京都青年 2009年10月号


行動する良心

 バラク・オバマ大統領のプラハ演説から、世界は核兵器廃絶に向けて大きく舵を切りつつあるように見えます。まさに世界一核兵器を所有しているアメリカ大統領の言葉が世界を動かそうとしています。しかし、このオバマ大統領の言葉は決して突然に出てきたわけではありません。今日インド、パキスタンに続き、北朝鮮、イランなどが核兵器保有の既成事実を積み上げ、また新たに積み上げようとしており、さらに世界が恐れているテロリストの手に核兵器が渡る悪夢さえありえないことではないという状況に直面しています。その様な危機感が、核の超大国を動かしたともいえるでしょう。

 しかし、決してこのような危機感だけがアメリカを動かしたのではないと思います。そこに至るには、核兵器の廃絶に向けて広島、長崎の市民を始め、世界中の多くの人たちが核兵器の恐ろしさを訴え続けてきた運動があり、その延長線のうえにオバマ大統領の演説があることをわれわれは忘れてはならないでしょう。

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 先日、何十年かぶりに広島の平和資料館を訪れました。そこには日本人以上に多くの外国人観光客が訪れ皆静かな面持ちで展示を見つめていました。そして感想ノートには、様々な国の言葉で感想が書き込まれていました。

 日本を訪れる外国人が増え、世界中から来た人が64年前の広島、長崎のあの大きなきのこ雲の下で何が起こっていたのかを知ることで、核兵器廃絶への思いは少しずつでも確実に世界に広がって来たのだと思います。

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 先月、京都YMCAの「平和のつどい」で講師の徐勝氏は今年亡くなった韓国の元大統領金大中氏の言葉を引用し平和を作り出すものは「行動する良心」であると強調しました。

 核兵器の恐怖、自然災害、地球温暖化、地域間の経済格差と民族主義や宗教と結びついた地域紛争など現代に生きる私たちが抱えているグローバルな課題は数多くありそれらは複雑に絡みあっています。

 しかし、その中にあってあきらめて傍観するのではなく、良心の声に従って行動する者として一人ひとりが変わってゆくことが、絶望的な世界にあって少しずつでも希望を現実に変えてゆくのではないでしょうか。

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 京都YMCAでは11月には「国際協力街頭募金」、「YMCA・YWCA合同祈祷週集会」、「秋葉忠利広島市長講演会」と多くの世界の諸問題に取組むプログラムがあります。まず関心を持ち、知ることから始めてみませんか。ご参加お待ちしています。

編集部

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【活動報告】

佐用町水害救援 ボランティア派遣

  京都YMCAのボランティアビューロでは、8月に台風9号によって大きな水害の起きた兵庫県佐用町に対して会員及び市民のボランティアを募り8月29日災害ボランティアを派遣しました。

佐用町水害救援ボランティア

 参加者14名は午前7時、YMCAのバスにて一路佐用町に向かって出発。車内で参加者1人1人の自己紹介やビューロ委員会の目的、今後の行事を説明しながら、午前10時30分、佐用町ボランティアセンター(佐用高校)に到着しました。

 受付、注意事項の後、作業用道具を受け取り、2組(7人づつ)に分かれてボランティアセンターから10分ほどの指定された場所(民家)に移動し、ご家族との挨拶後、指示に従い作業に取りかかりました。

 作業の多くは、床上に泥を伴う浸水のため、建具、家具などの泥落としと水洗いで、昼の休憩中、派遣先のご家族との歓談の中で床上浸水、停電、断水の恐怖を共有しました。

 午後4時作業を終了し、ボランティアセンターへ作業報告、着替えをし、帰路に就きました。車中、参加者1人1人が今日1日の感想を話し、ボランティアに参加することの素晴らしさを実感できたと思います。

ボランティアビューロ委員 中島敬泰

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専門学校日本語科 異文化交流会

   去る9月12日(土)、国際福祉専門学校日本語科在籍の28名の留学生と、15名の国際リーダーがリトリートセンターにて異文化交流会を行いました。当日は天気が良くなかったのですが、プログラムは非常に充実した有意義なものとなりました。

専門学校日本語科 異文化交流会

 午前中は自己紹介を兼ねたゲームで交流し、午後からは様々なテーマについてディスカッションを行ったり、多文化共生のコミュニティ作りに役立つようなアクティビティがすべて日本語で進められました。また、京都ワイズメンズクラブの皆さんのサポートでバーべキューやスイカ割りをして楽しみ、キャンドルファイヤーでその日の思い出を語りながら、プログラムを締めくくることができ、アジアの青年たちが集まるすばらしい国際交流の場となりました。

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平和のつどい

  2009年度「京都YMCAの平和のつどい」は立命館大学コリア研究センター センター長の「徐勝(ソ・スン)氏」を招いて、9月24日19時よりYMCA三条本館にて「東北アジアに平和の実現を!」と題した講演をいただきました。当日は25名ほどの出席者のもと「平和のつどい実行委員」の桜井希さんの司会により進行がなされ、講演の質疑応答の後は神崎総主事の挨拶で無事終了いたしました。講師のソ・スン氏は1971年にスパイ容疑で韓国政府に逮捕され裁判の結果19年間を獄中ですごした方で、民主化の運動家では先日亡くなった前韓国大統領の金大中氏とともに、韓国の民主化運動の先端にいた方でした。

平和のつどい

 講演の内容は、金大中氏のモットーである「行動する良心」や「ウィンウィン(すべてが勝者)」の思考が韓国の多くの人たちを民主化へ導き、太陽政策が南北朝鮮の和解・協力・平和の方向を示したと説明しておられました。韓国の大統領でノーベル平和賞までもらった金大中氏の功績を評価されるのは当然のこととですが、ただその後韓国の大統領が現在の李明博氏になり外交政策が軌道修正されていることとその背景の説明ももう少し聞けたらとも思いました。

 また、日本と東アジアの関係については歴史問題とからめ、日本が世界の中で客観的にどのように見られているのかを「非正常な国」という言葉で表されていたことが印象的でもありました。この「非正常」は関係近隣諸国との過去に目をつぶり過去の清算のないままに米国との関係一辺倒で来たこれまでの排他的島国根性を捉えたある意味的確ないいかたかもしれませんが、今後日本が東北アジアでの外交を進める上で、乗り越えなくてはいけないポイントかもしれません。

 ともあれ今回の講演は、最近の日本の政権交代とその外交課題ともからみ、アメリカ外交から東アジア外交へという方向と問題点を多面的な角度からとらえた貴重な講演でありました。わざわざ韓国から帰国当日に直接おいでいただいたソ・スン先生に大変感謝いたします。

平和のつどい実行委員  前 登

こおろぎ ふれあい広場

 9月27日(日)、第24回目の「ふれあい広場」を行いました。

 この「ふれあい広場」は視覚に障害のある方達と京都キャピタルワイズメンズクラブのメンバー、朗読ボランティアグループこおろぎが相互理解を深める一環として、24年前に始めてから毎年開催していますが、京都キャピタルワイズメンズクラブの支援をいただきながら開催しています。

 今年は視覚障害者の要望もあって、大阪にある天満天神繁昌亭を午前中貸切にして95名の参加者で楽しみました。繁昌亭は、関西では戦後60年ぶりに復活した落語を専門に、毎日公演している定席小屋です。人気があって6ヶ月前に申込まなければ予約がとれず、予定をたてるのが大変でした。

こおろぎ ふれあい広場

 当日は午前10時の開演に間に合うように、伏見稲荷大社の専用バスプールに全員が集合し2台のバスに分乗して京都を出発しました。現地では、普段は一般に開放されていない繁昌亭隣の天満宮の特別のご好意で境内までバスの進入を許可してもらい、手引きの必要な方々のためには有難いことでした。

 貸切の出し物は平日のプログラムとは異なり、鳴物の説明や覚えやすい簡単な落語の披露や「京都YMCAの皆さん」と呼び掛けてくださるなど、特別なご配慮をしてくださいました。参加者の大半が繁昌亭は初めてでしたので、大いに笑い楽しめたひと時でした。

 午後は大阪YMCA国際センターの大部屋をお借りして昼食を済ませてから、こおろぎの朗読、京都キャピタルクラブ会員有志のウクレレ演奏、全員の自己紹介、定期的に発送しているテープ雑誌に対するリスナーの感想をお聞きするなど、有意義な時間を持つ事ができました。

 「ふれあい広場」が24年間事故もなく毎年継続出来たことで、関係者同士の気持ちも通じ合うようになり、当初の目的は達成していると確信しています。

 現在の「京都YMCAこおろぎ」は、「桃山こおろぎ」と「今出川こおろぎ」が昨年合併して2年目に入り、総勢20名で活動しています。若い人たちも加わり、メンバーが心を合わせて一丸となり継続して活動できる環境が整って参りました。これからも多くの皆様の暖かいご支援がいただけますよう、よろしくお願いいたします。

朗読のボランテイアグループ「京都YMCAこおろぎ」
代表 岡本 都

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