京都青年2015年12月号 記事一覧
活動報告
音訳ボランティアのためのデジタル録音・編集講習会
国際協力街頭募金
YMCA祭
YMCA祭in舞鶴&国際協力街頭募金
パネルディスカッション アジアの若者が語る夢と出会い
京都YMCA偉人伝 ジョン・ワナメーカーの人となり
京都YMCA偉人伝 ジョン・ワナメーカーの人となり
苦難の中にこそメリークリスマス!
日本ナザレン教団 花園キリスト教会牧師 篠澤俊一郎
メリークリスマス!
クリスマスは、イエス・キリストの誕生日。サンタクロースもキリストを信じる一人でした。私達がイメージするクリスマスは、クリスマスツリーやクリスマス装飾品を飾り、家族や知人と一緒にケーキを食べる華やかなクリスマスではないでしょうか。
しかし世界で最初のクリスマスは、そんなイメージとは程遠く、キリストの誕生前後は大変過酷な状況だったのです。少しその物語をお話ししましょう。
イエスの誕生前、許嫁マリアが結婚前にイエスを身ごもっている事を知った夫となるヨセフは苦悩し、表ざたになる事を恐れ離縁しようと決心します。
しかし天使は夢の中でヨセフにキリストの誕生をこう預言しました。
「恐れるな!見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。その名はインマヌエルと呼ばれる」。(※インマヌエルとは、「神はあなたと共におられる」という意味)
天使のお告げを信じ、ヨセフはマリアと結婚。
そのような中、社会状況は目まぐるしく変わり、ローマ帝国より全住民に住民登録をするようにとおふれがでます。マリアは身重でしたが、登録の為に夫婦共々、百キロ以上離れたベツレヘムの町に向かうのでした。そして時が満ちてイエスを産もうとするのですが、産む場所がありません。宿屋を探し回りようやく、臨時のお産場所となる場所を見つけたのがなんと馬小屋でした。そして無事に出産。生まれたばかりのイエス・キリストは飼い葉おけ(牛馬の飼料を入れる容器)に置かれました。ここまで読んでも不運の連続です。
でもまあキリストが誕生したと思えば「めでたしめでたし」、と言いたいところですが実はまだ続きがあります。
イエス誕生後、ヘロデ大王が自身の地位が脅かされるとして、イエスを殺そうと幼児虐殺を兵士に指示したのです。このためヨセフとマリアはイエスを守るためにエジプトに難民として逃れたのでした。これが最初のクリスマスなのです。あまりにも過酷すぎます。
けれどもこれはこうも言えるのです。
そんな苦しみ・悲しみ・恐れをキリストは知っておられるからこそ、あなたの苦しみ・悲しみ・恐れをキリストは理解しあなたに寄り添われるのです。そして苦しみの中に光りを、悲しみの中に喜びを、恐れの中に希望を与えてくださるのです。
あなたはもう一人ではありません。キリストはあなたと共にいてくださいます。
苦難の中こそ真のメリークリスマス!
クリスマス献金について
クリスマス献金を12月~1月に行っております。クリスマス献金としていただきましたご寄付は、奉仕活動基金として京都YMCAが行う地域でのボランティア活動や青少年育成に運用させていただきます。ご協力お願いいたします。
【ご寄附いただくには】
受付窓口にてご納入、もしくは郵便振込にて下記口座にお振込みください。
郵便振込: 口座番号01050-7-19132 (口座名)京都YMCA 奉仕活動基金
活動報告
音訳ボランティアのためのデジタル録音・編集講習会
10月24日(土)京都YMCA三条本館302号室にて13時から15時30分まで「音訳ボランティア向け デジタル録音・編集講習会」を開催しました。
今回の講習会は、京都YMCA登録グループ懇談会の場で視覚障がい者のための音訳ボランティアに携わるグループさんからの要望があり、一般向けではなく専門的な講習ではあるものの、必要な時期に来ているとのことで企画しました。参加者は京都YMCA登録グループ(京都YMCAこおろぎ、長岡こおろぎ、わいわいネット)と、音訳ボランティア「なごみ会」さん、の視覚障がい者と交流をされてる4団体、合計19名でした。
講師は全国視覚障がい者情報提供施設協会録音委員でおられる襟川茂先生に来ていただきました。デイジー録音と編集の方法について、プロジェクターを使って説明していただきながら、随時参加者からの質問を受け、丁寧に答えておられました。
テープからCDそしてデジタルと変わっていく時代の変化もあり、参加者が必死に勉強される様子が感じとれました。今回は1日講習でしたが、今後は各グループのレベルにあった講習を企画し、そして新メンバーが一人でも多く入っていただければと思います。
報告 ボランティアビューロー専門委員会 岩本 敬子
***参加者の声 安光あや さん(長岡こおろぎ)***
音訳を通して視覚障がいを持つ方々のお手伝いになれば…と活動しているボランティアグループにとって、ここ数年で録音・編集方法、機器が大きく変化しました ― デジタル化です。
アナログで育った世代にとってパソコンを駆使した作業は、「なぜ?」という疑問を横に置きながら、マニュアルに首っ引き…私たちのグループはトラブル続きで頭を抱える事が多々あります。
今回、講師を引き受けてくださった襟川先生のわかりやすい説明に、なるほどなるほど…とたくさんの疑問が解けました。各グループから次々出てくる質問にも丁寧に答えていただき予定の時間を軽くオーバーしてしまいました。
まだまだ知りたい事がいっぱありますが、これを機会に1歩でも2歩でも前に進みたいと思います。
テープが消えていく中で、私たちが困っていることとして取り上げて下さったボランティアビューロー専門委員会に感謝しています。
国際協力街頭募金
11月1日(日)、心配されていた天気にも恵まれ、京都市内9か所で国際協力街頭募金を実施しました。
当日は、延べ266名にご参加いただきました。ワイズメンズクラブの皆様をはじめ、京都聖母学院高等学校社会事業部の方々、京都YMCAのプログラムに参加する子どもたちやボランティアリーダー、介護福祉学科学生が声を張り上げ、また日本語科留学生たちも彼らの母語で募金の呼びかけをするなど、皆様のご協力により、総額284,065円の募金が寄せられました。
今回多くの市民の皆様から寄せられた募金は、日本YMCA同盟を通じ、長引く紛争で負傷したパレスチナの青年たちやアフガニスタン難民の子どもたちへの支援、また地震や津波などの自然災害により困難な生活を強いられている人々への支援のために使わせていただきます。国際協力街頭募金にご参加、ご協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。
YMCA祭
11月3日の秋晴れの中、専門学校の学園祭「YMCA祭」を開催しました。今年は「作ろう!互いにささえあえる笑顔の社会!」をテーマに、学生とワイズメンズクラブのみなさんによる焼きそばやホットドック、豚汁などの模擬店、遊びのコーナー、福祉施設のみなさんの手作り小物やお菓子のお店。野菜マルシェや餅つき大会も同時開催され、昨年の倍の約280名の来場者がありました。
ステージでも様々なプログラムが行われました。介護福祉学科の専任教員による「ご自宅での介護方法&接し方」セミナーや「健康体操ステージ」には三条本館の近隣の皆様が多く参加してくださいました。このステージのメインプログラムはギタリストの「ゆあさまさや」さんをお招きしたソロギターコンサートです。たった1本のギターで多彩な音を奏でて、まるで数人のバンドがいるような豊かな音楽が会場いっぱいの観客を魅了しました。
日本語科の学生によるのど自慢大会も毎年の人気のプログラムです。しっかりした日本語で情感を込めて日本の歌を歌うことに驚かされました。
また介護福祉学科の学生によるバンド演奏では「花は咲く」や「Believe」、「アンパンマンのマーチ」の演奏が会場を盛り上げました。最後には「YMB48」という日本語科と介護福祉学科の学生の合同のグループ約30人(残念ながら48人ではありません)が舞台に上がり「365日の紙飛行機」を合唱して拍手喝さいを受けました。多くの人たちの笑顔のあふれた素敵な1日となりました。
YMCA祭in舞鶴&国際協力街頭募金
11月15日(日)に「YMCA祭in舞鶴」を開催しました。
プレイベントとして舞鶴赤れんがパークにて国際協力街頭募金も行いました。ワイズメンズクラブの皆さんと舞鶴YMCA国際福祉専門学校の学生たちが募金の協力を呼びかけました。当日、パークのイベントにお越しの観光客の皆さんから募金のご協力をいただくことが出来ました。
そして13時から「YMCA祭in舞鶴」がスタートしました。
森乃福郎さんと森乃阿久太さんによるYMCA寄席、高島易断鑑定所の高島秀周先生による占いはとても好評で、ちらしを見て多くの方が足を運んでくださいました。
本校の学生たちも、ダンスのパフォーマンスや自作のカレーライス販売、福祉施設の商品の受託販売、ゲームコーナーなど、精一杯盛り上げてくれました。
また、京都市内よりワイズメンズクラブ有志の方々がお越しになり、焼きそば、ポップコーン等々の模擬店を出してご協力くださいました。
初めての「YMCA祭in舞鶴」は多くの方にお力添えいただき、楽しく開催することが出来ました。
来年も地域の方々に楽しんで参加していただけるような「YMCA祭in舞鶴」を開催したいと思っております。
パネルディスカッション アジアの若者が語る夢と出会い
11月13日、京都YMCAマナホールにて「パネルディスカッション アジアの若者が語る夢と出会い」を開催しました。モデレーターとして京都YWCAの堀部 碧さん(日本)、パネリストとして京都YMCA国際福祉専門学校日本語科の唐 凌さん(中国)、鄭 芳媛さん(中国)、李秋蘋さん(台湾)、日本語科OBで立命館大学 学生の全 炳奎さん(韓国)、国際ボランティア会の井口泰地さん(日本)が出演しました。
「海を渡った若者の一大決心を聞きたい!」との思いでこのパネルディスカッションを企画しましたが、その期待は間違っていたようでした。彼らから留学を決めた事に関して劇的な言葉はあまり出て来ません。ならばと「今、どんな苦労があるの?」と振ってみても泣き言は出て来ずここでも肩透かしです。一転、これからの話になると皆、一言ひとこと心のなかで計画を練るようにしっかリと語っていました。
モデレーターの堀部さんによる温かいリードで6人のチームワークが発揮され、ユーモアを交えながらも彼らの「夢と出会い」が表現されました。
最後に彼らはこのようなフレーズにたどり着きました。「人の話から国や人を気軽に判断するのではなく自分の目で見て考えることが大切だと思います。」
半年に及ぶ準備に伴走してくださった出演者と、支えて下さった皆様に心より感謝します。
報告 国際協力専門委員会 三保 俊幸
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京都YMCA偉人伝 ジョン・ワナメーカーの人となり
【第3章】 アジアのYMCA運動を支える
熱心な共和党支持者であるワナメーカーは、1888年の大統領選挙に大きな貢献をし、その影響もありベンジャミン・ハリソンは第23代アメリカ合衆国大統領に選ばれます。組閣に際してハリソン大統領はワナメーカーを郵政公社総裁として入閣させました(任期1889年~1893年)。大統領は彼の実業家としての手腕に大きな期待を寄せたのです。郵政公社での彼の功績は小包郵便と電信電話事業の国営化、そして外国郵便の迅速化でした。ワナメーカーにとっては、彼の言葉を借りると「郵便はビジネスであると同時に国民への大切なサービス」であったのです。
1905年、ワナメーカーはジョン・R・モット博士と出会います。博士はYMCA運動を世界的なものとしようと奔走していました。博士は彼に北京・ソウル・京都にYMCA会館を建てることを提案して寄付を要請したのでした。彼は異国に芽生えたYMCA運動と学生キリスト教運動を実現させようとするモットの情熱に打たれ、まだ見ぬこの3都市にYMCA会館建設費を寄付することを決断したのでした。
1905年4月、この報が京都YMCAにもたらされました。この時にワナメーカーから寄付された額は25,000ドルで、現在の日本円に換算しても10億円以上の値打ちとなる巨額の寄付でした。建設においてワナメーカーは詳細な注文を付けています。
1.YMCA会館の建設費を寄付するが、土地の購入は会員や市民よりの寄付を募って買い上げること。
2.敷地についてはその位置や立てる坪数にしても第1等の会館を立てる様に努力すること。
3.会館や敷地に負債の無いこと。
4.定礎を1年以内に行う事。
5.設計図面をワナメーカーに送りその同意を得ること。
細かな注文でしたが、YMCA運動が機能的に働きをなすこと、会員の力を結集できる手順を踏むことを意識して注文を付けたのではないかと推測できます。彼の夢は日本の古都京都を訪れることであったそうですが、その夢をこの寄付金にかけたのではないかとも思われます。彼と同じようにキリスト教の信仰を実現しようと情熱を傾ける同胞たちをできうる限り支援したい、巨額の寄付金を遠く海を越えて届けた裏側にはこのような彼の強い意志があったのです。
ワナメーカーは1922年風邪をこじらせて12月12日に84歳で突然この世を去ります。敬虔なクリスチャン、そして消費者の側に立った清廉な実業家魂を持った彼の生涯は多くの人々に惜しまれて閉じるのでした。彼の遺骸はフィラデルフィアの聖ジェームズ教会の墓地に埋葬されました。彼の死後もその実業家としての手法と思想は多くの経営者によって教科書として尊重され続けました。また彼の姿は現在も米国フィラデルフィア市の市庁舎の前に銅像として見ることができます。
-完-
執筆: 京都YMCA主事 久保田展史
【参考文献】
1.『ジョンワナメーカー ~人及びその事業』
(有川治助著、改造社、1929年10月21日)
2.『世界初、史上最大の百貨店王ジョンワナメーカー』
(ジョン・クアン著、小牧者出版、2012年10月15日初版)
3.『京都YMCA史』
(京都YMCA史編纂委員会著、財団法人京都基督教青年会、2005年9月28日)
4.『内村鑑三全集』(内村鑑三著、岩波書店、2001年1月)