京都青年 2014年7・8月号


京都青年2014年7・8月号 記事一覧

今、若者にYMCAが何ができるのか

活動報告
京野菜直売会FLAVOR,Sマルシェ
春期YMCA奨学金授与式
第10回かもがわチャリティーラン

活動紹介 ~YMCAにつながるわたしたち~
京都めいぷるワイズメンズクラブ
京都キャピタルワイズメンズクラブ
わいわいネット
スイミングスクール


今、若者にYMCAが何ができるのか

日本YMCA同盟
総主事 島田 茂

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国会で選挙権を18歳以上に引き下げることが審議されています。世論調査では賛否が分かれていますが、18歳の2割程度の若者が就職し税金を納めていることを考えると政治に参加する権利を守るべきだと思います。一方で、大学の入学式や卒業式、更には、会社の入社式にも親が 同伴で出席するというニュースを見て首を傾げます。国の未来を決める選挙権を18歳に引き下げるという改正案と、入社式まで親がついて行き、時に就職した子どもの企業に親が口を挟むという世相とは相反しているように思われるからです。社会人となっても依存的で自立できない若者が増えている傾向を示す現象であると思いますが、国が選挙権を18歳に引き下げるに伴い、若者が自立した市民へと育っていくことを願います。

世界のYMCAは、”ユース・エンパワーメント “を共通の目標としています。世界YMCA同盟のホームページには、”Empowering Young People“という英語の文字が真っ先に飛び込んできます。エンパワー(Empower)という言葉は、直訳すると「力をつける」ということですが、「権限を委ねる」「権利を与える」という意味があります。社会において若い人々が自分自身の人生・生活を委ねられ、自分自身の未来を決めることが できる状態になるように、夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っている力を引き出すことが「エンパワー」ということです。若者を子どもから自立した大人へ「エンパワー(権限を委ねる)」するためには、段階を経る必要があります。乳児がいきなり固いものを食べられないように、一足飛びにはいきません。動物は、子どもを自立させる過程で、子ども同士の遊びを見守り、時を経て少しずつ離れ、最後は、ついてくる子どもを突き放します。YMCAの委員として長く多くの指導者を育成してこられた児童精神科医の佐々木正美氏は、人間の発達段階には、「飛び級」はないと教えています。立てるようになるには「はいはい」を、「はいはい」をするためには「寝返り」が必要なように、こころの発達も育つ過程が大切であることを伝えています。赤ちゃんは、泣くことで要求を伝え、親が無条件に応えることで基本的な信頼を獲得します。基本的な信頼を得た乳児は、トイレの排泄等の経験を通して自律性を習得します。自律性を習得した幼児は、遊びを通して積極的に行動半径を広げ、好奇心を満足させ、自発性を養います。児童期になると友だちとの遊びを通して学ぶ意欲や勤勉性を身に着けるのです。放課後塾で勉強することで勤勉性を身につけるのではなく、友だちと過ごす時間が不可欠で、野外での遊びやスポーツを通して、友だちとの関わりの経験を積み重ねることで社会性や想像力、そして、学習意欲と勤勉性を身につけるのです。人間関係における責任感や権利意識も友だちとの遊びを通して学びます。バランスのとれた成長をするためには、成長の過程に従い、その年代にあった関わりが大切です。乳児期には乳児期の、児童期には児童期の、青年期には青年期の関わりが必要なのです。京都YMCAは、125年の経験と世界のネットワークを生かし、児童期にはキャンプやスポーツなどの活動や青年期にはボランティア活動や専門学校などを通して、青少年の発達段階に必要な経験の機会を提供し、心と知性と身体のバランスのとれた全人的な成長を目指し歩み続けてきました。国際協力や交流活動を通して、多くの若者を地球市民として育む活動を行ってきました。特に、生涯を通して成長しあう場として、YMCAをサポートするワイズメンズクラブの活動も日本で最も活発に展開しています。これからも京都YMCAが多くの若者の成長の場となることを期待します。

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活動報告

京野菜直売会FLAVOR,Sマルシェ

 5月11日(日)第4回京野菜直売会を開催しました。京都ワイズメンズクラブの新しい地域奉仕事業である「地場産業支援→京野菜支援」のプログラムです。京野菜スイーツ店を中心に桂高校農業科生徒をはじめ京北町の農家や宇治田原の障がい者施設などの京野菜生産に携わる人たちと一緒に三条通を通行する方々に京都YMCAへの支援を訴えながらの野菜等の販売です。これまでの各回とも、旅行者やご近所のお馴染みさんにも出店者にも好評で、三条通の催し物として定着してきた感じがします。三条通の風物詩と呼ばれるようになるまで、125周年の1年間は毎月1回開催予定です。

施設の事業を支援し、売り上げの一部を京都YMCAに寄付するというこの事業ですが、「YMCAで発達障がい児のサポートプログラムをやったはるとは知らんかった」「施設の障がい者たちが育てた野菜を販売することで、さらに発達障がい児のために寄付をしはるとは」「この野菜を買うことで私も協力できるの?ほんならこれとこれも追加でもらうわ」などありがたい言葉をかけてくださるお客様方。以前に京都YMCAで活動されていて、つい最近京都に戻って来られた方が、「Facebook でチラシを見て・・・」と、ご家族とご一緒に野菜を買いにわざわざ来てくださったことも。YMCAでのつながりの素晴らしさを実感するできごとがたくさんあります。

三条通に京都YMCAがあって、「いろんな公益事業をやってはるんや」という認識を市民に広める手段のひとつになればうれしく思います。

報告 三井 哲次
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春期YMCA奨学金授与式

shogakukin6月12日、日本語科・学習奨励奨学金の授与式が行われました。
多くの皆様に支えられご寄付により1年に2回、成績・出席・作文や行事参加への積極的な参加態度を審査され選ばれます。今回は、潘欣媛さん、賈少霞さん、姜文欽さん、傅思宇さんの4名が選ばれました。
学習奨励金受給生の傅さんは、『子供の頃からアニメが好きで、将来アニメを制作する仕事に就くことが夢です。今回の奨学金は夢を叶える大きな助けになります!』と将来の希望を胸に目を輝かせて話していました。

 

報告 小原 絵美
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第10回かもがわチャリティーラン

五月晴れの青空のもと741人が快走!今年も多くのご参加、ご支援が寄せられ、
活気あふれる大会となりました。

  5月18日(日)「第10回かもがわチャリティーラン」が、177チーム741名が出場して開催されました。

地域の子どもたち、福祉施設の子どもたち、市民ランナーなど、老若男女の幅広い層の参加者が、家族や仲間の声援を受けながら、小学生駅伝、一般駅伝、クォーターマラソン、ペアラン、 グループランの各種目で、晴天のもと、新緑が美しい鴨川河川敷の特設コースを駆け抜けました。会場では、YMCAを支えるワイズメンズクラブや関連団体から17の食事などの屋台出店をしていただき、出場ランナーや来場者に楽しんでいただきました。また、吹奏楽団ハイブリッド、京都ノートルダム女子大学チアリーディングチーム アミーガス、京都学生祭典 京炎そでふれ!、フラ ハーラウ ホーヒエヒエ、京都YMCAフラダンス教室の講師・ 受講生のみなさんが、ステージ出演で大会を盛り上げてくださいました。競技終了後は、ホテル食事券、有森裕子さんサイン入りチャリティーランTシャツなど企業、個人から寄贈いただいた賞品の抽選会が行われ、当選者が発表されるたび、歓声が上がっていました。閉会式では、大会当日までの団体・個人からの協賛金、エントリーチームからの参加費合わせて、300万円を超える金額が、大会実行委員長岡西博司さんから神﨑清一総主事に手渡されまし た。今大会の支援金のうち、イベントの諸経費を除いた益金が、京都YMCA、全国YMCAで行われる障がいのある子どもたちの活動の支援に用いられます。

当日の運営は、在京ワイズメンズクラブメンバー、YMCA専門学校の学生、ユースリーダーなどのボランティアスタッフ390名によって行われました。

⇒ 結果など詳細は、「第10回かもがわチャリティーラン」ページでご確認ください。

報告 藤尾 実
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活動紹介 ~YMCAにつながるわたしたち~

京都めいぷるワイズメンズクラブ

meipuru ys 京都めいぷるワイズメンズクラブは京都パレスワイズメンズクラブの子クラブとして30年前に誕生しました。このとき双子クラブとして京都キャピタルワイズメンズクラブも同時に誕生しております。
めいぷるクラブの活動ですが、ワイズメンズクラブですから当然YMCAのサポートが主な活動となります。私たちがサポートさせてもらっているのは、7月にサバエキャンプ場開設ワークに参加。主なワークはキャンプ場入口のゲート組み立て、旗立台ポールの設置、浜への備品運びといったところです。11月はYMCA専門学校学園祭での店舗(焼きそば)参加協力、リトセンオータムフェスタへの参加協力、3月は卒業リーダー祝会への参加とアルバム製作費の一部負担、3月はリトセン夜桜フェスタへの出店協力、同じくかもがわチャリティーランへの出店協力とスタッフ派遣とほぼ1年間YMCAをサポートしております。

YMCA以外の独自の活動として「社会福祉法人積慶園」への支援は30年近くになります。積慶園は児童養護施設で親のいない子、親からの虐待を受けた子供たちが入所しております。我々は夏祭りのお手伝い、夏のキャンプの付き添い、またみんなで街の清掃活動を行ったりしております。
もう一つの支援先は京都市民福祉センター(西陣会)です。ここは様々な活動を行っているところですが我々はその中で特にフラット事業というものを支援しております。これは知的発達障がいの方が昼間の仕事を終えて、夜センターに集まり、みんなで喫茶店に行ったり、カラオケ、ボウリングという普通の娯楽を味わい、健常者との壁をなくそうという活動です。これ以外にもさくら祭りへの参加協力、チャリティーランへの招待と長年お付き合いをしております。
最後にスペシャルオリンピックス(SO)の支援です。SOは知的発達障がいの方々に日常的にスポーツプログラムを提供し、オリンピックと同じように4年に1回国際大会が開催されます。今のところは金銭的支援だけですが行く行くは競技会の企画、支援、またスポーツプログラムへのボランティア協力も考えております。

京都めいぷるワイズメンズクラブ
第32 期会長 青木繁幸
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京都キャピタルワイズメンズクラブ

kyapitaru ys 京都キャピタルワイズメンズクラブは、1983 年に、親クラブの京都パレスワイズメンズクラブをスポンサークラブとして誕生しました。以来30年にわたり、YMCAに対する奉仕活動を第一の目的とし、その実践を通して「奉仕の心」を学んでいます。又、「例会は親睦の内に素晴らしい人間を創る為の愛にもとづく自己研鑽の場である」ことをモットーに、日々クラブ活動に邁進しています。

当クラブ設立30周年にあたり、去る2014年4月5日、全国のワイズメンをはじめとする280余名の大勢の皆様方にお集りいただき、30周年記念例会を開催しました。式典では記念事業としてリトセンに新しいトイレ棟をYMCAに寄贈させていただいたことを、メンバーが汗をかきながら建設作業に精を出している写真をまじえて報告させていただきました。懇親会では、メンバーの息の合ったタップダンスを披露し、皆様に元気なキャピタルクラブの姿を知っていただけたと思います。
私達クラブは、YMCAに対する支援活動をはじめとして、様々な奉仕活動を行っていますが、主なものを紹介します。

(リトセン準備ワーク)
夏・秋シーズン前に草刈り、施設の補修、ワーク参加者の昼食作り等をして、心地よい汗をながします。
(佐波江キャンプ場ワーク)
夏のシーズンに向け芝張り、草刈等の作業をします。
(ふれあい広場)
視覚障がい者支援団体「京都YMCAこおろぎ」と協働で、視覚障がいの方々と一緒に、様々な観光や見学施設へ出かけ、1日見学や食事をしながら、心の触れ合いを、楽しんでいます。
(ベテスダ祭)
知的障害者支援団体「ベテスダの家」が、毎年開催されているベテスダ祭に、焼きそばなど盛りだくさんの食事を提供し障がい者の方々やそのご家族に楽しんでいただいています。
(リトセン・メタセコイヤ・フエステイバル)
私達が個々に支援している障がい者の方々が一同に集まれば、さらに楽しいふれあいが生まれるのではと4年前に企画し始めたものです。リトセンで知的障がい、視覚障がい、聴覚障がいの方々が一緒にゲームや食事を楽しんでやさしい触れ合いの時間をすごしています。

私達は、このように楽しく奉仕活動をさせていただいていますが、2015年次期アジア大会では、ユース委員長としてアジアユースコンボケーションに対応する役割を担うことになりました。私達のワイズ活動が世界に目を広げるチャンスと心得、チャレンジしていきたいと思います。

京都キャピタルワイズメンズクラブ
第32代会長 菅原 樅一
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わいわいネット

 京都YMCAで開催された手引きや点字講習の受講者、朗読ボランティア経験者、ワイズメンズクラブメンバーなどが集まり、時代に合った視覚障がい者サポートをしたい、そして視覚障がいを持つ人にとって本当に必要な情報を届けたいという思いから「わいわいネット」を設立し、声の情報誌「わいわいだより」の発行を始めました。以来17年間、毎月1回、欠かさず発行し希望者に送付しています。

「わいわいだより」は、視覚障がいに関する新聞・雑誌等の記事や耳よりな最新情報、便利グッズ・機器などの紹介、イベント情報、旅行案内などを1本のテープにまとめたもので、2012年からはデイジー形式のCD版も発行しています。また、ホームページやメールマガジンを毎月1回更新・発信しています。リスナーは北海道から沖縄まで全国に約300名。その中には、中途視覚障がい者に有益な情報が多いということで、眼科医・視能訓練士などの医療関係者がダビングして患者さんにテープを手渡してくださったり、リスナーが友人・知人に情報を伝えてくださることも多くあり、直接送付している他にも情報を広く届けることができています。

「わいわいだより」は私たちメンバーだけの力で作っているのではなく、リスナーのご協力もあって求められる情報を提供できています。例えば、テープ発行当初は画面読み上げ音声ソフトを使ってパソコンを操作できる視覚障がい者が少なかった中、操作に堪能なリスナーの協力を得て、パソコンを使うことで豊かな暮らし方もできるという連載をしたり、視覚障がいがあっても人生を前向きに楽しんでいらっしゃるリスナーへのインタビューも掲載してきました。ホームページ管理やメールマガジン発行はリスナーにお願いしています。リスナーから情報提供や感想が寄せられることも多く、双方向性のある活動となっています。

最近ではPCだけではなく、iPadやスマートフォンなども利用して情報を得ている視覚障がい者も増えました。しかし、ネットに溢れる情報の中から取捨選択するには時間と労力がかかり過ぎますし、そもそもIT機器が使えない方も多いです。月に1度の情報量は多くはありませんが、それを必要とされる方に少しでも役立つ情報誌を今後も届けたいと思っています。

わいわいネット
髙橋 初枝
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スイミングスクール

swimming水泳は、小さい子どもから高齢者までが楽しめる運動です。全身のあらゆる部位を使って行うため、バランスよく体が育ち、また心肺機能を高める効果もあります。最近の研究では、脳の発達にも良い効果を表すことが示されてきています。

京都YMCAでは三条本館にある5階のプールを利用し、水泳プログラムを実施しています。その中の1つである子ども達を対象としたスイミングス クールでは、現在700 名を超える子ども達が集まり、毎週元気に水泳を楽しんでいます。最年少クラスである2歳児親子スイミングに始まり、中学3年生までを対象として、週1回クラス、週2回クラスを開講しています。

指導者はYMCAスタッフ6名に加え、大学生を中心とした20名の指導者が泳力別に編成されたグループを担当します。水泳技術の向上はもちろんのこと、子ども達ひとりひとりが人間としてのよき成長の場となることを願い、指導にあたっています。また、子ども達には水泳の楽しさを伝えながら、できた喜びをたくさん感じてもらえるよう接しています。その喜びがたくさん積み重なり、目標をクリアできた時の達成感が大きくなるよう、半年間の指導を進めていきます。

基本的な水泳技術を身につけるクラスの他、スポーツとしてとらえる競泳コース、水球コースがあり、YMCAの大会のみならず、日本水泳連盟が主催する競技会にも参加しています。毎年夏に開催される全国YMCA少年少女水泳大会では京都YMCAは現在5年連続優勝中、今年度もまた優勝を目指し、夏へ向け練習に励んでいます。

YMCAでは水上安全にも力を入れ、取り組んでいます。毎年6月は全国のYMCAで「水上安全キャンペーン」を行っています。一人でも多くの子どもが水難事故に巻き込まれないように、予見できる知識や対処方法を学びます。スイミングスクールの子ども達への教育の他、小学校にも出向き、YMCAの水上安全活動を多くの子ども達に知ってもらえるよう取り組んでいます。

7月に入り、いよいよ夏本番を迎えます。夏休みの短期講習会は現在募集中、多くの子ども達の参加を願い、価値ある内容の講習会にすべく準備を進めています。

スイミングスクールディレクター
長濵 孝志
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