京都青年2016年6月号 記事一覧
熊本派遣緊急レポート ―「ヒト」を支えよう!
熊本地震 被災地支援ボランティア活動報告
熊本派遣緊急レポート ―「ヒト」を支えよう!
遠藤 浩
2016年4月14日と16日、熊本県と大分県をM7クラスの地震が襲った。余震が続く災害直後から、被災地にある熊本YMCAが被災者支援の活動を続けている。そして全国、またアジア各地にあるYMCAが、日本YMCA同盟を扇のかなめとして文字通りモノ・カネ・ヒトすべての側面からそれをバックアップする体制を整えてきた。
京都YMCAでも災害直後から支援を開始し、4月23・24日、5月15日の3度にわたり三条四条界隈の複数ポイントで被災地支援の街頭募金を展開、会員の皆さまにも募金をお願いしてきた。連休中には大阪YMCAとの共同でユースリーダーを益城町に送り、京都府災害ボランティアセンターを熊本YMCAにつなぎ、京都から阿蘇へボランティアバスが出ることとなった。こうした活動は、全国のYMCAによる熊本支援の輪に加わることを意味する。筆者が4月26日から30日まで京都から熊本へ派遣されたのも、全国のYMCAによるバックアップの一環だった。現に熊本YMCA災害対策本部到着時、ホワイトボードの日程には前後10日間、私を含めた全国からの派遣協力スタッフ、のべ約150名の名前が記されていた。
熊本YMCA本館(市内)に本部が置かれ、益城町総合運動公園(指定管理者:熊本YMCA)、御船町スポーツセンター(指定管理者:同)、阿蘇YMCAの3拠点で被災者支援活動が展開され、益城町、御船町では避難所、阿蘇ではボランティアセンターが運営を始めていた。
以下、配属された御船町スポーツセンター(以下スポセン)を中心に報告させていただく。
益城町も同様だが、指定管理者として行政施設の管理運営にあたる熊本YMCAは、従来から町役場や社協など行政との連携が密であった。被災後さらにボランティア他団体へ連携を広げ活動がなされていた。避難者数は推移あるものの御船町140~170人、益城町1,200~1,500人といったところ。平時の事業はすべてストップしており、避難所運営がスタッフの目下の仕事となっていた。
一日の活動は朝夕の体操、朝昼夕の給食、夜就寝後の見回り、避難されている方々個別の相談、行政など他組織との渉外、施設設備のメンテなど、突発する事態への対応を含めて息つく暇がない情況となっていた。スタッフは日中十数名、うち2~3名が熊本YMCAの他センターからの応援、全国協力スタッフは私を含め2~3名、行政からも宿直応援を中心に1~2名という態勢である。
スポセン職員にかかる負担軽減が、全国協力スタッフ共通の課題だった。YMCAスタッフにはヒトをサポートすることを喜びとするDNAが、全世界共通であるように思う。だから本人は負担と感じず、むしろ活気にみちユーモアすら交えつつ災害直後から24時間体制で突っ走っておられた。しかしながら自身も被災者だったり、自宅の片付けがほとんど手付かずだったり、家族との時間をほとんど持てていないなど、長期的にみてこのままでは危険だという認識を、全国協力スタッフ同士は共有した。どこまでできたか不安だが、長期戦を見据えて少し休み家族と過ごす、一部ルーティーンの仕事は全国協力スタッフに丸投げする、という意識を持っていただけるよう、機会を見つけお話しさせていただいた。寝る時間を削って対応に当っている管理職が自身に課したシフトは、4月末には少しだけ改善された。
5月半ば御船町からいただいたメールには、少し緩めたシフト表がその通りいかない、と書かれていて、心を痛めている。地域の評価と信頼、期待が大きく、域内に散らばる避難者をスポセンに集約する方針が、5月に入って行政から出された。その受入準備で仕事が倍加したためだ(今後200人強へ増、益城町も同様で約2,000人へ増の見通し)。
しかしながらそれはYMCAの避難所運営が高く評価されている証しであり、喜ぶべきことでもある。そこで、わたしたちが今後意識すべきは、「支援者支援」という発想ではないだろうか。被災者を支援している人々への支援、具体的には熊本YMCAのスタッフ、ボランティアを支援する、という発想だ。それは間接的ながら、必ず被災者のためになる。被災者とはすなわち地域住民であり、YMCAは一定期間で撤収する災害救援NGOとはちがって、その地域に永続し、地域住民とともにあり続けようとする(Community Based)NGOなのだから。
支援者(ヒト)を支えよう!
あらゆる機会にそのことを意識し、資金(いわゆるカネ)も投入してゆくことを訴えて、つたない報告レポートを終えたい。
熊本地震 被災地支援ボランティア活動報告
***ユースの声 岩崎 絢音 さん(キャンプ・なっこリーダー)***
大地震が熊本を襲った日から3週間が経とうとしていた頃、私たちは熊本に発ちました。見知らぬ人たちとの見知らぬ地での震災復興支援活動に不安を抱きつつも、この3日間で自分ができることをやり抜こうという気持ちで益城町総合運動公園の避難所に向かいました。
避難所でまず私たちが行ったのは雨対策でした。避難所ではベッドなどが段ボールで作られており、濡れてしまうのを防ぐために避難所内は土足禁止になりました。それに伴い、私たちは靴を入れる袋を被災者の方たちに配ったり床を掃除したりしました。この時初めて被災者の方々と接する中で十人十色のニーズとそれに答える難しさを感じました。
避難所では被災された方が無料のカフェや美容室を開くなど、少しでも避難所での生活を良くしようと自ら活動していて、小さな街が形成されているようでした。
大人だけでなく、子ども達も「わくわくワーク隊」として避難所内の除菌や物資の配給を手伝っており、自分にできることを笑顔で精一杯こなす彼らの姿に心打たれました。
短い間でしたが、この熊本地震復興支援ワークに携われたことを誇りに思います。
***ユースの声 加島 知葉 さん(体操・よんよんリーダー)***
震度7の揺れを2回観測した熊本県益城町。
益城町の避難者数は3,200人以上と言われ、私たちが復興支援で訪れた益城総合運動公園の避難所には約1,200人の被災者が生活していました(2016年5月2日現在)。地面は大きくひび割れ盛り上がり波打つコンクリート、全壊した家や真横になぎ倒された家、まるで映画の世界でした。私たちの主な活動は避難所内の清掃、物資の仕分けや運搬、ご飯の配給や案内など避難所での生活が少しでも快適になるようにお手伝いするものでした。また、活動最終日の5月5日(子どもの日)に向けて益城の子どもたちによるボランティア隊「わくわくワーク隊」と共に『鯉のぼりプロジェクト』させていただきました。避難所にいる被災者とボランティアの皆さんの「未来へ」のメッセージを鯉のぼりに乗せて空を泳がせ、鯉のぼりが益城の復興のシンボルとなるようなプロジェクトとなりました。
今回の復興支援活動で幅広い年齢層の方々と関わり、益城の人々の優しさや前に進もうとする勇気と強さなど、現地でしか感じることのできない貴重な経験をさせていただきました。
現地で活動した私たちだからできることは何なのかを考え、被災者の心に寄り添う継続的な支援を今後もしていきたいと考えています。
***
熊本・御船町の避難所に送るため被災された方々へのメッセージを募集しました。
5月13日までに多くの子どもたちや会員・会友の皆様に思いをお寄せいただきました。
ありがとうございました。
活動報告
夜桜フェスタ
4月17日(日)、毎年恒例の夜桜フェスタを京都YMCAリトリートセンターにおいて開催しました。
週間天気予報では当日は雨模様とのことでしたので心配をし、前日には雨用のテントまで張って準備をしましたが、何とか皆様の願いが叶い最後まで雨に降られる事もなく終了できました。
早くからリトリートセンター専門委員や夜桜フェスタ実行委員の方々に設営等の準備をしていただき、17時に開会式が行われ、ワイズメンズクラブの皆様にご協力による14店の屋台と福祉施設 「野の花」さん、「こもれび」さんの物品販売やチャリティーバザーもその後スタートし、参加者の皆様も楽しんでおられました。今回の夜桜フェスタにはワイズメンズクラブのメンバーの皆様や、YMCAプログラム参加メンバーの小学生とその保護者の皆様等167名の方々と、ワイズメンズクラブからのご招待で、YMCA国際福祉専門学校の三条・舞鶴両校の学生55名、合わせて222名にご参加いただきました。
アフリカンギターボーカル「ノーベルマン」さん、アフリカンリズムアンサンブル「ドゥニアダンシ」さん、二胡演奏の尾辻優衣子さんのステージショーもあ り、とても賑やかなフェスタとなりました。
そして開花が心配されました桜の花も、リトリートセンター開設50周年記念のお祝いに花を添えるかのように見事に咲き誇り、参加された皆さんの目を楽しませてくれました。
最後に第17回夜桜フェスタ に参加していただきました皆様、ワイズメンズクラブの方々をはじめご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。また来年も無事に夜桜フェスタが開催できますことを祈っております。
報告 夜桜フェスタ実行委員長 中村 隆司
YYYフォーラム
4月30日、京都YMCAで活動するワイズメン、ユースボランティア、YMCAスタッフの3つのYが集う、YYYフォーラムが京都YMCA本館マナホールで開催されました。このフォーラムは、ワイズメンズクラブ京都部主催で、昨年までは当日の運営もワイズメンズクラブ主導で行なわれていましたが、今年は企画段階からYMCAも加わり、当日の運営まで共同で進められました。
フォーラムの参加者は同じ京都YMCAに連なる者同士ではあるものの、世代も異なり交わる機会も少ないことから、参加者同士が交わることを大きなねらいのひとつにしていました。また、せっかくの機会ですから、学びの得られる内容にすることを目標に、テーマを「持続可能な社会をつくるため、私たちがつながってできることは?」としました。当日は、プリンスワイズメンズクラブ所属、元京都市環境政策局の職員で、YMCAリーダーOBでもある宇高史昭氏を進行役に招き、全体をコーディネートしていただきました。
ワイズメン含む会員27名、ユースボランティア24名、学生YMCA3名、YMCAスタッフ6名の参加がありました。参加者は、7つのグループに分かれて①自己紹介を兼ねて持続可能性に関して日頃実践していることを出し合う、②出し合ったことを分類・整理し、③グループごとに最も多かった事項への解決策について検討し、④検討したことを発表する。という流れで進められました。その後、交流タイムとしてドリンクと軽食をいただきながら参加者それぞれが所属する活動について紹介しあいました。
同じテーマについてそれぞれ持つ感覚や知識から引き出される意見が様々に挙がり、多様な意見の交じり合う、期待通りの交流の場とする事が出来ました。
報告 中村 彰利