京都YMCA News(京都青年) 2018年3月号


京都YMCA News 2018年3月号 記事一覧

外国人介護人材の養成に向けてに

活動報告
パネルディスカッション
創立129周年会員集会
ネパールチャリティーバザー


外国人介護人材の養成に向けて

 

京都YMCA学園/ 本部事務局長 阿部 和博

日本の少子高齢化はどんどん加速しています。
2025年には戦後のベビーブーマーである団塊の世代が75歳以上となり、このまま進むと全国民の3人に1人が65歳以上、6人に1人が75歳以上という私たちがこれまで一度も経験したことのない高齢者社会となります。

厚生労働省が発表した需給推計によると、介護の担い手である介護職員が2025年度には約253万人必要になるとされていますが、供給が追い付かずおよそ38万人の介護職員が不足すると見込まれています。また、高齢化だけでなく人口減少も加速しているので、労働力人口もますます減少していきます。加えて介護離職の問題や晩婚化による介護と育児のいわゆる「ダブルケア」に直面する人も多くなっていくことも容易に予想ができます。
そのような状況において、介護は家族の責任ではなく、社会全体の責任として介護のプロが専門的にサポートすることがあたりまえの時代となっています。

しかしながら、介護を担う人材はなかなか需要に追い付けないままです。
政府も様々な対策を打ち出し、介護人材養成に力を入れているのですが、現状打破は非常に厳しい状況です。
京都YMCA学園も京都市にある京都YMCA国際福祉専門学校で介護人材養成の学科を設置しており、また、2015年度からは京都府北部の人材不足を補うために舞鶴市・京都府と協働し、舞鶴YMCA国際福祉専門学校を新規開校し、介護人材養成をスタートさせました。しかしながらやはり両校の定員を充足させるような学生が集まっていないのが実情です。

そのような中、予てから議論されていた介護の新たな人材として「外国人」にその職を担ってもらうべく在留資格に「介護」を追加する法改正が行われました。今後は介護人材不足のすべてを外国人で手当てすることは無理としても、高度な知識や技能を持った外国人人材の助けを借りて、高齢者大国日本を持続可能なものとしていく取り組みが始まりました。
京都YMCA学園も外国人介護人材の養成は地域のニーズを考えるうえで必要不可欠であるとの観点から、2018年度より京都校・舞鶴校の両校にアジアを中心とした外国人学生を多く受け入れ、介護人材の養成にチャレンジすることにいたしました。
本学園は京都校にて長年にわたり、外国人への日本語教育を行ってきた実績があります。今後はそのノウハウに介護福祉士教育を加え、外国人介護福祉士教育の実践を行っていくこととなります。

多文化共生社会の実現に向けて活動を続けるYMCAにとっても国籍や民族の隔たりを取り除き、共に生きる社会の実現に向けて進んでいく試みは我々のミッションに適う行動であると確信しています。外国人学生も日本人学生も我々学園も幾多の協働の困難さが予想されますが、国境を超えた青少年の育成を目指していきたいと思います。

皆様のご支援とご協力をお願いいたします。

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活動報告

パネルディスカッション

1月15日、三条本館マナホールで27名の参加者を迎え、パネルディスカッションを実施しました。
モデレーターは能勢 群至(京都大学YMCA)、佐藤 愛佳(同志社大学)、パネリストには吉見 昭範(関西大学)、朴 奎玹、宋 智鵬、李 景瑶(いずれも京都YMCA国際福祉専門学校 日本語科)、Maia Haru Hall、Martin Baer(ともに京都府国際センター)の皆さんです。

このプログラムの目標は「世界のユースが自分の言葉で想いを話し、聴くこと」です。留学生は1年余りで習得した日本語で、自分の思いや日本社会への違和感などを淡々と話し、また日本人学生は自分の将来について純粋な夢を聞かせてくれました。

参加者へのアンケートでは「自分を考える上で参考になる話がおもしろかった」(10代学生)「日本の事象について留学生から意見が聞きたかった」(50代男性)「街ではスマホ等に熱中し触れ合いを忘れていないか」(60代男性)など、様々な世代からいくつもの感想をいただきました。

私自身、半年間の準備のなかでどんどん日本語が上手くなる留学生や、日々広がっていく新鮮な考え方に触れることができ貴重な経験となりました。
将来、彼らの夢が叶い、いつでも顔を見られる世界であって欲しいと強く願っています。

報告 国際協力専門委員 三保 俊幸

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創立129周年会員集会

2月9日(金)午後7時~9時マナホールにて、京都YMCA創立129周年記念会員集会が行われました。
まず前奏、聖書朗読のあと、船木順司理事/活動委員長による感謝の祈祷・挨拶、その後、今回のテーマ『保育・幼児教育の変化と課題』についてYMCA三条保育園設立準備委員の神戸洋子さんにご説明いただきました。

「一人ひとりを大切にする保育」「自由な時間と空間、育ちの環境を保証する保育」「地域・ボランティアと保育」をキーワードにパワーポイントの資料を見ながらわかりやすくご説明いただきました。
続いて加藤総主事より、4月開園のYMCA三条保育園 基本方針の説明があり、会の参加者30名を4グループに分け、「YMCA三条保育園へどのようなサポートができるか?」をテーマにグループ協議を行いました。その中で次々と意見が出され、「毎朝のあいさつ運動」「会員-保育園間のコミニケーション」「防火・防災への取組み」「課題をワイズメンズクラブと共有する」「人と人をつなげることが大切」「会員、職員の連携」「子ども達が自然に触れ合えるようサバエ教育キャンプ場・リトリートセンターのさらなる活用」「4月開設の保育園をテーマにした会員集会の出席者が30人では少ないのでは」など、ビジョンや課題を共有することができました。

会員集会は2時間と短い時間でしたが、新事業に対する会員の熱い思いが感じられました。

報告 活動推進専門委員 山本 幸仁

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ネパールチャリティーバザー

2月12日、ネパールチャリティーバザーを開催しました。耐震工事中のため会場の調整や入口のわかりにくさなど、開催に先立ち様々な不安がある中、両親や家族と離れて暮らすネパールの児童養護施設の子ども達に良い教育環境を、そしてそれを支えるネパールYMCAをサポートしたいという強い思いで実現しました。

京都YMCA会員や職員がネパール視察で撮影した子ども達の写真や雑貨の展示、ネパールの民族衣装を着る体験コーナーや、小さな子ども達が留学生のお兄さん、お姉さんと遊べるコーナーなど国際色豊かなブースがあり、出店する屋台もインド、中国、韓国、ベトナムと様々な国の料理が楽しめます。そして、収益の中心は皆様からいただいた寄贈品のバザーです。開始1時間前から行列ができるほどの人気でした。
ワイズメンズクラブにも、屋台料理や会場設営、また寒い屋外での産直野菜の販売などご協力いただきました。野菜販売は、このごろの野菜の価格高騰を受け、早々に完売の大盛況でした。

会ったことも話したこともないけれど支援を必要としている人々のために、京都YMCAに連なる大人達が楽しそうに汗を流し、物を作って売る、そしてその思いに共感し買う、そんなつながりが感じられた1日でした。
この日得られた収益は、約29万円、30万円を超えた去年や一昨年ほどではありませんでしたが、工事期間の開催でも多くの支援を得ることができました。

また、NHKや京都新聞などのメディアが取材に来られ、プログラムの趣旨を多くの方に知っていただく機会となりました。

報告 国際協力専門委員 高田 敏尚

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