京都青年 2011年1・2月号


すべての一人ひとりと共に

京都YMCA 総主事
神崎 清一

  そこで、王は答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』

マタイによる福音書 25章40節

すべての一人ひとりと共に(写真)

 神様の祝福のもと、新しい年を迎えられましたことを心よりお慶び申しあげます。また日頃より、皆様より寄せられましたYMCAの活動ならびに地域・国際活動への多大なるご支援に感謝申し上げます。

 さて、私は16年前、阪神大震災があった次の日に神戸のYMCAに行き、そのあと約2ヶ月、寝泊りと行き来をしました。京都から食べ物の手配や、多くの亡くなられた方への「お線香」がないということでお線香を手配など、現地と京都YMCAのボランティアの方々とを繋ぐ受け入れ側の役割をさせていただきました。

 2月にはワイズメンズクラブ京都部の各クラブの皆様のご協力によって長田地域のすぐそばの公園で、自衛隊のテントで泊まっておられる方々への炊き出しをさせていただきました。そのときも、多くのことを学びました。長田の町は悲惨な姿だったので、毎日顔を挙げられないで歩いていました。テントで生活している人たちは、前の日までは普通の生活をされていて、それぞれ仕事を持っておられたでしょうし、それが突然、職場を失い、身近な方を失い、怪我をし、混沌とした中で生活されている、少しでも何かできればと思い炊き出しをさせていただいていました。

 2月の末にその使命を終えて、違う働きをしようというとき、そのテントの方々が、代表して私にお金を託してくださいました。それは「私たちは本当に、YMCAの働きに助けられました。でも、今まだ私たち以上に困っている人がいるので、この1万円は少ないですけれどもその方々のために遣ってください」「YMCAでしたら有効に使っていただけるでしょうし」ということでお預かりいたしました。額の多寡ではなく、そのお気持ちに私は大きく揺るがされました。目の前にいる人たち、もっと小さい人たち、もっと弱い人たちに目を向けることができる人間のすばらしさを痛切に感じました。これから一人の個人として生きていく上でも、また、YMCAのあり方へも、指針が与えられた瞬間でした。

 マザー・テレサの「死を待つ人の家」にある、祈りを紹介したいと思います。

 主よ、今日一日、
貧しい人や病んでいる人を助けるために、
私の手をお望みでしたら、
今日、私のこの手をお使い下さい。
主よ、今日一日、
友を欲しがる人々を訪れるために、
私の足をお望みでしたら、
今日、私のこの足をお貸しいたします。
主よ、今日一日、
優しい言葉に飢えている人々と語り合うため、
私の声をお望みでしたら、
今日、私のこの声をお使い下さい。
主よ、今日一日、
人は人であるという理由だけで、どんな人でも
愛するために、私の心をお望みでしたら、
今日、私の心をお貸しいたします。

私たちは勿論、ヒーローではありませんし、そのような力があるわけではありません。しかし、いつも人を思いやる、優しい気持ちを持った人でありたい。そして、目の前にいる小さい人と一緒に悩み、一緒に語り合い、時には涙することも必要ではないでしょうか。宗教を超え、言葉を超え、障がいのあるなしを超え、男性女性関係なく、共に歩めればと思っています。

 「すべての一人ひとり」の「すべて」といえば、全部を包括できるわけですが、私は自分自身を戒めています。「すべて」というと、どうしても100人、1000人、「みんな」となるのですが、そうではなくて、100人のうちの一人ひとりに思いを寄せることが大事だと思っています。

 2011年の京都YMCAの活動が、すべての一人ひとりのために、そして小さくされた人々に寄り添うものでありたいと思います。隣にいる人に寄り添うことのできる人を育むために、皆様お一人おひとりのご協力、ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

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【活動報告】

2010年度日本語科留学生 奨学金受給者決定

 京都YMCA国際福祉専門学校では、日本語科で学ぶ外国人留学生の学習奨励や国際交流を奨励するために、奨学金を支給しています。秋期は徐恩煕さん(韓国)、凃雅媛さん(台湾)、刘帆さん(中国)、黄藝彬さん(韓国)の4名に決定いたしました。

2010年度春期受給の柴禮智さん(韓国)、孙赛さん(中国)、周菊芳さん(中国)と合わせて、今年度は7名の留学生への奨学金が支給されました。今後のご活躍をお祈りしています。

春期奨学金受給者
春期奨学金受給者

秋期奨学金受給者
秋期奨学金受給者

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YMCA・YWCA 合同祈祷週プログラム

YMCA・YWCA合同企画
プログラム実行委員 岩本敬子

 今年の世界YMCA・YWCA合同祈祷週のテーマは「女性が創り出す安全な世界」と定められました。私たち京都YMCA・YWCAの祈祷週合同企画プログラム実行委員会では、「女性」に焦点をあて、昨今社会的に問題視されているが、表になかなか出にくい、DV(ドメスティックバイオレンス)をテーマとすることとし、お二人の講師にお願い致しました。

左から楠神さん、伊田さん
左から楠神さん、伊田さん

 11月26日(金)京都YWCAを会場に開催されたプログラムでは、始めに楠神小夜子さん(ウィメンズカウンセリング京都)からDVの実態や現状分析をお話頂き、その後続いて伊田広行さん(デートDV防止ファシリテーター)から、暴力に向き合う感性について、DVとは、〝主体性を奪い、支配する事〟とご自身の大学の講義での学生とのやり取りの話も交えてわかりやすくお話いただきました。その後、会場の参加者からの質問もあり、虐待やDVが疑われる場合にどうしたら良いのかなど具体的な事例についてのお話があり、最後に、DVを許さない社会にというメッセージが、訴えられました。当日の参加者は約40名でした。

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心肺蘇生法とAED講習会

 ボランティアビューロ専門委員会主催、ちょこっとボランティア「心肺蘇生法及びAED講習会」が11月27日(土)に行われました。中京消防署の指導員の方2名を講師に迎え、心肺蘇生法とAEDの取り扱いについて参加者全員が実技を含めて学ぶ機会を持ちました。当日の出席は、一般参加者にボランティアビューロの委員を含めて9名で、じっくりと中味の濃い講習となりました。

講習会の様子
講習会の様子

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