京都青年 2010年11月号


「公益法人の担い手としての会員」~京都YMCAの新しい会員制度

 現在、京都YMCAは公益法人制度改革による新しい公益財団法人として移行認定をうけるべく、新しい定款の作成や、組織変更などの準備を進めています。
公益法人としての認定を受けるためには、新しい定款の作成を始め、新しい公益法人制度に合わせて幾つかの点でこれまでの京都YMCAの仕組みを変えなければならないことがあります。
その一つである、会員制度について説明をいたします。

photo

 まず、会員の定義がこれまでは、「京都キリスト教青年会 会則」第8条で次のように定められていました。
「この会の目的に賛同し、その達成を願う者及び活動に参加する者は、会員となることができる。」
これに対して公益財団法人での新しい会員規則では、「会員規程」第2条(会員の種別)において「普通会員は、この法人の目的に賛同し、事業及び運営に支援・協力する個人とする。」となることが検討されています。

 現在の会員の定義と新しい会員の定義での大きな違いは、これまでの会員がこの会の目的に賛同し「その達成を願い、活動に参加する者」であったのが、参加する者が「事業及び運営に支援・協力する個人」となります。
これまでも会員は、会費を納めることで事業を支えたり、常議員や理事や様々な委員会の委員として京都YMCAの運営を支えてきました。その事は今回の公益法人になっても変わりはありません。今回の大きな変更点は、会員がYMCAのプログラムに参加するだけではなく、京都YMCAの事業及び運営を支援し協力するという側面がより鮮明になることです。

 この「支援・協力」には二つの意味が含まれています。

 一つは、YMCAのプログラム及び運営に協力するということです。これは、ボランティアとしてYMCAの事業に参画するという役割と役員や委員としてYMCAの事業運営に参画するというどちらも含みます。これからの会員は、プログラムに参加するプログラムの受益者というより、プログラムの提供者として公益事業を担う役割を期待されています。
二つ目の意味は、YMCAを財政的に支えるということを含みます。現在もそうですが、ワイズメンを含め会員は、会費を納めることで京都YMCAの活動を支え、その働きを文字通り維持していくことになります。

photo

 京都YMCAは、以前より会員の働きが大きく、会員の手によるプログラムが数々行われてきました。また、ボランティアリーダーの働きや、ボランティアによって行われている地域奉仕プログラムなどが地域から評価されています。ところが、そのボランティアリーダーや京都YMCAで継続的にボランティア活動を行っている大部分の人たちは、これまでは会員とは位置づけられていませんでした。新しい会員制度では、これらの人々にも会員となってもらうことで YMCAの公益性に富んだ活動を積極的に担っていただくと共に、それらの人々がYMCAに集い、新しい社会を作る場所となるようにとの期待が込められているといえます。

▲このページのTopへ

【活動報告】

京都YMCA学園 YMCA祭開催!!

 11月3日、京都YMCA国際福祉専門学校にて学園主催のYMCA祭が開催されました。
10時より佐藤泰子先生の特別講演会『聴くことの力、話すことの力』でスタートし、約130名の多くの方々のご参加がありました。

また、本校の講師でもある松永信也先生の視覚障がい者サポート講習会や清水津利江先生の福祉レクリエーションがあり、福祉分野での講演会・勉強会が盛りだくさんに行われました。在学生やワイズメンズクラブが出店した模擬店で美味しい昼食が提供され、午後からは外国人のど自慢大会が開催されました。日ごろから学んでいる日本語を駆使し、日本の歌を日本語で歌うコンテストです。歌の上手な留学生ばかりでしたが、最優秀賞には韓国からの留学生が選ばれました。

多くの来場者と多くのボランティアサポートをいただき、国際・福祉分野で人材を育成する専門学校として大変意義深いYMCA祭を開催することができました。これからも末永くご支援とご協力をお願いします。

YMCA祭の様子 YMCA祭の様子

▲このページのTopへ

スペシャルオリンピックス チャリティトーチウォーク

 10月2日(土)、知的発達障がい者のスポーツプログラムを行っているスペシャルオリンピックス日本・京都のチャリティトーチウォークが今年も鴨川の河川敷を使って行われました。今年は植物園前からのスタートとなった関係で京都YMCAが担当となる区間もスタートが昨年より一つ北に上った北大路橋のたもととなりました。

スペシャルオリンピックス チャリティトーチウォーク

 当日は今年の暑い夏もようやく和らぎ、少し涼しい気候で歩くのにちょうど良い日和となりました。京都YMCA担当のスタート地点に、京都センチュリーワイズメンズクラブ、京都グローバルワイズメンズクラブクラブ、京都めいぷるワイズメンズクラブ、京都みやびワイズメンズクラブ、京都ZEROワイズメンズクラブなどから10名が集まりSO日本・京都の旗に混じって京都YMCAとワイズメンズクラブ京都部の旗を立ててウォークに加わりました。途中から山田京都府知事も駆けつけ列に混じって参加者と一緒に市役所前まで歩かれました。トーチウォークは中継所ごとに団体が増え、ゴールの市役所前広場につく頃には総勢300名近くの列となり市民に向けてスペシャルオリンピックスのアピールとなりました。YMCAおよびワイズメンズクラブにとっても良いアピールになりました。来年は皆さんも参加されませんか。

▲このページのTopへ

ハイチYMCAより子どもたちがやってきました

 2010年1月12日大地震が発生したハイチより、ハイチYMCAのスタッフと12歳から15歳の中学生4名が日本にやってきました。この4人は家族を失ったり、テント生活をしていたりと特に困難な状況にある青少年です。彼らのメンタルケアやハイチ復興支援募金の感謝と現況を報告する目的で神戸と京都に1週間滞在をしました。10月12日から14日まで京都に滞在をし、京都の自然や世界遺産を見学しました。また、13日にはハイチの現況報告会を京都YMCAで開催しました。不安定な政治状況の中、思うように復興していない様子が報告をされ、参加者はこれからも長期的な視点でYMCAの国際協力が必要であるとの認識を持ちました。こどもたちは緊張から少し開放され、笑顔が見られ、14日にはハイチへと戻っていかれました。

ハイチYMCAより子どもたちがやってきました ハイチYMCAより子どもたちがやってきました

▲このページのTopへ

リトリートセンター 第10回オータムフェスタ

 11月14日(日)11時より、リトリートセンターにて10回目となるオータムフェスタを開催しました。
当日は曇り空の下ではありましたが、YMCA会員、地元関係者やリーダーなど大人子ども合わせて227名の方にお越しいただきました。会場では、14種類の食べ物屋台、ステージでの和太鼓やブルーグラスの演奏の他、綱引き大会、燻製料理や七宝焼き、土壁塗りなどの体験コーナーなどが用意され、来場者には様々な催しを楽しんでいただけました。
オータムフェスタ実施にあたり、ワイズメンズクラブをはじめ、多くの皆さまのお支え、ご協力により開催できましたこと感謝いたします。

リトリートセンター 第10回オータムフェスタ

▲このページのTopへ


1枚の写真から

1952年、京都ワイズメンズクラブがチャリティバザーでメネットの作成した人形を販売しているところ

 この写真は1952年京都ワイズメンズクラブがチャリティバザーでメネットの作成した人形を販売しているところです。今年の10月3日からミネアポリスより京都を旅行で訪れた北米YMCAの元主事のJack Cole氏夫妻によって京都YMCAに届けられました。

 下の解説を見ると1952年鳥取で市内の半分以上が焼けた鳥取大火の為に焼け落ちた鳥取YMCAの会館再建のための資金を集めるために行われたと書かれています。

 バザーの場所はおそらく旧三条本館と思われ、中央の男性は、当時の京都クラブのメンバーだと思われます。あわせてちょうどその時ワイズメンズクラブの日本区大会が京都であり、25クラブから200名が集まり、このバザーで多くのお金が集められたと書かれています。

▲このページのTopへ

ボランティアグループ紹介

 京都YMCAのボランティアビューロ登録グループとして視覚障がい者のための朗読ボランティアグループ「こおろぎ」が2つあります。その2つの「こおろぎ」の活動を紹介していただきます。

テープライブラリー京都YMCAこおろぎ

池上恭子

 テープ雑誌「こおろぎ」を発行し、視覚障がいの方に暮らしの支援になる情報や心のサプリになる情報を配信しているボランテイアグループです。
京都YMCA青少年センターで1976年にサラリーマンや主婦たちによって結成、教科書の音訳から始まりました。

 2008年、今出川こおろぎと桃山こおろぎが一緒になり、YMCAこおろぎとなりました。活動の拠点は京都YMCA本館の4階ボランテイアルームで、メンバーは週一回集まり、編集、録音、発送を行っております。テープを聴いてくださるリスナーの方の生活に少しでも寄り添い欲しい情報が流せるようにと工夫をしております。共に歩むためには手引きの方法や、点字も学びます。
電子化が進み、今では障害者の方にも、とても便利になり使いこなしている方もたくさんあります。
我々もCD版を多数配信しておりますが、未だアナログを求めてテープを聴いてくださる方も多いです。

 少しでも聴きやすいテープをと心がけ、朗読の講習会に参加したり、研鑽をつむよう心がけてはおります。テープつくりのほかに、リスナーの方とのふれあいを大切にと年一回交流会を行っており、第25回目となった今年は、平城遷都1300年祭へ総勢102名で行って来ました。広い空間に立ち、悠久の時の流れに少しでも触れていただければとの思いでしたが、喜んでいただけたようでした。聖母女学院の招待によるハンドベル演奏会にもご一緒も致します。
テープ雑誌が、皆様の生活に溶け込み心から喜んでいただければとの思いで一同続けております。

テープライブラリー京都YMCAこおろぎ

・・・・テープライブラリー京都YMCAこおろぎ・・・・
活動日  毎週水曜日10時から1時
活動場所 京都YMCA 4Fボランティアルーム

テープライブラリー京都YMCA長岡こおろぎ
「20年の活動を経て」

安光あや

 20年前の京都青年に載せていただいた発足当時の原稿が出てきました。
まったくの素人で、今から思えば視覚障がい者の方のこともあまり知らないまま、とりあえず文字を音に変えることでお役にたてれば・・・と安易に飛び込みました。当時阪急長岡天神駅前にあった西YMCAでスタート。スタッフの方や当時の桃山こおろぎの皆さん、そして長岡京市視覚障がい者の方々のサポートやアドバイスがあってこその誕生でした。ピカピカの一年生。輝いていました。

 それから20年、ほぼ毎月発行するテープ雑誌(いまはCDも)を聞いてくださる方も120名に増え、地域も広がりました。新聞や冊子などからエッセイ、京都の隠れた史跡案内、料理、懐かしい歌・・など役に立つ? 愉しい? 情報を詰め込んだテープ雑誌、時にはじっくりと小説などを朗読して、90分や60分テープに編集して発行します。

 またテープを聴いてくださる方々とお会いしたい、顔の見える活動がしたいと、年に2回のリスナーの方とのふれあいの会も持っています。この11月で40回目、比叡山に出かけます。ちょっと寒いかもしれませんが山の秋を、神聖な空気をともに味わってこようと思っています。リスナーの方とのおしゃべりはとても愉しいです。自然の中にいても違った感じ方に気ずかされることがあります。生活の知恵、努力、学ぶことが一杯です。そして次へのエネルギーを頂きます。

 長い間には活動の拠点も変わりました。その都度、よき理解者を得て活動を中断することなく続けられました。昨年秋、すべての感謝を込めて20周年の集いを催しました。多くの方の励ましやお祝いの言葉をいただき私たちにとっては感動の一日でした。20年、長いとはいえ、大きなことをしたわけでもないし、大変だったわけでもありません。たくさんの方のおかげでこうして続けてこれたこと、続けていけることに感謝です。

 現在メンバー、15名、年はとりましたが相変わらず輝いています。そして活動を楽しんでいます。

テープライブラリー京都YMCA長岡こおろぎ

・・・テープライブラリー京都YMCA長岡こおろぎ・・・
活動日  毎週木曜日10時から2時
活動場所 向日町教会、または長岡京市社会福祉協議会

▲このページのTopへ

2010日本青少年訪中代表団に参加して

京都YMCA職員 植田 千尋

2010日本青少年訪中代表団に参加して
右から二番目が植田さん

 出発前日のオリエンテーションでのことです。
「今までのこと、今のこと、日中関係についてどう考えますか?」と聞かれたらどう答えますか?との問いかけをいただきました。日中間の歴史問題や時事問題についての何の知識もありませんので、しっかりとした自分の意見というものを持っていません。どのように答えたらよいのでしょうか。
「知らない・・・」では許されないでしょう。自分の考えを模索しながらの日本出国を迎えました。

 中国に着いてからの交流活動では、どの地域でも日本からのお客様として大切に温かく歓迎していただき、また、その土地の名勝を案内していただきました。日本語を学ぶ中国人学生が、とても熱心に私達に関わってくださいました。一生懸命に中国の文化のこと、歴史のこと、若者の間で流行っていること、たくさんの話を私達にしてくださいました。この時の私達(中国人学生と日本人)の間には、自分(自国)のことを知ってもらいたい、相手(相手国)のことを知りたいという思いが確かにありました。

 私達の普段の生活の中でも、仲良くなりたいなと思っている人や、大切にしたいなと思っている人には自分のことを知ってもらいたいし、相手のことを知りたいという思いがあります。そして、優しさや思いやり、相手を尊敬する気持ちを持つでしょう。そのような相手を傷つけたいとは思いません。

 ニュースでは日中間のよくないことも耳にします。テレビで見るニュースは、遠くで起きていることであり、自分には関係のないことと捉えていました。しかし、帰国した今は、国と国との関係は、人と人との関係の重なりだと考えるようになりました。

 国と国との関係を考えることは、私にとってスケールは大きすぎるけれども、その国の人と人との関係を築くことが小さな私達にできることではないでしょうか。国と国とが仲良くなるには?を考えさせられた訪中となりました。
このような機会を与えられたことに感謝いたします。

イ族との交流
イ族との交流

石林を訪れて
石林を訪れて

※2010日本青少年訪中代表団:2007年に発表された「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS Program)」の一環である日中青少年交流事業としてこの程、中国政府の招待により高校生や各分野の社会人青年の約1000名が派遣されました。YMCAも友好団体として招待を受け、日本YMCA同盟を通してYMCAスタッフを代表して派遣されたものです。5つのコースに分かれ、2010年10月19日~25日まで、北京や地方都市を訪れ、各地での交流や地域参観を行ないました。

▲このページのTopへ