京都青年 2007年6月号


気候変動に備える―京都議定書誕生10年に思う

京都YMCA常議員
宇高 史昭

 今から10年前に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)において、厳しい交渉の末、米国も含めた各国が合意し、「国連気候変動枠組条約・京都議定書」が誕生しました。その後も、議定書に定められたことを守ることは、地球の将来のためには必要であることとはいえ、各国とも経済発展に支障があるとの懸念から、京都議定書の運用に関して、少しでも自国に有利な条件を引きだそうとして交渉の決裂やアメリカの離脱などがあり、発効が危ぶまれた時期もありました。しかし、3年前ロシアの批准により、ようやく先進各国は議定書の約束実現に向けて、取組のスタートを切りました。省エネ、自然エネルギーの積極的利用などの気候変動対策を進めるEU、特に英国、北欧諸国、ドイツなどがこの取組をリードし、地球温暖化の原因となっている二酸化炭素などの温室効果ガスの削減に成果をあげてきました。そして,地球温暖化は科学的に不確実性があると主張し、対策に熱心でなかった米国でも、その後の研究や巨大ハリケーン・カトリーナの襲来で未曾有の被害を被った経験等から気候変動が看過できない事態であることを認め、また国内の自治体の中には、自動車排気ガスの規制等による温室効果ガス排出削減対策に積極的に取り組むところも現れたこともあり、最近ホワイトハウスの政策も方針を転換し始めました。さらに、発展の著しい中国でも、先進国による省エネ技術の支援を求めるなど、世界中が地球温暖化防止に向けて、様々な取組を進めています。

最新の気象観測の結果や地球温暖化を原因とする気候変動による影響予測などの研究成果をまとめた「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告書」の一部が最近公表されています。ご存じの方もおられると思いますが、地球温暖化は急速に進行し、近年気候変動の影響も顕在化するようになって来ました。気づきと対策の遅れもあり、地球上の平均気温は2030年まではこのまま10年当り0.2℃上昇し、21世紀末には1990年から1.1℃~6.4℃上昇するだろうと予想されています。そして、海面上昇、集中豪雨・大型台風による災害、地域によっては高温と乾燥による飢饉が生じるなど、気候変動による被害が発生することは避けられない状況です。そこで、被害を最小限に食い止めるために気温上昇を2℃以下に止めるための政策を実施することと、来るべき気候変動に備える対策を行うことをこの報告書は求めています。

宇高 史昭 では、私たちにできることは、何でしょう?まず災害や飲料・食料危機に備えると共に、電気・石油等のエネルギー・資源に過度に依存した消費偏重の暮らし方を変えて温室効果ガスの排出を減らすことや二酸化炭素を吸収させる森を増やすことなど、地球規模そして将来も考えた持続可能な生活と生業へと自らが意識的に変革していくことです。そして、将来の地球に生き残るためのサバイバル術と環境に負担を与えなかった先人のゆっくりした生活(スローライフ)を子供たちに伝えていくことだと思います。

YMCAのキャンプがその一助になることを私は願ってやみません。

京都市総合企画局地球温暖化対策室勤務
有限責任中間法人イクレイ日本
(ICLEI-Local Government for Sustainability Japan Office)へ派遣中

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国際福祉専門学校より

2006年度も無事修了し、卒業生が旅立ちました。また、社会福祉士国家試験合格率(既卒者含)が、81.3%と3年連続で80%を超える成績を残しました。この数値は、全国の学校別合格率の平均を大きく上回る成績(表を参照)で、全国の一般養成施設の中で第3位、近畿圏の一般養成施設では第2位、京都府内では第1位となっています。卒業生の今後のご活躍をお祈りします。

2005年 2006年 2007年
全国平均 29.8% 28.0% 27.4%
本校 85.7% 91.6% 81.3%

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