京都青年 2017年3月号


京都青年2017年3月号 記事一覧

もし愛を欠くならば… 巣立ちゆくユースへ

神﨑清一 第11代京都YMCA総主事 退任

活動報告
私とわたしの災害支援
ネパールチャリティーバザー
創立128周年記念 会員集会
第26回春の全国小学生ドッジボール選手権 全国大会出場


もし愛を欠くならば… 巣立ちゆくユースへ

学校法人 京都YMCA学園 理事長 野村 武夫

私が学生の頃、母教会 京都教会の礼拝で、竹中正夫先生(故人・当時同志社大学神学部教授)のヴィクトール・フランクルのある著書からの引用を踏まえた説教に深く共感したことがあります。

フランクル(1905~1997)はオーストリア出身のユダヤ系精神科医で、37歳の時、家族とともにナチスの強制収容所に送り込まれ、妻と2人の子ども、それに両親がそれぞれの収容所のガス室で殺害され、あるいは餓死するという苛酷な悲劇を体験します。そして彼自身、明日をも知れぬ極限状況を生き抜き、解放されたのちにその獄中での体験、深遠な思索を『夜と霧』と題する書に著しました。この本は今なお多くの人々に感動を与えていて、ちなみに米国議会図書館の「私の人生に最も影響を与える本」のアンケートで7位にランクされたそうです。

さて、竹中先生が引用されたフランクルの言葉は、「もし愛を欠くならば労働は機械となり、労働を欠くならば愛は阿片(あへん)となる」というもので、『死と愛』という本に登場します。
この本ではフランクルがアウシュヴィッツ強制収容所での体験を通して、生命、死、愛、苦悩などについて論じています。私はこの言葉には、人と直接関わる仕事、とくに福祉、介護、医療などの分野で対人援助に携わる者にとって大切な意味が込められていると考え、毎年卒業を迎える学生たちに、最後の授業で、はなむけのつもりで紹介していました。

私はフランクルの言葉にある「愛」とは、相手を理解し、尊重し、寄り添う心や態度であるととらえています。もし援助者が対人援助(労働)においてそのような心や態度を欠くとしたら、その援助は思いやりや温かさを持たない、非人間的で、極端な場合、人間の顔をした「機械」が行っているのと変わらないものとなるでしょう。

最近、介護人材の圧倒的な不足を補うために介護ロボットの導入が議論されていますが、本来人間によるべき援助が「愛」を欠いたとしたら、まさにロボット(機械)による援助と同じになってしまいます。場合によってはロボットのほうが人間の指示(マニュアル)通りに、文句も言わずひたすら介護してくれるので重宝されるかもしれません。しかし、その介護は機械による介護で、決して利用者の心に寄り添うものではありません。

労働を欠いた愛というのは、相手のために最善を尽くすという働きかけ(労働)のない見せかけの愛、また自己犠牲や実践の伴わない言葉だけの愛は、阿片のようにお互いの関係を破滅に導くものだと理解できないでしょうか。

このフランクルの言葉はよく考えてみると、必ずしも援助の専門職だけでなく、すべての人に当てはまる言葉かもしれません。私自身、これからの人生の様々な場面で出会う人との関係をよりよく発展させ、互いに成長し、平和に過ごすことが出来るために、この言葉の意味するものを深く心に留めたいと思います。

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神﨑清一 第11代京都YMCA総主事 退任

神﨑清一総主事が、2017年3月31日をもって京都YMCA総主事を退任し、日本YMCA同盟総主事に就任することとなりました。後任として、加藤俊明副総主事が2017年4月1日より第12代総主事に就任します。

退任のごあいさつ

京都YMCA 総主事・校長 神﨑 清一

このたび、京都YMCA総主事・校長の職を退任することになりました。在任中は、輝かしい伝統のある京都YMCAの運営にあたり、理事・会員をはじめ関係団体の皆様や多くの方々のお支えをいただき本当にありがとうございました。

京都YMCAは、京都の地に種を蒔かれて128年を迎えましたが、いつも神様の導きと先達のお働きによって今日があります。2003年酒井善弘前総主事より受け継ぎ、加藤俊明第12代総主事に引き継ぐことができます恵みに深く感謝いたします。
次の世紀に向けて、京都YMCAは加藤新総主事のもと力強く歩みを始めますが、今後も京都YMCAへのご協力とご支援を心よりお願い申し上げます。

今、日本のYMCAでは「したい何かがみつかり」「誰かとつながり」「わたしがよくなる」を社会に提供する約束として、事業を推進しています。4月からは新たに日本YMCA同盟総主事を拝命し、これからも皆様と共に、一人ひとりの幸せと世界の平和をつくりだす働きをするYMCAで微力を尽くしてまいります。

京都YMCAにつらなる皆様に神様の祝福が豊かにありますようお祈りし、退任のご挨拶とさせていただきます。

 

神﨑総主事・校長に感謝

公益財団法人京都YMCA 理事長 亀井  剛

神﨑総主事・校長は日本YMCA同盟の要請を受けて、3月末日をもって京都YMCAを退任され、4月から日本YMCA同盟の総主事に就任されることになりました。

1981年4月に京都YMCAに入職以来、ウエルネス事業部主任、専門学校主任、ウエルネス事業統括部長を歴任し、1991年6月には「望ましいYMCAウエルネスについての一考察」で主事認証を受け、2003年4月から京都YMCAの総主事・校長に就任。以来14年の長きにわたって、非常に厳しい財政の下にあった京都YMCAの活動と運営のかじ取りを担ってこられました。
特に、今出川の青少年センターの撤退は苦渋の選択でしたが、学校法人と財団法人の一体経営化、公益財団法人の取得、舞鶴での専門学校開校等の改革によって、財政面において希望を見いだせるまでになりました。また、京都は会員の意向がYMCAの活動や運営に活かされていることで、全国のYMCAから会員組織のYMCAの理想的な在り方として注目されていますが、これも制度だけでなく神﨑総主事の会員に対する細やかな気遣いによるところが大きく、功績は真に大きいものがあります。

日本の多くのYMCAは運営面において厳しい事情を抱えています。神﨑主事が同盟の総主事として、その力量を存分に活かして全国のYMCAの発展のために大きなお働きをされることを願うとともにお祈りするものです。

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活動報告

私とわたしの災害支援

このプログラムは、「ボランティア元年」といわれた阪神・淡路大震災から20年が経過したこと、また、近年も東日本大震災をはじめとする自然災害が多く発生していることから、伊藤弘一ボランティアビューロー専門委員長より、震災での経験を風化させないためにとの発案で企画しました。多くの方に自然災害に対する一人ひとりの向き合い方を見つめ直していただくために、委員全員が、「どのように発信すればより多くの方ご参加いただけるのか」と、頭の中に、立ち見が出るくらい盛況の会場を思い描きながら進めました。

自然災害における「自助」「共助」を考えるうえで、一人ひとりが災害支援への向き合い方を見つけていただくきっかけになるよう、阿部一雄氏(名古屋グランパスワイズメンズクラブ所属)、大野勉氏(神戸ポートワイズメンズクラブ所属)の2名をお招きし、阿部氏には障がいのある立場から見た被災者支援を、大野氏には阪神・淡路大震災での被災経験から災害支援に携わるまでの異なる立場からの経験をそれぞれ報告いただきました。

阿部氏の報告では、メディアではあまり報道されないお話を伺うことができました。
例えば、東北や熊本の被災地で入院が必要な重度障がいのある方は実際には避難所にいなかったこと、それは行政区間を越えた連絡体制が確立されており、必要な機材等がある病院への移動がされていることを新たに知ることができました。また、逆に普段入院していない障がい者の災害時の死亡率が健常者の2~4倍に上るとの報告もあり、日常の地域の繋がりや連絡体制の見直しの必要性を実感しました。

大野氏の報告では、阪神・淡路大震災発生時に被災地の小学校に勤務されていたこと、そして被災経験以降現在に至るまで、被災地に歌とコーヒーそして元気を届ける活動をされていることを伺いました。
ギターを弾きながら披露された「手のひらを太陽に」やご自身で作詞作曲された支援への感謝の歌は、とても心が温まりました。

お二人の報告を伺い、今後も必ず起こるであろう災害支援に対して個人として何ができ、何をすべきなのか、改めて考える機会とすることができました。
今回、33名の方にご参加いただき会場は満員となりました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

報告 ボランティアビューロー専門委員会 三科 仁昭

***参加者の声***

○ 阿部氏のお話から、災害時に、障がいのある人の目線を社会で共有するのは大切だと思った。HELPカードのことも知らなかったので、より広めていく必要性を感じた。

○ 大野氏の被災体験とボランティアとしての行動に胸を打たれた。自分がどうすべきかということは難しいが、やはり現場に行くことが一番大事なのではと思った。

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ネパールチャリティーバザー

国際協力専門委員会が中心となって取り組んでいる、ネパールYMCAの児童養護施設支援のためのネパールチャリティーバザーを今年も開催しました。

2月5日バザー当日は天気予報どおりの雨、それもずいぶん本格的な降り方でした。ここは、ネパールの子どもたちの笑顔を頭にうかべながら、気合と覚悟で取り組みました。
事前に京都新聞で報道されたこともあり、バザー商品として多くの寄贈品もいただいており、前々日から集合し、品物の仕分けや値付けをしました。また、チラシでの呼びかけや「ネパールの子どもに送る学用品として、未使用の鉛筆の提供も受け付ける」という新聞記事に応じて、当日は何人もの方が、ネパールの子どもたちに贈るための鉛筆を持ってきてくださいました。雨も午後には止み、屋外では野菜、屋内のロビーでは、ネパールやインド、ベトナム、中国、韓国とアジア色満載の屋台に出店いただきました。また、その他にもチャイハネ寺町店さんによるネパール雑貨販売、京都理容美容専修学校の学生さんによるネイルアート、ハル治療院さんと仏眼鍼灸理療専門学校のコラボによるマッサージ、そして京都外国語大学ナマステな会の皆さんによるヘナタトゥーなど、素敵なイベントが盛りだくさんでした。

今回のバザーで得られた当日収入は昨年度を上回る、350,880円となりました。これは、多くの寄贈品をご提供いただいたことによると思いますし、買っていただいた皆様にも感謝申し上げます。
あまり知られていないネパールのことを市民のみなさんに思っていただく機会とすることができ、嬉しいです。
バザー翌日にも、京都新聞にこのプログラムの記事が、民族衣装のサリーを着てにっこり笑っている子どもたちの写真とともに掲載されました。ネパールの子どもたちも、届けた鉛筆を手にして、にっこり笑ってくれると良いですね。

報告 国際協力専門委員会 高田 敏尚
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創立128周年記念 会員集会

2月10日(金)マナホールにおいて、「互いを認め合い、高め合う『ポジティブネット』のある豊かな社会」をテーマに、京都MCA創立128周年記念会員集会を開催しました。YMCAが取り組みを進めてきたブランディングや策定されたブランドコンセプトについて学び、協議する内容で開催され、京都YMCAの役員や各委員会に所属する会員を中心に22名が出席しました。

開会あいさつ、プログラム趣旨説明の後、神﨑総主事より、YMCAのブランディングの経過とブランドコンセプトについて、プロジェクターを用いて説明が行われました。これまで多様なロゴが存在し外からの見え方も様々であった日本のYMCAブランドの世界観や、統一されたアメリカの「The Y」マークのお話、バリュー・ビジョン・パーソナリティーの3つの項目から定義される新しいブランドコンセプトの内容等について、詳しく説明が行われ、ブランドにまつわる様々な情報を知ることができました。

質疑応答の後、グループ協議に移り、①一人ひとりの「みつかる」「つながる」「よくなる」②京都YMCAは「みつかる」「つながる」「よくなる」をどのように提供しているか③京都YMCAが「かけがえのない場所」となるには、の3テーマについて、4つのグループに分かれ、各々意見や京都YMCAにまつわる経験を出し合い、共有し合いました。②において、あるグループでサバエワークを例に採り上げ協議した際、若きボランティアリーダーとのつながりを多くの会員が感じており、有意義であると強調されていたことが印象的でした。

今後は、YMCAのブランドコンセプトを正しく理解し、自らの経験を通して、その価値やイメージを他の人々に確実に伝えていけるよう、今回の会員集会で得た学びを更に深め実践していければと感じた機会でした。

報告 活動推進専門委員会 河合久美子
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第26回春の全国小学生ドッジボール選手権 全国大会出場

念願の京都府予選で優勝することができ京都府代表として全国大会に出場することが決まりました。(5年ぶり2回目)
今年のチームは小学3年生の頃から全国大会出場を目指し頑張ってきたメンバーが多く、選手同士、お互いの良い所・悪い所も十分理解しあっています。全国大会初勝利を目指し頑張りますので応援よろしくお願いします。

 

 

報告 京都YMCAドッジボール童夢 監督 山田  誠
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