京都YMCA News(京都青年) 2017年11月号


京都YMCA News 2017年11月号 記事一覧

保育・幼児教育の変化と課題
2018年度開園! YMCA三条保育園

活動報告
第7回 AIDS文化フォーラム in京都
社会セミナー 認知症サポーター養成講座


保育・幼児教育の変化と課題

池坊短期大学 幼児保育学科 教授
神戸 洋子

≪子ども≫はあなたを通してやってきますが、あなたからではなく、あなたと一緒にいますが、それでいてあなたのものではないのです。(カリール・ジブラン: 『預言者』 佐久間彪 訳、至光社)私が、置かれた場所でいつも心に留めていようと思う言葉です。

保育とは、乳幼児期の子どもの健全な心身の発達を図り、その最善の利益を考慮し、 養護と教育を一体的に行うことです。子どもたちが落ち着いて安心・安全に過ごせる場所や環境に配慮する養護の側面と、子どもの様々な経験を通し、心や気持ち、体の育ち、 人との関係、ものを通して表現し考えること、達成感、自分らしさの育ち、言葉の育ち、 運動能力の獲得などを総合的に行う意識的な教育活動の展開を支える側面もあります。

2017年度に「幼稚園教育要領」「保育所保育指針」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」という保育・幼児教育の基本が告示されました。
保育・幼児教育を行う施設(認定こども園、幼稚園及び保育所等)は生涯にわたる生きる力の基礎を培うため、資質・能力を一体的に育むよう「知識と技能の基礎」「思考力、判断力、表現力の基礎」「学びに向かう力、人間性等」を3本の柱とすることとされました。 「知識及び技能の基礎」とは、 何を知っているか、何が出来るようになるかではなく、生涯、生きて働く知識や技能を示しています。「思考力、判断力、表現力の基礎」 とは未知の状況の中でも既知のこと、理解していることをどう使うか考え対応できることの基礎です。「学びに向かう力、人間性等」は、どのように社会や世界とかかわり、よい人生を送ろうとするかに繋がります。これらの基礎となる土台を培おうと要領・指針は同時期に告知されたのです。

また小学校との接続を考慮し、幼児期の終わりまでに育ってほしい事項として10の姿を謳っていますが、 それらの事項を全て備えて小学校に就学すると言っているのではありません。豊かな体験、主体的な遊びを通して子どもの未来が開かれていくよう願うということです。幼児教育がこのように土台を作り、学習指導要領の改訂(小学校は2020年度から実施予定)が行われます。

「子に愛を注ぐがよい。でも考えは別です。子をあなたのようにしようとしてはいけません。」(上掲『預言者』)
子どもの育ちや保護者の子育てを支え、子どもと子育て にやさしい社会、子どもが築く未来をも見据える時、3歳未満児の育ちをより大切にすることが重要課題です。
特に3歳未満児には、信頼できる大人としていつも子どもの傍らに寄り添い、子どもとの間に愛着関係や自己肯定感を育み、子どもの主体性をどうしたら育てることができるか真摯に考えて環境を整えることが大切です。それを行うのは家庭の保護者であったり、就労やその他の条件で家庭に代わる者であったりしますが、保育者には、多様な子育てニーズにどのように柔軟に応えていくかも含め、自分たちの資質・専門性を高めることが求められます。この研鑽を組織として行うのだと新指針にも明記されています。
遊びを中心として主体性を育てるとはどのようなことか、子どもの育ちを支えるとはどのようなことか、子どもたちが、子どもである今をよりよく生きるとはどういうことか、保育・幼児教育にかかわるすべての人が、改めて考えなおす時が来たのではないでしょうか。
 

2018年度開園! YMCA三条保育園

1889年の創立以来、地域社会の中で青少年の育成に取り組んできた京都YMCAが行う野外活動やスポーツプログラム、英語教育等は多くの子どもたちの学びと発見の場になっています。この128年の歴史の中で培ってきた青少年育成の経験を活かし、地域の保育ニーズに応えるとともに、これまで以上に地域の子育て世帯を支援していきたいとの思いから、2018年4月、新たに保育園を開設することとなりました。

会員・会友の皆様、地域の皆様が集うYMCAで、地域全体で子どもたちを育み、笑顔があふれる保育園となるよう取り組んでいきます。

☞ 詳しくは、こちらのページをご覧ください。

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活動報告

第7回 AIDS文化フォーラム in京都

第7回AIDS文化フォーラムin京都が、今年も同志社大学新町キャンパス尋真館において9月30日(土)、10月1日(日)の2日間開催されました。両日とも好天に恵まれ、またこの催しが浸透してきたのか、年々来場者の数が増えてきたように感じ、運営委員として携われることに喜びを感じております。

昨年から芸能人をゲストに招いての 『AIDS文化フォーラムin京都で何を語る?』 のコーナーでは谷口キヨコさんの司会で、歌手でタレントのはるな愛さんにゲストとしてお越しいただきました。ご自身の生い立ちから現在までことをお話しいただいたほか、幹事の先生方との楽しい掛け合いのトークライブ、そして来場者を巻き込んでの歌の指導?などもあり、時間の過ぎるのが早く感じられました。

各教室では当事者や先生方によるHIVやAIDSに関する色々な講演や展示ブースがあり、来場者が興味のあるテーマのブースに自由に行って、見聞きすることができます。2日目にはHIV抗体即日検査も実施され、多くの来場者やスタッフが受けていたようです。最近ではあまりニュースにはならないものの、全国的に感染者は増加傾向にありますので、このイベントが、HIVやAIDSへの正しい理解を広げる場となればと思います。

京都YMCAは、他団体と共に運営委員会を組織し、このイベントの開催に携わっています。事務局として運営全般のサポート等の役割を担っています。
今回、来場者は約1,000名、参加スタッフは103名でした。ご参加、ご協力くださった皆様ありがとうございました。

報告 活動推進専門委員会 乙坂 優次

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社会セミナー 認知症サポーター養成講座

9月29日(金)三条本館マナホールにて、社会福祉法人 京都福祉サービス協会 高齢者福祉施設 西院の河本歩美さんを講師にお招きし、社会セミナー「認知症サポーター養成講座」を開催しました。

今回の講座は、京都ジョブパークの共催で、京都府からも講座の告知をしていただいたこともあり、YMCA会員の参加だけでなく、普段YMCAと関わりのない一般の方にも多くご参加いただき、約60名が受講されました。

講座中は、何回かグループに分かれての意見交換の時間が持たれ、それぞれのグループで活発な議論が交わされていました。また、講座終了後にも講師への質問に来る方が何名かおられ、参加者からは、「認知症」は人ごとではない、「認知症」のことを真剣に学びたいという熱意が伝わってきました。真剣に受講いただき、とても内容の濃い社会セミナーになりました。

今後もより多くの方の学びにつながる社会セミナーを開催できるよう、次回は参加者100名を目標に企画したいと考えています。
さて、来年は何をテーマにしたセミナーを企画しましょうか…。

報告 活動推進専門委員会 北川 雅俊

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