京都青年 2009年7・8月号


平和の道

 戦後64年目の暑い夏が今年も巡ってこようとしています。当時生まれた方が既に64歳と言う事は、戦争を同時代として体験した人は、多少なりとも物事がわかるようになって当時のことを覚えているのが終戦時10歳くらいからと仮定するとほぼ75歳以上の方と言う事になります。現在日本で75歳以上の方は約1300万人で日本の総人口の約1割です。毎年8月が近づくと戦時中のことを取り上げた番組が放送されますが、先日も沖縄戦を生き抜いた方の体験を取り上げた番組が放映されていました。既に80歳近くになっておられるそれらの方々は壮絶な沖縄戦の中を奇跡的に潜り抜けて生き残ったにもかかわらず、家族や友人ほとんどが亡くなった中で生き残ったことの罪悪感や当時の悲惨な体験等に長い間苦しめられ話すことのできなかった体験を戦後数十年経ってからようやくこのままではいけない、語り継がなければいけないという使命感から語り始められたと言う事でした。

東ティモールピースキャンプで平和の誓いを打ち付けた十字架
東ティモールピースキャンプで平和の誓いを打ち付けた十字架

 家族にさえ何十年もの間語ることのできなかった体験というものの重さは今の日本に暮らす大部分の私たちには想像のできない体験であっただろう推し量れるのみです。それは沖縄戦に限らず広島、長崎の被爆体験や焼夷弾の空襲を逃げまどった体験、また戦地での悲惨な非人間的な体験(それは加害者としての体験かもしれません)などに関しても同じことが言えます。しかし今それを語ることのできる人たちがどんどん減ってきており、このままで行くと数年も経たないうちに直接の体験を語れる人がいなくなる日が来ます。

 一方、情報化社会の今日われわれは戦争や紛争に関する情報を簡単に手に入れることもできます。現在どこで紛争が起こっており、爆弾テロで何人が亡くなったかという情報は、事件の起こったその日のうちに知ることもできます。またある意味戦争をリアルに体験できるゲームも世の中には数多く出ています。しかしそれらの情報やゲームでのリアルさは、あくまでも自分の痛みを伴わない体験や知識でしかありません。

 マスメディアやネットを通して流される断片的でしかない情報や痛みを伴わない疑似体験は、ややもするとそれを実態と見誤り誤った判断をしてしまう恐れがあります。

 人間は弱いもので、時代の流れに抗えずに大部分の人は、黙って状況を追認してしまいます。まさに戦前の日本がそうだったわけで、誰もが戦争を望んでいたわけではないのに戦争に突入してしまったのは、決して当時の人が愚かであったわけでも判断ができなかったわけでなく、気がついたときには抗いきれなかったと言う事ではないでしょうか。だから、私たちは、その悲惨さを体験した人たちがまだ生きているうちにその声に耳を傾け、それを引き継いで行かなければならないのではないでしょうか。
新約聖書にはルカによる福音書1章79節とローマの信徒への手紙3章17節の二箇所に「平和の道」という言葉が出てきます。
ローマ書では、「正しい者はいない。一人もいない。・・・その道には破壊と悲惨がある。彼らは平和の道を知らない。彼らの目には神への畏れがない。」と人間は神への畏れがない故に平和の道を知らないと言い、ルカ伝では、「これはわれらの神の憐れみの心による。この憐れみによって高いところからあけぼのの光がわれらを訪れ、暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、われらの歩みを平和の道に導く。」とわれらの平和歩みは神の光が導くと教えています。

オリーブ畑でにらみ合うパレスチナ地主とイスラエル兵
オリーブ畑でにらみ合うパレスチナ地主とイスラエル兵

 道は続いてゆくものです。平和の道は、立ち止まるものではなく歩んでゆくものであり、それを求め続けていくものだと言う事を聖書は「平和の道」という言葉で表しているのではないでしょうか。われわれは、人間の弱さ、愚かさを自覚し神への畏れを持つことによって平和の道を歩み続けなければなりません。この夏も様々な平和のための集会が開かれます。夏を迎えるにあたり今一度平和について改めて考えてみたいと思います。

編集部

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【活動報告】

ボランティアセミナー 聴くことの力、話すことの力

  ゴールデンウィークが終わった5月9日の夜、京都YMCA三条本館で佐藤泰子さんをお迎えしてボランティアセミナーが開催されました。今回が2回目の講演でしたが、第1回目は3日間の日程で行われ、今回は今日一日の講演ということで十分なお話ができないとおっしゃっていました。ですが、話し始められますと、要点を判り易く説明されますので、聴く私たちにはとても心地よく耳に入ってきました。

 現在、重い病気を患っておられる方が多く、家族にも自分の気持ちを話すことができないで、一人悩んでおられるようです。その方々にとって、自分の話を聴いてくれる相手があれば、痛みも和らぎ、また病気の進行も進みにくくなるようです。

 私たち親子、他人の会話においても、話したいことが思っているとおりには伝わりません。話すことの難しさは多くの人が体験されていると思いますが、聞くことは誰でも出来ます。しかし本当に「聴く」ことはとても難しいことです。

 知らないことは相談されても返す言葉が見つかりませんが、そのようなときに、相手が話した同じ言葉を繰り返すことで、相手は判ってくれたと感じます。そして次に伝えたい言葉につながります。また、相手からなかなか言葉が出てこないこともあります。とてもじれったく思うこともありますが、その時は相手が話すまで待つことです。「待つことの大切さ」も聴くことと同じく話し相手にとって、大変意味のあることなのです。

 私たちは、つい自分も知っていることを口に出し、相手を納得させようとしてしまいます。特に病気を患っておられる方には、一言がとても大きく大変なことでもあるようです。

 人の話を真剣に「聴くこと」ができる訓練の方法を学ぶとてもよい機会でした。

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2009年度会員総会

 2009年5月30日(土)午後5時から、京都YMCA三条本館にて、2009年度定期総会が開催されました。

 1部礼拝は野崎康明常議員会議長の奨励で「YMCAの目指すもの」と言う題で良きサマリア人のお話から、我々はいつも神様と共に生きており、YMCAも勿論神様と共に困難な人に寄り添う事が出来る人づくりを行っているというお話でした。

 続いて、2009年度の総会議事に入り、第一号議案から第六号議案まで議事が進められ、2008年度の事業報告・決算報告、2009年度の事業計画・事業予算について、神﨑総主事の説明がありました。2008年度は、「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」を年間聖句として、YMCAの使命である次の世代を担う人づくりを、様々なプログラムを通じて行って来たことを感じさせられました。また、その背景には、多くのワイズメンやボランティアリーダー達、そのOB・OG達の活動も光輝いている事も報告されました。

 また、「PLAN125」の計画の下、5年後のYMCAの将来像の策定にも取り組み、公益法人制度改革に向けての取り組みも紹介されました。昨今の経済情勢の下、まだまだ大変な状態が続くのではないだろうかと思わさせられ、会員の更なる応援が必要な事を今一度呼びかけしなくてはと思う次第です。

2009年度会員総会

 第二部のフェローシップアワーでは、「PLAN125」を語り合おうと言うタイトルで、サンドウィッチを食べながら、野外のリーダーを交え約100名の参加者が9つのグループに分かれて、約1時間の話し合いが持たれました。「ボランティア社会の構築」「青少年の育成」「福祉社会の構築」「多文化共生社会の成熟」「生涯学習の推進」の五つのテーマに別れ、どのグループも意見続出で熱気に溢れた一時間でした。最後に、今年も30名以上のボランティアリーダーにユースボランティア認証状が授与されました。

 一部の終了間際に、西岡義郎元主事がその日の午後5時10分にお亡くなりになったとの訃報が飛び込んで来て総会の会場が一時騒然となりました。この総会まではと頑張っていたのではないかと思われ目頭が熱くなりました。兼松牧師のもと一同で西岡義郎元主事のために祈りが捧げられました。

 2009年度の年間聖句「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」の言葉の元、今年もYMCAの活動に誇りを持って参加したいものです。

2009年度会員総会
実行委員長 岡西博司

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障がい児支援に798名が参加!
~第5回京都YMCAかもがわチャリティーラン

 今年も多くのご支援のもとで、開催することができました。

 チャリティーラン

日時 2009年5月17日(日) 9:00~15:00
場所 鴨川公園(北大路橋~出雲路橋、葵橋間)
主催 京都YMCA、日本YMCA国際賛助会
ワイズメンズクラブ国際協会西日本区京都部
後援 内閣府障害者施策推進本部、厚生労働省、
全国社会福祉協議会、京都府、京都市、京都府教育委員会
京都市教育委員会、京都府社会福祉協議会
京都市社会福祉協議会、NHK京都放送局
京都新聞社、α-STATIONエフエム京都

 5月17日(日)に開催されたチャリティーランは、大会委員長のチャック・ウイルソンの提唱により「集められた寄付金で全国のYMCAが運営するキャンプに障がいを持つ子どもたちが参加できる機会を提供しよう」という趣旨により始まりました。現在では、京都を含めて全国14ヵ所で実施されています。京都YMCAは今回で5回目を迎え、回を重ねるたびに競技参加チーム、ボランティア、協賛も増え、大きなイベントとなって参りました。

 今回より、大会名を「京都YMCAかもがわチャリティーラン」と京都らしく親しみやすい名称に変え、また従来の競技に加えて親子ペアランを増設、一般個人競技の距離を延ばしてクォーターマラソンとする等、多くの皆様に楽しんでいただこうと企画して参りました。大会当日は今にも雨が降り出しそうな天気となりましたが、早朝より運営委員、実行委員をはじめ、多くのボランティアの方々にお集まりいただき、会場設営、競技受付と屋台出店の準備にご協力いただきました。またプログラム協力として佛教大学応援団本部吹奏楽部の皆様による演奏、ステージでの京都ノートルダム女子大学チアリーダー「アミーガス」の迫力ある演技と京都学生祭典「京炎そでふれ!」の創作おどりの披露で大会を盛り上げていただきました。競技には、小学生駅伝に22チーム、親子ペアランに6チーム、一般駅伝に28チーム、グループランに37チーム、クォーターマラソンには33名と多数ご参加いただき、ありがとうございました。京都部のワイズメンズクラブ13クラブからの屋台出店と3クラブの運営協力、聴覚にハンディキャップのある方々の活動グループ虹のつばさ、マイマイの皆様にも出店いただきました。

 今回の大会では走者、ボランティアを含め500名を超え、また団体、企業、個人の皆様の温かいご支援により、協賛金総額は6月30日現在で2,528,123円に達することが出来ました。今年のチャリティーランも多くの皆様のお陰をもちまして無事に終わることができ、心より感謝申し上げます。

第5回京都YMCA
かもがわチャリティーラン実行副委員長
上原 康
(ワイズメンズクラブ京都部Yサ・ユース事業主査)

チャリティーラン チャリティーラン

第5回京都YMCAかもがわチャリティーランに、 2,528,123円 が寄せられました。

下記の収支差額は次のように使用させていただきます。
○全国YMCAの障がい児プログラムの支援のために
日本YMCA同盟へ   505,625円
○京都YMCA障がい児支援基金へ繰入れ  1,226,915円

■収入の部
  参加費 475,000円
  イベント 503,623円
  協賛金 1,549,500円
  合計 2,528,123円
■支出の部
  広報通信費 380,780円
  プログラム費
(会場費含)
414,803円
  合計 795,583円
■収支差額 1,732,540円

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