京都青年 2016年11月号


京都青年2016年11月号 記事一覧

広がる京都YMCAの国際交流 ~厦門YMCAとのパートナーシップ締結 ご報告~

活動報告
世界こども広場
アジア保健研修所 巡回報告会
視覚障がい者サポート講習会
第6回AIDS文化フォーラムin京都
第19回日本YMCA大会
2016年度YMCA表彰式


広がる京都YMCAの国際交流
~厦門YMCAとのパートナーシップ締結 ご報告~

公益財団法人 京都YMCA 総主事 神﨑 清一

10月22日に中国と台湾のYMCAによる第10回海峡両岸YMCA合同音楽会が中国・厦門宏泰ホールにおいて1,000名近い聴衆のもと盛大に開催されました。あわせて、翌日厦門白鷲洲ホテルで開催されました「音楽と青年の成長」ゼミナールの会場において、京都YMCAと厦門YMCAのパートナーシップ締結式を行いました。

締結式には京都YMCAより国際協力専門委員等8名が出席し、中華YMCA全国協会総主事はじめ中国各地のYMCA総主事、台湾各地のYMCA役員・総主事等多くの方がご臨席くださいました。厦門YMCA総主事・明士斌氏と京都YMCA総主事・神﨑清一が締結書に署名し、厦門YMCAと京都YMCAは新たな関係を結びました。

厦門YMCAと京都YMCAの交流は、中華基督教青年会全国協会の推進のもと2010年から始まりました。2011年4月に厦門YMCAを正式に訪問して以来交流を深め、2015年からは、韓国・仁川YMCA、台湾・台中YMCAと共に4YMCAでXiamen International Work Campを実施し、新たな協力関係のもと、子ども達の成長に寄り添い、グローバルな視野を持った青少年のリーダーシップの育成を始めています。

日中両国は歴史・文化の関係が密接で、長い伝統的友好の歴史があります。「日中平和友好条約」の原則精神に基づき、厦門YMCAと京都YMCAがパートナーシップYMCAとして新たにつよい絆を結ぶことによって、友好関係を基に積極的な人的交流や運営やプログラム等YMCAに関わる実質的な共働を行うことができます。延いては日中民間交流、特に青少年交流を強化させ、世界の平和と発展を促進させることができると確信しております。

YMCAの共通理念に基づき、厦門、仁川や台中をはじめとした東アジアの中国・韓国・台湾のYMCAはもちろん、インド・ランチYMCAやネパールYMCAとの友好関係を今後さらにつよめ、さまざまな協働プログラムを通して青少年育成に寄与していくことができるようにと願っております。

異なる国・文化を超えて、国際交流をさらに深めていく京都YMCAの活動を拡げる新しい一歩を刻むことができましたことを、感謝をもってご報告申しあげます。

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活動報告

世界こども広場

京都YMCAは10月を「国際協力月間」と題し、様々な国際プログラムを企画しました。その第1弾が、9月24日(土)に京都YMCAで開催された、子どものための国際理解ワークショップ「世界こども広場」です。

このプログラムでは、子ども達が留学生との交流を通して異文化を知り、世界の多様性や現状に目を向け、気づきを得ることを目的としました。当日は、幼児~小学6年生の子ども28人、サポーターとして京都YMCA日本語科留学生6人、京都YMCA国際ボランティア会メンバー7人が参加してくれました。

前半は、留学生達がそれぞれのふるさとの紹介をしてくれました。中国の街や料理の写真を見たり、台湾のユニークな「だいこんゲーム」にチームで挑戦したり、ネパール語の歌に合わせて一緒に踊ったりと、子ども達は留学生との交流を楽しんでいました。

後半は、文化の多様性や世界の現状を知る「世界がもし100人の村だったら」というワークショップを行いました。その中で、参加者は、世界には十分な食料が得られず、学校に通えない自分達と同じ歳の子どもがいることを知り、世界で困っている子ども達のために自分に何ができるのかを考えました。皆頭を悩ませながらも「募金活動をする」「学校を建てるために大工さんを送る」など様々な意見を出し合いました。

盛りだくさんの2時間半でしたが、このプログラムの中で、参加者一人一人が何か一つでも世界への興味関心をもってくれることを願っています。
ご参加いただきありがとうございました。

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アジア保健研修所 巡回報告会

主催: アジア保健研修所
共催: 京都YMCA、京都YWCA

京都YMCA国際協力月間プログラム第2弾。10月15日(土)に「アジア保健研修所巡回報告会 最果ての島で健康を守る ~フィリピン・スールー諸島での取り組み~」が京都YMCAで行われました。主催のアジア保健研修所(AHI)は、アジア各地の村で人々の健康を守るため、現地の保健ワーカーを育成する国際協力NGOです。当日はフィリピンから保健ワーカー研修のために来日された、ガイダ・フノー・ジャイナル(以下ガイさん)、エメリン・バヒン・ジャラル(以下エミーさん)をお招きしました。

2人が暮らすフィリピン、イスラム教徒ミンダナオ自治区、スールー諸島はイスラム過激派が本拠地とする、外からの援助が届きにくい場所です。島民の収入は小規模で、人々は貯めた雨水を使って生活をしています。小さい島には病院がなく、病院がある大きな島に行くには経済的に困難な状況です。こうした中、ガイさんは村長兼村の保険組合長として、エミーさんは村の病院長として、島に薬局を設置し、村役場に保健行政の重要性を訴えるなど、健康で平和な村づくりのために様々な取り組みを行っています。

参加した16名は、島でどのような困難があるかをグループで考え、「島の教育はどうなってるんだろう?」「どんな病気にかかりやすいのか?」「台風は?」と2人に質問するなど、参加者と講演者が対話をしながら進められました。

今回はフィリピンの保健ワーカーのお話を聞くという、本当に貴重な機会を得ることができました。ガイさん、エミーさん、ありがとうございました。

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視覚障がい者サポート講習会

10月1日(土)、京都YMCA国際福祉専門学校の講師でもある松永信也先生に講師をお願いし、「視覚障がい者サポート講習会」を実施しました。一般の応募者2名を含む9名にご参加いただき、視覚障がいについての説明と手引きの方法についてお話を伺った後、2人1組になり1人がアイマスクをつけて、もう1人が手引きをするという形で、椅子に座るためのサポート方法を練習しました。

松永先生のお話は新鮮で、視覚障がいを理解する上で多くの発見がありました。
お話の内容を少しご紹介すると、例えば、視覚障がいのほとんどは生まれつきではなく、緑内障や糖尿病等が原因で、中高齢で視力を失う方も多いとのことです。他にも、人間は五感の中で視覚から得る情報が一番多いこと、また、サングラスや帽子を身に付けることで、白杖で確認できない頭の位置の危険物(例えば、木の枝や看板が出ているなど)から少しでも顔を守るようにしている方が多いことを伺いました。
見えないことで平行感覚が取りづらくなり、そのことが駅のホームでの転落事故の一因でもあるとのお話もありました。そうした危険があるときに周囲の人が声を掛けることが、大きな助けになるということが心に残りました。

アイマスクを付けてのサポート体験では、目から入る情報がなくなると、横について手引きをしてもらっていても、不安から歩くペースが遅くなり、足を引きずった歩き方になったりすることがわかりました。目から入る情報がないということは本当に不安なことだということが体験できました。
2時間の講習会でしたが、多くのことが習得でき、有意義な講習会となりました。

報告 ボランティアビューロー専門委員  佐藤 美穂
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第6回AIDS文化フォーラムin京都

AIDS文化フォーラムin京都は「エイズ問題の啓発・多様性を理解する・ともに生きる」を目的に2011年に始まりました。

HIV陽性者や支援団体・行政機関・教育関係者・国際団体・医療関係のボランティアスタッフによる運営委員会が主催し、京都府・京都市の共催で、多文化共生社会の成熟を目指す京都YMCAが事務局を担当しています。
今年、第6回のフォーラムが10月1日(土)、2日(日)に『レッドリボン大作戦』をテーマに同志社大学で開催されました。「HIVと共に生きるとは?~これまでのHIV診療の経験とこれからのHIV診療のすすむべき道~」と題した4名の若手医師による全体会講演でスタートしたフォーラムは、HIV/AIDSへの理解を深めるために、若者/文化/陽性者/医療/教育/セクシャリティーの多様性等の様々な視点からの35の分科会・交流プログラム、19の展示を行ないました。最後の全体会では、今回お招きしたミッツ・マングローブさん(歌手・タレント)とともに約400人の参加者がミニレクチャー「今、エイズってどうなってるの?」(高折晃史氏/京都大学大学院医学研究科教授)を聴きました。京都府ではHIV感染者の新規報告が高止まりしていて、中でもAIDSを発症して初めて感染発覚する人が半数弱を占めていること、薬が開発されていて今ではウイルスを抑えることができること等をお話しいただきました。その後、他の医師やHIV陽性者とのトークライブでミッツさんが性の多様性やHIV検査の重要性について語ってくださいました。

性の多様性を知ることからHIVを理解していくこと、HIV / AIDSが決して他人ごとではないことの啓発を目指しているAIDS文化フォーラムin京都にふさわしい学びのときとなりました。

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第19回日本YMCA大会

10月8日(土)~10日(月・祝)、第19回日本YMCA大会が、YMCA東山荘にて開催されました。今年の大会テーマ「ユースエンパワメントを加速する~私たちの活動が社会を変える~」のもと、ユースが大会運営の中心を担い、全国から300名余りが参加しました。京都YMCAからは、公益財団法人、学校法人両理事長をはじめ、ユース世代のスタッフや国際ボランティア会メンバーなど13名が参加しました。社会を変革(チェンジ)していく主役であるユース、その良き理解者であるシニア、それぞれの立場から見たY大会をご紹介します。

 

***ユースの声 ウエルネス事業部スタッフ 平井 菜那***

今回の大会では「ユースエンパワーメント」をテーマに、「社会を変えるためにユースができることは何か」をディスカッションしました。他にも、参加者全員で打楽器を演奏する「ドラムセッション」やゲストスピーカーの講演、交流会など様々な企画があり、刺激のある有意義な3日間でした。

今大会ではたくさんの収穫がありました。一つは他のYMCAの活動を知ることができたことです。ディスカッションで「ここのYMCAではこういうことをやっているよ」という声をたくさん聞き、なるほどそうなのかと学ぶことがたくさんありました。また、ディスカッション以外の場でも、他のYMCAの活動に関する話をたくさん伺い、力を入れている事業の違いを知ることができ、非常に勉強になりました。

もう一つは、ユースとシニアの発想の違いを学んだことです。シニアのグループとユースのグループでディスカッションした時、ユースでは出てこなかった発想がシニアにはたくさんあり、反対にユース独自の発想もありました。そうやってユースとシニアがアイデアを持ち寄れば、互いの穴を埋めあうことができる。ユースとシニアが共にYMCAの活動に取り組めば、どちらか一方だけではできない素晴らしい企画を成功させることができる。こういうところにユースとシニアが協同する意義があるのだなと改めて実感しました。

この3日間でYMCAの活動をより良いものにするヒントをたくさん得られました。日々の業務に忙殺されることなく、今後の活動に生かしていければと思います。

 

***シニアの声 京都YMCA学園理事長 野村 武夫***

参加者の半数以上をユース(18歳~35歳)が占め、残りがシニア(36歳以上)というYMCA大会は今回が初めてとのことである。ユースを中心とする実行委員会が、実質的に企画から運営に至るまで主体的に担ったのみならず、各委員が各自の役割を十分に発揮して成功裏に導いた手腕は高く評価される。

開会と閉会のセレモニーはドラムサークルといって、参加者全員が円形に座り、太鼓や小さな楽器を手に持ってファシリテーターの指導で音によるコミュニケーションを楽しんだ。聖日礼拝では説教者が会場を歩いて聴衆に質問を投げかけたり、讃美歌の伴奏がジャズ形式であったりと、斬新なものであった。その夜は聖日礼拝の音楽を担当した3名の著名な若手ジャズ演奏家によるライブコンサートが開かれるなど、今までにない新しい試みが随所に盛り込まれていて興味深いものだった。

参加者はユース、シニアがそれぞれ18のグループに分かれ、急速に変貌し、貧困や生きづらさなどを抱える社会でYMCAは何を発信し、どのようなプログラムを展開すべきか。ユースに期待されるものは何か。またシニアはどのようにユースのエンパワメントを支援すべきか、また両者の関係のあり方など幅広い課題が話し合われた。

YMCAの使命は、人々の多様性を認め合い、尊重し、違いがあってもそれが生かされる社会をめざすことであり、そのためのプログラム開発と実践が求められている。京都YMCAにおいてもユースとシニアが協慟してこの課題に取り組んではどうか。これが私が大会に参加して思ったことである。

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2016年度YMCA表彰式

10月9日(日)、第19回日本YMCA大会において、2016年度YMCA表彰式が行われました。永きにわたるご協力に感謝いたします。

 

表彰者一覧(敬称略)

永年勤続賞25年継続会員賞
今村 隆宏 / 梅谷 隆雄 / 太田 五博 / 大山 悠子 /
奥村 賢三 / 栄  節子 / 佐々木純子 / 染川 廣和 /
爲國 光俊 / 林  寿一 / 松本 忠正 / 三村 良行 /
村田 嘉樹 / 森 伸二郎 / 横山 賀子 /吉田 忠文

永年勤続賞50年継続会員賞
田中 泰之

青少年奉仕賞
奥村 正治 / 亀井  剛 / 竹内 俊樹 / 中島 敬泰 /
仁科 保雄 / 廣井 武司 / 吉本 幸男

25年勤続者賞
阿部 和博

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