう受け入れるかと言う事で終わらずその先日本社会が外国人の定住者を受け入れることのもたらす様々な問題、その為に社会の仕組みを含めて受け入れる体制を整えてゆくことなど多くの問題を含んでいます。

専門学校の学舎 京都YMCAは、福祉社会の実現、多文化共生社会の実現を目標としてあげておりこれらの課題にどう具体的に取組むのかが問われているところですが、それらの社会の実現には、私たちの社会の価値観や考え方の変革が求められます。また、広い意味でのコミュニケーション能力が求められます。

福祉系の学科と日本語科を併せ持つ人材養成機関としてそれぞれの学科の特徴を活かしながら、授業やさまざまなプログラムを通じて福祉の考え方、多文化の理解と他者の受容と多様なコミュニケーションを学んだ人々を、社会に送り出してゆくこともその一つの役割であり、また専門学校としてのこれからの使命といえるでしょう。

今年の7月から日本とインドネシアのEPA(経済連携協定)の結果約130名の介護士がインドネシアから来日し現在研修を受けており、研修終了後全国の介護現場に入ることになります。福祉の現場においても多文化共生社会が目の前に迫っています。

京都YMCA国際福祉専門学校
副校長 加藤俊明

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障がい児支援に779名が参加!
~第4回 京都YMCAインターナショナルチャリティーラン~

日時 2008年5月18日〈日) 9:00~15:00
場所 鴨川公園(北大路橋~出雲路橋)
主催 京都YMCA、日本YMCA国際賛助会
ワイズメンズクラブ国際協会西日本区京都部
後援 内閣府障害者施策推進本部、厚生労働省、
全国社会福祉協議会、京都府、京都市、京都府教育委員会
京都市教育委員会、京都府社会福祉協議会
京都市社会福祉協議会、NHK京都放送局
株式会社京都新聞社、α-STATIONエフエム京都

 皆様のご支援とご協力のおかげをもち障がいのある子どもたちのための第4回インターナショナルチャリティーランを5月18日に無事終えることができました。ご協賛いただいた団体や企業、個人の方々、また、ランナーとして出場くださった皆様に深く感謝いたします。
なお、このプログラムで集められた金額から大会運営経費を除くすべてを全国YMCA障がい児プログラム支援、京都YMCA障がい児支援基金に使われます。

チャリティーランの様子 チャリティーランの様子
チャリティーランの様子 チャリティーランの様子

チャリティーランの様子

第4回京都YMCAインターナショナルチャリティーランに、2,991,103円が寄せられました。

■収入の部
 参加費 447,000円
 イベント 508,503円
 協賛金 2,035,600円
合計 2,991,103円
■支出の部
 広報通信費 223,307円
 プログラム費 (会場費含) 523,423円
合計 746,730円
■収支差額 2,244,323円

上記の収支差額は次のように使用させていただきます。
○全国YMCAの障がい児プログラムの支援のために日本YMCA同盟へ  598,221円
○京都YMCA障がい児支援基金へ繰入れ  1,646,102円

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平和の集い2008 を開催
~戦争の文化から平和の文化へ~

 1970年から毎年8月に平和の集いを開催してきましたが、今年は(財)広島平和文化センター理事長スティーブン・リーパーさんを迎え、世界中から核兵器を廃絶することの重要性を学びました。

スティーブン・リーパー氏 現代は「競争文化」「戦争文化」の時代であり、違い・対立の考えを持ち、善悪で物事をはかり暴力や戦争の方法を考える時代になっている。
今のアメリカは帝国となり、力で、世界を抑え込もうとしている。核を持つことによって、平和だと考えていることや、富裕層の儲ける仕事(軍事産業)をなくしたくないことなどが大きな問題となっている。帝国は歴史から見てもいつか崩れる。今、核を廃絶するか?更に多くの国が核を持つか?の分かれ道に来ている。核兵器を使えば、エスカレートし、地球はつぶれ、半分の人間が死ぬことになるでしょう。
「平和文化」は、すべての人が納得できる、協力が必要です。人の健康と同じように、全ての部分が機能するように、地球上の全ての国や人々が健康を維持するのが「平和」です。
そして、力の文明(支配者と従者)から、愛の文明(知恵、勇気、コミュニケーション)への転換が必要です。
アメリカには外圧が必要です。鍵は日本です。核兵器の恐ろしさを知っている日本が平和文化のリーダーとなり、忠実な日本がアメリカにNOといえば打撃となります。アメリカは自国で止めることが出来ない状態で、外圧が必要です。
本財団は広島市が主宰し、世界の2200を超える都市が加盟する平和市長会議とともに、2020年までの核兵器廃絶を目指す「2020ビジョン」に取り組んでおり、核兵器廃絶するための連動を示す「ヒロシマ・ナガサキ議定書」の核不拡散条約再検討会議での採択に向けた取り組みをしています。
世界の多くの人々は核軍縮を望んでいるのに、「競争文化」執着して、人類が苦心して築いてきた文明を破壊しようとしていることは、許されないことであり、核兵器廃絶への努力を訴えています。
2009年「ヒロシマ・ナガサキ議定書」の国連総会での決議に提出する署名運動を繰り広げ、多くの署名を集める協力をお願いしています。平和のために運動を起こす時が来ています。

(文責 編集部)

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九州縦断アドベンチャーキャンプ

 今年も多くのサマーキャンプが実施され、大きな事故もなく無事すべてのプログラムを終了することができました。そして今年も「アドベンチャーキャンプ」は九州を舞台に実施されました。このキャンプは長期移動型のキャンプです。四国や九州など、毎年場所やルートを変えて実施しているのですが、このキャンプの最大の特徴は、あらかじめ決まっているのは各地の宿泊場所だけ。そこまでのルートや途中の見学箇所などはすべて参加者の子どもたちがグループの仲間と話し合って決定しながら進むのです。今年は「九州縦断アドベンチャーキャンプ!」と題して、別府から阿蘇、熊本を通り天草を抜けて鹿児島へ。最後は志布志港からフェリーで大阪へ戻るルートでした。

九州縦断アドベンチャーキャンプの様子 行程を決定する話し合いでは、少人数のグループとは言えひとりひとり興味があることが違うので、常に意見のぶつかり合いです。子どもたちは、みんなが納得する結論を導き出すまで、じっくりと話し合います。自分の意見が通らない事ももちろんありますが、他者の意見を受け入れることも、子どもたちにとっては大きな学びです。

 大きなリュックを担いだ子どもたちは、街ゆく人に声をかけられることが多々あります。地元の老人が方言で話しかけてきて、ほとんど理解できないなんてこともあります。京都で知らない人に声をかけられたなんて言うと、事件として取り上げられるかもしれませんが、旅先での人々との出会いは何よりのお楽しみ。また、子どもたちから地元の人に声をかけて、周辺の情報などを教えていただくこともあります。中にはお野菜をくださったり、荷物をトラックで運んでくださるようなご好意に出会い、その親切心に心打たれることもあります。

 米炊きやテントの設営など、いわゆる野外技術だけがキャンプでの学びではありません。このキャンプのように仲間とのかかわりや旅先で出会う人々とのかかわりの中で、子どもたちは大いに学び成長するのです。

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インターナショナルキャンプカウンセラープログラムinジャパン
(ICCP in J)

 京都YMCAは昨年から全国のYMCAとともに、台湾からのキャンプリーダーを受け入れています。ICCP in Jといわれるこのプログラムは、日本と台湾の青年指導者の交流を目的とするプログラムで、今年も高雄市出身の元気な女性リーダー黄乙文さんが来日しました。期間は7月17日から8月19日までの約1ヵ月間で、おもにサバエ教育キャンプ場でのキャンプを体験していただきました。

黄さん ICCPとしてこれまでにも、アメリカで行われたものに日本からリーダーが参加したり、日本で韓国からのリーダーを受け入れたりしています。今回来日した25名の台湾のリーダーたちは、北は北海道YMCA、南は熊本YMCAにまで分かれ、1か月のキャンプリーダー経験をしました。

 黄さんは「はなぴーリーダー」と呼ばれてサバエキャンプ場でキッチンスタッフを手始めに、湖の子チャレンジキャンプのスタッフやファミリーキャンプのプログラムスタッフなどを経験しました。これらのキャンプでは、子どもたちに台湾でのあいさつや簡単な言葉を教えてくださったり、台湾の特徴的な料理を野外料理として教えていただいたりしました。

 長期間の滞在にも関わらず、疲れを見せずに常に笑顔で積極的な黄さんは、仲間のリーダーたちからも慕われ、子どもたちともやさしく接してくれました。

 次年度以降も台湾からの指導者をICCPとして受け入れる計画です。

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